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2014年2月25日 (火)

避難指示解除 都路地区 

 2/23、政府の原子力災害対策本部は、都路地区に出されていた避難指示を、4/1に解除する方針を決めました。政府は、解除の要件である「①放射線量が年20ミリシーベルト以下、②生活環境のインフラ整備、③地元との十分な協議」をクリアしたと判断し、「避難指示は憲法が保障する居住の自由を拒む命令、田植えを再開し、家を補修したい人の人生の再建を遅らせる権利は政府にはない」と述べています。更に、「解除したから帰還しなさい、ではなく個々の判断」とも付け加えています。

 一方、説明会に参加した住民の意見は、2分されたままです。帰還に慎重な住民は「将来、子育てをすることを考えると避難指示解除に慎重になるのは当然」と述べています。

 さて、解除の要件は妥当なのでしょうか。上記①、③の要件について検討して見ましょう。

① 「放射線量が年20ミリシーベルト以下」(ものぐさ IAEA 年1~20ミリシーベルト  許容

 IAEA(国際原子力機関)は、「除染をしている状況では、年1~20ミリシーベルトの如何なる個人被曝も許容される」との発言をしています。

 チェルノブイリ原発事故により放射線被害を受けた市民の保護に関する「チェルノブイリ法」は

・ 年間追加被曝線量5ミリシーベルト超は「移住義務地域」。

・ 同1ミリシーベルト超~5ミリシーベルト以下を「移住権利地域」。

と定め、被災者の健康管理や年金増額などの支援策を国は実施しています。

 ICRPは被曝許容値をどう規定しているのでしょうか。

・ 平常時の被曝量 1ミリシーベルト/年。

・ 緊急時の被曝量 20ミリシーベルト~100ミリシーベルト/年。緊急時とは放射線を制御できていない状態。

・  復旧時の被曝量  1ミリシーベルト~20ミリシーベルト/年。復旧時とは放射線のコントロールは取り戻したものの、その場に放射性物質が残ってしまった状況を想定。事故が収束したあとの復旧時になり、住民がその土地に住み続ける場合に該当。

 上記に見るように「20ミリシーベルト」という基準は、復旧時の暫定的な数値なのです。セシウムの半減期を30年とすると、かなり長期間、帰還した住民は被曝を受けることになります。「帰還困難区域」は事故後6年たっても20ミリシーベルトを下回らず、10ミリシーベルトになるには15年以上かかると見られています。1/5に減少するのに15年要します。年間被曝量が20ミリシーベルト以下の「避難指示解除準備区域」にこの比率を適用すると、5ミリシーベルトから1ミリシーベルトに減少するまでに15年要します。1ミリシーベルト以下にするには、十数年から数十年の月日が必要です(ものぐさ 除染の長期目標1ミリシーベルトは「成り行き任せの希望的な観測だ」)。

 国民や住民の多くが「20ミリシーベルト」という数値に納得しているわけではありません。政府が勝手に定めた数値なのです。「放射線被曝の心配はないから、どうぞ安心して帰還してください」と言っているようにも思えません。

③ 「地元との十分な協議」

 住民の声が2分されている状況下で、「地元との十分な協議」が行なわれたと言えるのでしょうか。そうは思いません。

 政府の言う「避難指示は憲法が保障する居住の自由を拒む命令、田植えを再開し、家を補修したい人の人生の再建を遅らせる権利は政府にはない。解除したから帰還しなさい、ではなく個々の判断だ」については妙に納得してしまいそうです。胡散臭さを感じます。

 文部科学省の原子力損害賠償審査会の指針によれば、月10万円の精神的賠償は避難指示解除後1年で打ち切られます。「帰還するかしないかは個々の自由だが、帰還しない人の精神的賠償金も打ち切る」と政府は言っているのです。放射能が怖くて帰還をためらっているのに、不条理であると感じませんか。政府が勝手に決めた要件を満たしたから避難指示を解除し、精神的賠償金を打ち切ろうとしているのです。これを根拠に、様々な支援が打ち切られていくのでしょう。

 下落した固定資産の評価額は補填されるのでしょうか(ものぐさ 福島・田村市都路地区 5ミリシーベルト超でも帰還 ?)。「癌が発症したとしても、放射能との因果関係は認められない」言うのでしょうか。2/8、福島の「甲状腺癌」の子供は33人、「癌の疑い」がある子供は42人に達しました。それでも、福島県の「県民健康管理調査の検討委員会」は「原発事故との因果関係について「考えにくい」としています。子供の甲状腺癌の発生率は100万人に1人が通説であるが、今回の調査では、1万人弱に1人の割合であり、100倍も大きいこととなります(ものぐさ 福島原発 甲状腺障害)。

 帰還した人も放射能の恐怖を感じ生活していくことになります。当然、精神的賠償を要求する権利は残っていると考えます。

 チェルノブイリ原発事故により放射線被害を受けた市民の保護に関する「チェルノブイリ法」は、年1ミリシーベルト超~5ミリシーベルト以下を「移住権利地域」と定め、被災者の健康管理や年金増額などの支援策を国は実施しています。日本国は、旧ソ連よりも酷くありませんか。

 「責任をもって再稼動を進める」という政府の責任とは、こんなものなのです。

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