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2013年12月28日 (土)

良く見ておこう 原発事故の現実(故郷喪失・除染・汚染水・被曝・賠償・廃炉)

 12/13、政府は放射能で汚染された土地を国有化し、中間貯蔵施設の建設を受け入れるよう自治体に要請しました。住民保障が不十分であることを除けば、止むを得ない選択であると思います。

 しかし、土地の買い上げ価格の設定には怒りを感じています。政府は、事故で目減りした土地の価格を基準に土地を買い上げると言っています。目を疑って何度もその記事を読み返しました。目減り分は東電が賠償するのでしょうか。どこが賠償するのでしょうか。ウヤムヤで反古にされてしまうのでしょうか。土地の買い上げは、事故前の土地の価格でなければなりません。

 放射能の恐怖に怯え、故郷を追われ、人生設計が狂ってしまった被災者の気持ちに思いを馳せると、胸が痛くなります。辛いことであるが、今起きている福島の現実を直視し、目に焼きつけ、「原発再稼動NO」の声を発し続けていかなければなりません。

 しかし、福島原発事故を忘れたかのように、政府、原発推進派は再稼動に夢中です。経産省の諮問機関である総合「資源エネルギー調査会は、原子力はエネルギーを支える基盤となる重要な電源であるとして、事故前の原発推進に舵を切ってしまいました(ものぐさ エネルギー基本計画素案にパブリックコメントを)。

 改めて、福島の現実を思い起こして見ます。

1 故郷喪失

・ 福島県全体で見ると、避難者数は全体で約15.4万人に上り、福島県内への避難者数は約9.7万人、福島県外への避難者数は約5.7万人となっています(平成25年3月)。

・ 大熊・双葉両町に占める帰還困難区域(年間追加被曝線量50ミリシーベルト超)は96%にも及び、汚染土を保管する中間貯蔵施設の受け入れも止むを得ない状況になっています。帰還断念と移住と言う厳しい現実が突き付けられています(12/15)。

・ 原発事故に伴う避難生活の長期化による「震災関連死」は1605人(11/30)に上りました。震災後の混乱で適切な治療を受けられず病状が悪化したり、避難生活の中で発病したり、心のバランスを崩し、自殺した人達です。

2 除染は不可能

・ 宮城県丸森町の調査で2012年6月に採取した落ち葉層の平均セシウム濃度が1キログラム当たり2万6684ベクレル、地下0~10センチの土の層は721ベクレルであったものが、13年6月には、それぞれ4万2759ベクレル、3225ベクレルに上昇しています。落ち葉層は廃棄物処理の安全基準(1キログラム当たり8000ベクレル)を超えています(12/16)。

・ 「帰還困難区域」は事故後6年たっても20ミリシーベルトを下回らず、10ミリシーベルトになるには15年以上かかると見られています(ものぐさ 除染の長期目標1ミリシーベルトは「成り行き任せの希望的な観測だ」)。

・ 除染土が団地敷地内の児童公園に保管袋に入れたままで放置されていました。放射線量は最高で安全基準の約10倍です。中間貯蔵施設の完成まで、除染廃棄物は各自治体が作る「仮置き場」での保管を予定しているが、設置は難航しています(12/16)。

2 増え続ける汚染水

・ 汚染水は1日400t増え、地上タンクに保管された汚染水は33万8000t(8/27)にもなり、海洋流出はいまだ続いています(ものぐさ 汚染水漏れ これでも「完全ブロック」か)。

・ IAEA調査団は「基準値以下の汚染水ならば、海洋放出を含めあらゆる選択肢を考慮すべきだ。トリチウムの被曝影響は極めて限定的だ」と提言しています。日本原子力学会も、同原発内に大量にたまり、海への流出が問題となっている放射能汚染水の成分のうち、高性能な浄化装置でも除去が難しいトリチウム(H3 三重水素)を、自然の海に含まれる濃度(基準値以下の間違いではないか?)まで薄めてから海に放出することを提案しました(ものぐさ トリチウム 飲んでみろよ)。

3 低線量被曝の恐怖に怯えての生活

・ 福島県田村市の都路地区(年間平均被ばく線量5ミリシーベルト超)は、帰還に向けた準備が進められています。帰還を歓迎する住民がいる一方、「都路は、今暮らしている仮設住宅より線量は高いし、山林は全く除染されていない。避難指示が解除されるとともに、賠償も切られ、我々は放り出されるんじゃないか」と不安を訴える住民もいます(ものぐさ 福島・田村市都路地区 5ミリシーベルト超でも帰還 ?)。

