« 除染の長期目標1ミリシーベルトは「成り行き任せの希望的な観測だ」 | トップページ | 津波越流 本間の公式 »

2013年11月19日 (火)

浜岡原発訴訟 傍聴記 アスペリティー及び越流量(本間の公式) その7

 11/14、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第十一回口頭弁論を傍聴しました。第10回(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記 アスペリティー・防水扉等の問題点 その6)に続き7回目です。

 朝、10時5分までに裁判所に集合し、行列に並びました。定員オーバーした場合には抽選です。一般傍聴席40人程度に対し、希望者は26人程度(内、女性4名)。全員が入廷できました。

 向かって左に原告、右が被告(中電)です。原告側26人程度、被告側14人程度でした。

 裁判官3人、報道関係者は6人でした。10時30分開廷です。準備書面12を事前に提出した原告が、その概略を説明し、裁判は、わずか10分程度で閉廷しました。

 裁判長は、原告の求釈明に対する被告の対応に苛立っているようにも感じました。悪印象を持ったのでしょうか。

 原告は「準備書面12」において、「津波が防潮堤に衝突した場合の越流量の見込み量及びその具体的な計算式」と「津波の高さの具体的な数値」を求めているが、中電からは明確な回答が得られていません。

 口頭弁論、その後の記者会見から現時点での争点を拾って見ます。不正確な点があるかも知れません。(中電)の部分は、原告の記者会見で聞いた中電の主張です。

① アスペリティーを浜岡原発直下において、最大加速度を評価しているか。

(中電) 南 海トラフの巨大地震モデル検討会の想定 に基づいて 検討した結果、直下にアスペリティを置いても、3、4号機で水平方向の最大加速度は800 ~1000ガル程度、5号機では1400~1900ガル(中電 準備書面6)。興津川上流とは地盤が異なるので、3500ガルにはならない(中電 準備書面7)。

(ものぐさ) 平成25年4月26日付け「内閣府の公表結果を踏まえた浜岡原子力発電所への地震動の影響評価および地震対策の検討状況」で、中電は下記のアスペリティを想定しています。

・ 浜岡原発の西側にアスペリティーを配置しているが、浜岡原発の直下はアスペリティーの境界をかすめているだけである(内閣府東側ケース)。

・ 浜岡原発の東側にアスペリティーを配置しているが、浜岡原発の直下がアスペリティーの中央に位置しているわけではない。これも境界からわずか内側に入った程度だ(浜岡原発の直下にアスペリティーを置いたと言う中電のケース)。しかも、アスペリティーの深さや大きさの具体的な数値を示しているわけではない。

・ 先の駿河湾地震(平成21年8月11日 Mw6.5)で5号機は他の号機よりも大きな揺れを観測した。これに対し、中電は「5号機の増幅要因の調査・分析」において「周囲の岩盤に比べて地震波の速度が低下する地下構造があり、これにより地震の揺れが増幅した」と報告してる。

 地震が起きる前に、こんなことが判らなかったのかと不思議な気持ちです。逆に、地震や地盤については、地震が起きるまで良く判らないのだと理解したほうが正しいようです。シミュレーションも前提条件を適当に決めた結果であり、本当にその程度で収まるのか、地震が起きるまで判らないと見たほうが良さそうです。

(原告) 2003年の中央防災会議は、東海地震(Mw8)を想定し、興津川上流域にアスペリティーを置いた場合、直上付近の最大加速度は3500ガルと試算。地震に対するシミュレーションにおいて、アスペリティーを配置しないと、地震動の説明がつかないことから生まれた概念(米国)であり、科学的にその場所が特定できるものではない。中電は、アスペリティーを浜岡原発のやや西とか、やや東と言っているが原発直下に置いていない。どの程度の大きさのアスペリティーを置いて試算しているのかも不明である。アスペリティーの位置を科学的に定めることは不可能であるので、最悪を考慮して試算すべきだ。2000ガル程度の加速度で収まるはずはない。中電は、どの規模の地震を想定しているのか、明らかにせよ。

② 津波の遡上高や、防潮堤に衝突した津波の高さや越流量に関する具体的なシミュレーションはしているのか。

(原告) (遡上や防潮堤への衝突を考慮した)具体的な数値はなく、計算式のみの提出。公式や前提の正しさについて述べよ。地震学では、本間の公式(注1)の正しさについて確認されていない。証明されていないものを公式と中電は主張するが、これについて裁判長は(原告の指摘に?)理解を示す。公式をブラックボックス化させない。本間の公式に科学的合理性を示せ。

(中電) 後日回答する。 

③ 強化扉の開閉は。

(原告) 開放したままにしておくのか。

(中電) 「今後は開閉する」と言っているが、(ものぐさ)としては意味不明。

④ Mw9.6の地震動と基準津波40mについて。

(原告) 対応するのか否か。

(中電) 書面は今後用意する。

⑤ その他

・ 「計算式の理論的根拠」や「東日本大震災前後でアスペリティーの認識は変わったのか」と言う原告の求めに対し、中電の説明は不十分。

 裁判長は、「双方書面で問いと回答をしてほしい」、「法廷でのやりとりを書面で記録化したい」、「法廷において口頭で、証拠等の説明をしてほしい」と要望した。「傍聴人に聞かせるのは活性化につながる」とも言っていたようだ。双方の議論がかみ合わないことに対する裁判長の苛立ちとも感じる(ものぐさ)。

・ Mw9.6を想定して対策をしているのかが今後の争点となる。

・ 小泉元首相の発言は額面どおり聞いてよい。評価している。影響大で、世論の8割は後押ししている。日々の闘いが必要(原告)。

・ 中電は1500ガルに対する耐震工事しかしていない。3500ガルには対応できない。

・ 米サンオノフレ原発では三菱重工製の蒸気発生器が破損した(ものぐさ 三菱重工 米サンオノフレ原発に数千億円の賠償 ?)。シミュレーションでは良かったが潰れてしまった。シミュレーションの不確かさを示すもので、不確かさについては津波シミュレーションも同じ。

(注1) 津波の河川遡上による堤内地への浸水を想定した場合の越流量を公式化したもの(マニュアル案の概要 国土技術政策総合研究所より抜粋)。河道内の水位が堤防天端を越えた場合の越流量を示したもの。

・ 「天端を越える前の津波高さ」から「天端高さ」を差し引いた値 h1、

・ 「天端を越えた後の津波高さ」から「天端高さ」を差し引いた値 h2

・ (h2/h1)<(2/3)の場合の越流量   q=0.35×h1×√2gh1

   (h2/h1)(2/3)の場合の越流量 q=0.91×h2×√2g(h1-h2)

 但し、gは重力の加速度

 本間の公式(1940)は、「低溢流堰堤の流量係数」として土木学会誌に掲載されたもので、津波を念頭において研究したのか疑問です。文言からは「堰堤(ダム等)を低いレベルで溢れる水の流量係数」とも読み取れます。原告も「地震学では、本間の公式の正しさについて確認されていない」と述べています(ものぐさ 津波越流 本間の公式)。

« 除染の長期目標1ミリシーベルトは「成り行き任せの希望的な観測だ」 | トップページ | 津波越流 本間の公式 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 除染の長期目標1ミリシーベルトは「成り行き任せの希望的な観測だ」 | トップページ | 津波越流 本間の公式 »