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2013年9月26日 (木)

静岡県の緊急避難計画 その1

 原発の再稼動の条件の1つである「緊急避難計画」の策定が進んでいます。原子力規制委員長は2/13の記者会見において、同計画が「再稼動の条件の1つ」となるとの見解を述べていました(ものぐさ 安心できない緊急避難計画なら再稼動するな)。

 しかし、その計画の実効性に疑問を呈する自治体は少なくありません。

 浜岡原発が立地する静岡県の緊急避難計画の進捗状況はどの程度でしょう。

1 静岡県の緊急避難計画

 静岡県の防災計画は、

静岡県HP→キーワードの入力「地域防災計画」→「静岡県/静岡県地域防災計画」→「県地域防災計画(平成25年6月修正)

で見ることができます。

 その項目は、「地震対策の巻」、「津波対策の巻」、「原子力災害対策の巻」等で構成されています。

 「原子力災害対策の巻」を具体的にしたものとして、県はUPZ圏内の住民の「広域避難計画」なるものを策定中で、その骨子等については公開されていません。「原子力災害対策の巻 第三章 緊急事態応急対策」から避難計画の概略を拾い上げてみます。

① 通報、連絡、連携、調整、緊急時モニタリング、自衛隊の派遣要請等の手続き規定の記述あり。

② 放射性物質の大量放出が防止され、避難区域の拡大が防止され、避難区域の住民避難が概ね終了したことを一つの目途として、災者生活支援チームを設置する。

③ 防災業務関係者へ防護服、線量計等を配付(県、市町関係者を含む)する。

④ 警戒事象(注1)発生時には、PAZ内の傷病者、入院患者、高齢者、障害のある人、外国人、乳幼児、妊産婦等の災害時要援護者等に係る避難の準備を行なう。

⑤ 特定事象(注2)発生時には、PAZ内における避難の準備を行うとともに、PAZ内の傷病者、入院患者、高齢者、障害のある人、外国人、乳幼児、妊産婦等の災害時要援護者等に係る避難を行う。また、UPZ内における屋内退避の準備を行う。

⑥ 緊急事態(注3)宣言が発令された場合、PAZを含む市に対し、住民等に対する避難のための立ち退き指示の連絡、確認等必要な緊急事態応急対策を実施する。UPZ内における屋内退避を行う。

⑦ 空間線量がOIL1(500マイクロシーベルト/h)の値を超えるおそれがある場合は、UPZを含む市町に対し、住民等に対する屋内退避又は避難のための立ち退きの勧告又は指示の連絡、確認等必要な緊急事態応急対策を実施する。

⑧ 負傷者、避難者の緊急輸送に関して、バス、自衛隊の要請を行なう。

 以上、第三章25ページ中、住民避難の項目については、3ページ強(④~⑧)記述されているのみです。しかも、その内容は、上記に見るように、貧弱なものです。バス、自衛隊の手配車両数、緊急避難のための経路、一次避難場所等の記述は全くありません。もちろん、原発周辺の主要道路150号線が通行止めとなった場合などその実効性は極めて貧弱です。

 詳細は、市町に丸投げなのでしょうか。官僚的作文で、絵に描いた餅にもなっていません。福井県の緊急避難計画のほうが、まだ具体的です(ものぐさ 福井県の緊急避難計画)。

 実効性については、現在策定中の「広域避難計画」を待って評価することになります。

2 「浜岡原発を考える静岡ネットワーク」の見解。ピンクは県の回答。

① 原発事故と地震・津波災害が切り離された原発防災計画である。

・ 地震・津波で家屋が流出、倒壊した場合、屋内退避はできない。

 御前崎、牧之原市民は被曝前に圏外に全員避難させるので避難施設は不要。

・ 5万人もの避難は可能なのか。

 自家用車で避難してもらう。

・ 地震と津波で道路が消失・崩壊していたり、自家用車のない災害弱者はどうするのか。

 市町とこれから検討する。

・ UPZ圏内(人口86万人)の避難については全く考えていない。

・ 防災計画には住民参加が必要。

 自主防災組織、老人クラブ、女性団体用の代表が委員に参加している。

・ 住民参加の代表は、県や市の各種会議のどこにでも顔を出している行政参加名士と言われる人種で、住民とは縁もゆかりもない。

3 県の防災担当者への要望 

① 複合災害に焦点をあてた避難計画を今年度末までに策定すること。

② パブリックコメントを募集すること。

③ 最悪の事態に対応する広域避難計画を作ること。

④ 広域避難計画について、住民が実現不可能だと判断すれば、再稼動問題に大きく影響することを考慮し、明文化すること。

⑤ 規制基準と緊急避難計画は車の両輪であることを明記すること。

⑥ 計画の不備な点についても明記すること。

⑦ UPZ圏の「広域避難計画」は、PAZ圏の避難計画も含むこと。両者で避難計画の整合性を取る必要がある。

 以上、見てきました。住民個人個人が「果たしてわが身を守れるのか」と考え、身近な市町の防災担当者に「どうなっているのか」と聞いたり、パブリッククコメントに応募することが重要です。防災担当者の発言を、懐疑的な目で見ていくことも肝要です。

 (追記) 柏崎刈羽原発のある新潟県の泉田知事は、東電の再稼動問題に関して、住民避難の実効性に疑問を呈しています。主な主張は以下の通りです(9/25)。

・ フィルター付きベント装置を使用した場合、原発の敷地境界で住民に数百ミリシーベルトの被爆が生じる(東電試算)。

・ 原発事故から炉心溶融するまでの時間は2時間程度だが、敷地境界にじっとしていた場合で例外的だ(東電)。

・ 中越沖地震の際は渋滞で車が前に進まなかった。じっとしているのは例外的ではない(知事)。

・ 住民が身動きできなくなった場合、誰がどうベントの判断を下すのか。高濃度の放射線で被曝のリスクがある場合でも作業員に現場に行けということになるのか(知事)。

・ 規制基準をクリアしても住民の安全は確保できない(知事)。

(注1) 震度6以上の地震の発生や大津波警報の発令。

(注2) 冷却材の漏洩、全交流電源・冷却機能の喪失、制御室の使用不能。

(注3) 全冷却機能の喪失、燃料集合体の露出。敷地境界の空間放射線量率5マイクロシーベルト/hが10分以上継続(射能漏れ)。

 

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