・ 「県民健康管理調査」検討委員会は11/12、「甲状腺と確定した子供は26人、がんの疑いは32人」と記者会見で公表しています(ものぐさ 福島原発 甲状腺障害)。

・ 20ミリシーベルト以下は「避難指示解除準備区域」に指定され、IAEA(国際原子力機関)は、「除染をしている状況では、年1~20ミリシーベルトの如何なる個人被曝も許容される」との発言をしています(ものぐさ IAEA 年1~20ミリシーベルト  許容)。帰還が始まり、賠償が打ち切られるのでしょうか。

4 不十分な賠償費用

・ 東電は、福島原発事故に伴う賠償を打ち切ろうとしています。「事故後2年が過ぎ、新規事業もできるはずで、今春以降の損害は因果関係なし」と言うのが東電の理由です(ものぐさ 福島原発 風評被害の賠償打ち切り ?)。

・ 中間貯蔵施設の国有化にあたって、土地の買い上げ価格は事故で目減りした土地の価格を基準に土地を買い上げると言っています。

・ 原発事故により避難した住民に精神的な苦痛を賠償する基準は、月額10万円としていました(ものぐさ 原発による精神的苦痛賠償金)。これを不服として浪江町は1人当たり月額10万円の慰謝料を、町内の除染が完了するまで35万円に増額するよう求めています。現在の慰謝料は、長期に及ぶ避難生活に伴う苦痛などの補償として、交通事故被害者に自動車損害賠償責任保険から支払われる慰謝料の基準額(月額換算12万6千円)を基に決められており、町側は、放射線被曝の不安やコミュニティー崩壊による苦痛などが加味されておらず、少なすぎると主張しています(12/25)。交通事故でも月額35万円の賠償があります(最高裁判例)。

・ 避難指示区域外の都市部で新たな住宅を取得する住民を考慮し、都市部と住民が所有する土地の地価の差額の50~75%を払う方針です(10/25)。時価100万円の宅地を所有していた住民が、2000万円の宅地を購入した場合の差額は、(2000-100)×(0.5~0.75)=950~1425万円。半分程度の補填です。時価2000万円の宅地を所有していた住民が、2000万円の宅地を取得した場合の差額は0円です(ものぐさ)。住めなくなった2000万円の宅地はいくらで買い上げてくれるのでしょうか。事故で目減りした土地の価格を基準に買い上げるのでしょうか。住宅はどうするのでしょうか。不十分だと思いませんか。

 10/18、第二東京弁護士会は、原子力損害賠償紛争審査会に対して、「福島第一原発事故被害者の不動産賠償基準の見直しを求める意見書」を提出しています。以下記します。

① 居住用の土地については,被害者の個別事情に応じ合理的に選択した移転先で必要な土地を取得できるに足りる賠償基準を定める。
②  居住用建物については,被害者が移転先において,事故前と同等の建物を建築するに足りる賠償基準を定める。

 「被害者の生活基盤を確保させることが急務であることに鑑み,端的に居住用不動産の再取得に必要な費用の全額を賠償する基準が定立されるべきである」と結んでいます。

5 廃炉は40年にも及び、膨大な予算を投入。

・ 「世界で最も廃炉作業が進むトロースフィニッド原子力発電所(英)では、施設を完全に解体し終えるまでに90年の歳月を要する」と伝えられています。しかも、これは深刻な事故を起こしたわけでもなく、普通に運転をして普通に廃炉作業に入った原発で、なおかつ23.5万キロワットという小さな原発です。それでもこれだけの時間が必要なのです。 果たして、40年で終了するのでしょうか。

・ 東電は、廃炉・汚染水対策として2兆円を見積もっているが、仮に廃炉に90年も要するのであれば、この程度で収まるとは思えません。

・ 原発の廃炉を容易にするために会計制度を変え、その負担を、電気料金で回収する案を経産省は了承し、年内にも新制度が適用される模様です(ものぐさ 会計制度変更で福島原発廃炉にも電気料金の負担 ?)。しかも、国民負担です。

 事故から26年経過したチェルノブイリ原発事故による甲状腺がん患者(事故当時の年齢が18歳未満)の年間の発症数は事故後26年たった今ても増え続けています。2009年は、実に1万人当たり1人の発症割合です(ものぐさ 福島原発 甲状腺障害)。

 それでも、貴方は原発の再稼動を認めるのですか。

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