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2013年10月30日 (水)

日本の原発技術は世界一安全 ?

 政府・自民党は10/23、年内にまとめるエネルギー基本計画に、中長期的原子力政策として、①既存の国内原発の敷地内に新炉を作る「増設」、②旧炉を建て替える「更新」を明記する検討をはじめました。

 そして首相は、原発再稼動は「世界で最も厳しい安全基準で判断する」と述べています。 

 また、首相は5月の外遊で「日本の原発技術は世界一安全」とアピールして、トルコなどとの原子力協定に署名をしました。これで、原発輸出に弾みがつくと言われています。

 と同時に、日本の原発技術は世界一安全だから、原発の再稼動も新たな建設も問題ないでしょう、と言いたいのでしょう。「原発輸出」発言は日本の国民に向けられているのです。

 本当に日本の原発技術は世界一なのでしょうか。日本で建設済みの第二世代と言われる沸騰水型原子炉(BWR)と加圧水型原子炉(PWR)の合計は46基、第三世代と言われる改良沸騰水型原子炉(ABWR)は4基(柏崎・刈羽2基、浜岡1基、志賀1基)しかありません。第二世代の原発の安全性は世界一なのでしょうか。そうではありません。少なくとも、第三世代の原発より劣るはずです。少なくとも、第三世代の原発にバックフィットさせる必要があります。さて、第三世代の原発の仕様と問題点を記します。

  第二世代に相当するBWRに対して、第三世代と言われるABWRの改良設計された主要設備を、以下に示します。赤字は改良点に対する反論です(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記(構造の欠陥と海水流入 取水塔 アスペリティー) その3)。

・ インターナルポンプ

 従来の冷却材外部再循環方式に代えて、圧力容器底部に直接再循環ポンプを取り付けてある。大口径の再循環配管が不要で、その他の配管に断裂があったとしても、炉心は常に冠水維持できる。

 再循環ポンプにインターナルポンプを採用しているが、原子炉内部に位置し、点検や交換が極めて困難である。インペラー(羽根車)・シャフト及びディフューザー部分については原子炉圧力容器内側底部に位置しているため、その交換はもちろんのこと、点検作業自体が極めて困難であるという問題がある。

 平成23年5月14日浜岡原発5号機に発生した海水流入事故の影響調査が行われ、再循環ポンプのモーターケーシング部分については点検がなされているものの、圧力容器内にあるインペラー(羽根車)・シャフト及びディフューザー部分については点検できていない状況にある(平成24年9月14日)。

 柏崎刈羽原発7号機はABWRである。平成19年7月16日発生の新潟県中越沖地震(M6.8)による影響調査を実施しているが、モーターケーシングの点検は、10台中2台のみに留まっている(ファイバースコープによる目視点検)。

 原子炉稼働中にインペラー固定部分が応力腐食割れ等で破損した場合、再循環ポンプにより加えられる水圧・流速によりインペラーは高速で上方向に射出されることになるが、かかる事態が発生した場合、インペラーの衝突により原子炉圧力容器内において配管破損や燃料棒の破損など壊滅的な被害の発生する危険性が高い。

・ 改良型制御駆動機構

 通常の起動・停止等の制御棒駆動を電動で行い、緊急挿入(スクラム)は従来型と同様、水圧により行う方式。緊急時の挿入(スクラム)においては、電動駆動は水圧駆動をバックアップし、安全性が向上している。格納容器がコンパクトになり、かつ原子炉建屋を縮小できる。

 制御棒駆動機構において、従来の水圧駆動に加え微小駆動可能な電動駆動方式を備えた改良型制御棒駆動機構を採用しているが、構造が複雑となり、故障の可能性が増大する。

 炉心溶融した場合、格納容器がコンパクトになった分、格納容器の圧力が上昇しやすくなり、ベント開始が早まる可能性はないか。

・ 鉄筋コンクリート製格納容器

 原子炉建屋と一体化した円筒形の鉄筋コンクリート製格納容器を採用。格納容器は内側から漏洩防止機能を持つ鋼鉄製ライナと、耐圧機能を持つ鉄筋コンクリートで構成される。原子炉建屋の重心が低くなり、耐震性が向上する。

