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2013年11月24日 (日)

津波越流 本間の公式

 浜岡原発訴訟において原告は、「地震学では、本間の公式の正しさについて確認されていない」と主張しています(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記 アスペリティー及び越流量(本間の公式) その7)。本間の公式とは何か、その他学説はあるのか、調査してみました。不確かですが(ものぐさ解説)として、コメントも追加しました。

1 本間の公式は、昭和15年9月、土木学会誌(第26巻)に「低溢流堰堤の流量係数」として掲載されている。

① 実験設備

 コンクリート水路の中央に堰提模型を、その上流には水位h1を維持する一定の高さを有する堰を配置する。堰提模型の下流には、水位h2を調整するための水面調整格子を配置する。ここで、h2 < h1。

② 公式

q=m×h1×√2gh1       完全溢流  h2 < 0.6h1          (1式)

 ・ 堰の下流勾配が3/5以下の緩勾配の時、m=0.31+0.23×(h1/hd)で、mは0.35~0.4の間の値を取る。

 ・ 堰頂が幅広く、矩形断面の時、m=0.35。

q=2.6m×h2×√2g(h1-h2)   潜流   h2 ≧ 0.7h1又は0.8h1  (2式)

 但し、gは重力の加速度、mは流量係数、h1は堰頂を基準とした上流側水深、h2は堰頂を基準とした下流側水深、hdは堰提模型の高さである。潜流の流量係数は完全溢流の2.6倍。越流量(q)の単位は(/sec/m)で、堰堤単位長当り1秒間の越流量です。

(ものぐさ解説)

 本間の公式は、「低溢流堰堤」の流量係数を公式化したものです。文言からは「堰堤(ダム等)を低いレベルで溢れる水の流量係数」とも読み取れます。実験装置を見る限り、津波を念頭において研究したのか疑問です。

 本間の公式は、h1>0以上、言い換えれば堰提模型の高さhd以上の溢流を前提に導かれています。すなわち、防潮堤より高い津波が襲来したときの公式です。防潮堤に津波が衝突して、波がせり上がり、敷地内に流れ込むことを想定した公式ではないようです。

 (2式)から、h1=h2の場合、越流量(q)は0です。

2 国土技術政策総合研究所は、津波の河川遡上による堤内地への浸水を想定して公式を提示している。

 河道内の水位が堤防天端を越えた場合の越流量を示したもので、本間の公式そのものです(マニュアル案の概要 国土技術政策総合研究所より抜粋)。

・ 「天端を越える前の津波高さ」から「天端高さ」を差し引いた値 h1、

・ 「天端を越えた後の津波高さ」から「天端高さ」を差し引いた値 h2

・   q=0.35×h1×√2gh1         h2 < 0.67h1       (3式)

      q=0.91×h2×√2g(h1-h2)          h2 ≧ 0.67h1       (4式)

   但し、gは重力の加速度

3 土木学会原子力土木委員会は、平成14年2月の「原子力発電所の津波評価技術」で越流に関して本間の公式を提示している。

 上記2項と同じ。

4 東北大学大学院の論文「構造物に作用する段波波力の実験 構造物を越流する場合」   

 防潮堤を越流する津波を想定したものである。以下、抜粋する。

① 実験設備

 高さ0.44m、幅0.3m、全長12mのアクリル製矩形水路で、水路中に台形上の堤体を配置。段波は鉛直造波板を水路傾斜板方向に平行に約1m、一定の速度で移動させることにより発生させた。

② 東北大学の公式

 Qは単位時間あたりの越流量、Bはモデルの幅、Hwは越流水深、Cは越流係数。

 Q=CBHw√Hw    C=4                     (5式)

③ 本間の公式の検討    

 本間(1940)は、台形堰を越流する流量算定式を提案している。台形堰の前面勾配m1=0~4/3、後面勾配m2 ≧5/3の場合、越流量は次式で表される。ここに、Qは単位時間あたりの越流量、Bはモデルの幅、Hwは越流水深、Hd モデル高、そしてCは越流係数である.

 Q=CBHw√Hw    C=1.37+1.01×(Hw/Hd)      (6式)

 グラフから見ると、C=1.8程度

④ 考察

 本間の公式による算定値よりも明らかに大きい値をとり、C=4程度である。

 また、堤体背後部において、段波の越流により極めて大きな波圧が発生することがわかった。

(ものぐさ解説)

 上記において、q=Q/Bとすれば、(6式)は(1式)と同じです。東北大学の式による越流量は、本間の公式に比べ2.2倍大きいことになります。東北大学が津波を想定し、本間の公式は低溢流を想定しています。これにより、このような差異が生じたのでしょうか。前提条件により、越流量は変わるようです。

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