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2014年3月22日 (土)

浜岡原発訴訟 傍聴記(基準地震動・基準津波・地震学の誤り) その8

 2/6、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第十ニ回口頭弁論を傍聴しました。第11回(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記 アスペリティー及び越流量(本間の公式) その7)に続き8回目です。

 朝、10時5分までに裁判所に集合し、行列に並びました。定員オーバーした場合には抽選です。一般傍聴席40人程度に対し、希望者は23人程度(内、女性2名)。全員が入廷できました。

 向かって左に原告、右が被告(中電)です。原告側30人程度、被告側15人程度でした。

 裁判官3人、報道関係者は4人でした。10時30分開廷です。準備書面13~16を事前に提出した原告が、その概略を説明し、裁判は、20分程度で閉廷しました。

 記者会見時の記者数は10人程度でしたが、裁判を傍聴した記者はわずか4名でした。「裁判を傍聴することで、中電側の不誠実な態度が良くわかる。多くの記者の傍聴を希望する。」との発言が、記者会見で原告団長からありました。

 以下、準備書面13~16の概略を記者会見の内容と併せて記述します。

<準備書面13>  

 詳しくは(ものぐさ 浜岡原発の基準地震動策定の不確かさ)を参照。

・ 原発敷地を走っているH断層系(ものぐさ 浜岡原発 H断層系)について、中電は約8万年以降の活動はないとしか述べていjない。新基準が12~13万年以降であるので、中電の主張は新基準に適合していない。

・ これまでは、変動地形学(注1)への本質的理解が欠落し、活断層の過小評価が繰り返されてきた。

・ 「複数の活断層の連動」、「世界で起きた他の大地震」、「地震の不確かさ(震源断層の長さ、地震発生層の長さ・深さ、断層傾斜角、アスペリティの位置・大きさ、応力降下量、破壊開始点等)」を組み合わせて基準地震動を策定すること。

・ アスペリティの位置を原発直下に設定する必要がある。

・ 現在用いられている「野田らの応答スペクトルに基づく地震動評価式」や「加藤らの応答スペクトル」は、データが不十分。不確かさを考慮した最大値としなければならない。

・ 入倉京都大学名誉教授による地震発生メカニズムについて、同氏は「開発途上であり、特に海溝型地震については信頼性のあるものとはいえない」としている。

・ 日本での地震観測記録はわずか20年程度で、基準地震動策定の基礎となる観測データには大きな不確かさがある。

・ 中電は、アスペリティを原発直下に置いた場合、最大加速度応答スペクトルを800ないし1000ガル、5号機では1400ないし1900ガルと見積もっている。中央防災会議は、2001年に行なった想定東海地震(Mw8)で興津側上流にアスペリティを置いた場合、最大加速度応答スペクトルは3000~3500ガルと見積もっている。地震の不確かさを考慮すれば、中電の想定は到底認められない。不確かさをどのように考慮したかを明らかにしていない。

・ 中電は、アスペリティを過去の地震を元に配置したとしているが、過去の地震とは何か。1707年、1854年を指すのか。この時代に地震計はあったのか。震源域は古文書か。評価手法は妥当か。

(注1) 空中写真判読をもとに地形の成因と発達史を明らかにした上で、それを根拠に論理的思考に基づいて活断層のを認定する。

<準備書面14> 

 詳しくは(ものぐさ 浜岡原発の基準津波の策定時に考慮すべきこと)を参照。

・ 原子力規制委員会が定めた「基準津波の審査ガイド」は、南海トラフ検討会の想定(Mw9.1)より遥かに大きい想定(Mw9.6)を求めている。

・ 地震モーメント(M0)と平均すべり量のスケーリング則によれば、基準津波の津波高さは63mとなる(ものぐさ 浜岡原発の基準津波 63m ?)。

・ 津波の干渉による最大の波高を考慮すれば、南海トラフモデルでも、津波高さは28mとなる。

・ 満潮時の平均潮位(+0.76m)や平成5年8月の台風7号による高潮(+9.51m)を考慮すれば、南海トラフモデルでも、29.27mの津波高さとなる。前記63mの基準津波に10.27mを加えれば、最大津波高さは73mにもなる。

・ 海底の砂粒や礫塊が巻き上げられ水中に分散すれば、比重は大きくなり波力は増大する。また、船舶が防潮堤に激突すれば、わずか2m幅の防潮堤とそれにかさ上げした薄い構造体で防ぐことはできない。中電が建設中の高さ22mの防潮堤は一瞬に破壊され、原子炉自体が流されてしまう恐れすらある。

 このように津波だけに注目しても、多くの不確かさが指摘されています。原子力規制委員会は不確かさをどの程度と見積もるのでしょう。浜岡原発の適合性審査の行方に注目していきます。

<準備書面15>

 原発の安全性について、原告は中電に釈明を具体的に求めています。

・ アスペリティの具体的な配置について資料等の提出。

・ 水密扉は常時開放しておくのか、閉鎖しておくのかその運用基準はあるのか。開閉に要する人員と時間。液状化や地盤の断裂が想定されるが、何cm以上の段差で開閉不能となり、密閉不能となるのは何cm以上か。

・ 津波高さが何mの場合、遡上高は何mとなり、防潮堤を何m上回り、その際の津波速度と圧力は如何に。その結果、原発敷地内に何分間、何tの海水が流入するか。本間の公式の信頼性根拠を示せ(ものぐさ 津波越流 本間の公式)。

<準備書面16>

 現在の地震学が如何に曖昧で頼りないかを論じています。詳しくは(ものぐさ 地震学の現状・誤り)を参照。 

 同書面の最後に「現在の地震学が、曖昧で頼りなく、誤謬(間違い、誤り)に満ちたものであり、それは実験的検証に晒されていないことからある種必然的な事態である。更に知見の基礎となっている科学的データの集積は、あまりにも短期間であまりにも不十分である。不十分な知見の上に建設された原発の安全性は、脆く頼りないものである。専門家と称する人達は、「素人だまし」の手法で、数値や基準、概念を操作し、原発の安全性を演出してきた。専門家がこう言っているからと言う理由で司法は判断を放棄してはならない。」と結んでいます。

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