 機密性を保持するための鋼鉄製ライナーは厚さ10mmに満たなく、地震・高熱の影響や腐食によって損壊する可能性がある。

 炉心溶融した場合には、ABWRの圧力抑制室が建屋一体型となっており格納容器直下の比較的近い位置に存在していることから、溶融した燃料棒の流出の仕方やデブリの飛散の仕方によっては隔壁を損壊し、もっとも恐れるべき水蒸気爆発を引き起こす危険性が(従来型のBWRに比して)高い。水蒸気爆発は、瞬間的に水の体積が1244倍にも膨張する。

 上記に見るように、日本における第二世代の原発は全原発の92%を占め、最新と言われる第三世代の原発は4台しかありません。すなわち、日本の原発の92%は「世界一安全」ではないのです。

 また、上記に見るように、第三世代の原発であったとしても問題点が指摘されています。

  それでは、世界各地で建設されている第三世代の原発を見てみましょう。

・ 航空機の衝突に備え、格納容器の外側に頑丈なシールド建屋を持つ。

・ 安全系統は四重化。

・ 非常時に原子炉に注水する冷却水は、屋外タンクではなく、格納容器内に設置。

・ 建屋内で出火した場合には、耐火壁で隔離された内部の機器が全焼することを想定。

・ 世界で運転中の原発の半数以上は1万~10万年に一回の大規模地震を想定。日本では具体的に規定されていない。

・ 欧州では新設プラントに対して、炉心溶融対策の設備の1つであるコアキュアッチャーの設置が要求されている(ものぐさ 「バックチェック」と「バックフィット」で原発は安全か)。日本では開発途上である。

  浜岡原発5号機は第三世代のABWRであるが、2009年8月11日に起きた駿河湾地震(M6.5 最大震度6弱)程度で被害をこうむっています。

・ 震度6弱、M6.5程度の地震で、5号機は1階で設計時の基準地震動(484ガル)を上回る488ガルを観測した。

・ 5号機タービン建屋では、東側の外壁に沿った15メートル四方にわたって、深さ10センチ程度の地盤沈下があった。同建屋の3階にある放射線管理区域内では、南側壁面に軽微なひび割れがみられた。同じフロアでは、作業用の床面のデッキプレートを固定するボルト24本が折れて、回収されていた。

・ 46件の被害を確認している。

・ 5号機の制御棒駆動機構の不具合原因は電源にあった。停電になると制御棒が上がるしくみだがうまく働いた。

 運転・管理等のソフト面における日本の状況。

・ 駿河湾地震で5号機の揺れが他の原発よりも大きかったことについて、5号機の下方からやや東方の地下浅部に確認された低速度層が主要因と推定。事故が起きて初めて原因が判明したこと自体があまりにもお粗末。

・ 福島原発事故直後から水素爆発が起きるまで、東電・政府はパニック状態。この程度で収まったのは奇跡的。過酷事故に対するマニュアルもなく、訓練もほとんど実施されていない。

・ 安全神話がまかり通っていた。事故後、これが噓と判明した。

・ 事故の過小評価、検査データの捏造が行なわれていた。

・ 原子力関連施設の検査体制の違いは以下の通り。

<原子力安全基盤機構(日本)における検査シナリオ> 

 ①原子力安全基盤機構(検査官)が事業者に検査内容の原案を作成させる。②事業者が先に検査を実施。③検査官はその検査が正しいかどうか、ほぼ同じ手法や手順でチェック。④検査期間は事前に通知され、開始日には大挙して検査官をお迎えする。

<米原子力規制委員会(NRC)における検査シナリオ>

 ①検査官は検査時期や対象を自ら選び原則無通告で抜き打ち検査。②施設内のLANに検査官のパソコンをつなぎ、社員が下請け会社と交わしたメールまで入手。③検査機器を持ち込み機器の劣化具合を検査官自身が調べる。④検査報告書をまとめる前には、指摘した部分について、事業者と激論を戦わせ、そのやりとりは文書で公開され、一般国民わかるように平易な言葉で作成される。

・ 水素爆発時、緊急時迅速放射能予測ネットワークシステム(SPEEDI)が機能せず、飯館村など風下の住民は大きな被曝を受けた。

・ 核のゴミの処理が不明確なまま、原発を推進しようとする電力会社、政治家、官僚、原子力村の硬直した頭。

・ 汚染水問題への初動対応に失敗し、2年以上たった今になっても、汚染水問題は更に深刻化し、住民を不安に陥れている。

 (余禄)

 古い原発は最も新しい原発にバックフィットさせると、原子力規制委員会は言っています。新規制基準に適合すれば良いと考えているように感じますが、第三世代の原発にバックフィットすることも再稼動の要件の1つではないですか。

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