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2014年3月

2014年3月 2日 (日)

巨大地震による津波

 原子力規制委員会が定めた「基準津波及び耐津波設計方針に係る審査ガイド」には、基準津波の策定に当たって、プレート間地震に起因する津波の波源設定の対象領域としてし、下記3つの領域を例示し、その領域の地震規模の参考値を( )内に示しています。

① 千島海溝から日本海溝沿いの領域(最大Mw 9.6程度)
② 伊豆・小笠原海溝沿いの領域(最大Mw9.2程度)
③ 南海トラフから南西諸島海溝沿いの領域(最大Mw9.6程度)

 南海トラフから南西諸島領域では、Mw9.6の基準津波を想定しなければなりません。

 ここでで、巨大地震に伴う津波について整理をしてみます。

1 地震に伴う津波の発生メカニズム

・ 地震に伴って発生する海底の大きな断層運動により津波は生じる。

・ 断層運動は20~30秒なので、その間に水が横に逃げることができず、海底の上下運動が海水面の上下運動として現れる。

・ 巨大地震の場合、断層面に沿った帯状(少なくても数十km)の津波波源が現れ、津波高さを増大させながら海岸線に向かう。

2 発生場所における津波高さ

・ 地震によりプレートが沈み込む角度を(θ°)、滑り量を(ℓ)メートルとすると、海底の隆起高さ(h)メートルは

 h=ℓ sinθ               (1)

 となります。2011年東北地方太平洋地震では、宮城県沖の海溝の滑り量は56m以上とされています。

・ 南海トラフ巨大地震モデル検討会では、平均滑り量を10m、大滑り量を20m、超大滑り量を40mと推定しています。その結果、浜岡原発付近の想定津波高さを19mとしています。

3 津波高さ

・ 津波の速度は、水深が深いほど早く、浅くなるに従って遅くなります。

・ 津波の速度V(メートル/秒)は、水深をh(メートル)、重力の加速度g(メートル/秒の二乗)とすると、

 V=√(g×h)=√(9.8×h)     (2)

 となります。この関係によれば、津波の速度は、水深5000mで時速800km、水深50mで時速250km、水深10mで時速36mとなります。

・ 津波は、沖合いで低くても、陸地に近づくにつれ、後ろの早い波が前の遅い波に覆いかぶさり高くなります。

 

2014年3月 4日 (火)

原発損害賠償訴訟を応援できないか

 3/3、「文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(原発ADR)は原賠審指針に対する柔軟性に乏しく、賠償を打ち切られた地域では、追加賠償を求めて訴訟に踏み切る動きが相次いでいる」と報道は伝えています。

 「町民のほとんどは町への帰還をあきらめている。区域の違いにより賠償に差があるのは納得できない」と、住民は不満を訴えています。

 避難区域の違いによる損害賠償の基準を整理してみましょう。

① 帰還困難区域        避難と故郷喪失に伴う精神的苦痛への慰謝料として1人1450万円。

② 居住制限区域        精神的損害への慰謝料1人月10万円を避難指示解除1年後まで至急。

③ 避難指示解除準備区域  同上

④ 緊急時避難準備区域    精神的損害への慰謝料1人月10万円を2012年8月まで支給。

 住民の不満の声を列挙します。

・ 自宅は雨漏りで屋根裏が腐り、畳はカビだらけで住めない状態(富岡町 居住制限区域)。

・ 故郷を失う苦痛はみんな同じで、賠償も同じであるべきだ(富岡町 居住制限区域)。

・ 「戻りたい」と答えた町民は12%。避難指示解除後1年以内には賠償が打ち切られる。町に帰らなければ、賠償のない状態で避難を続けることになる(富岡町)。

・ 2月末現在、約3900が慰謝料を打ち切られたまま避難生活を続けている。町民約5200人のうち自宅に戻ったのは約1300人(広野町 緊急時避難準備区域)。

・ インフラや生活関連サービスが復旧せず帰還が進まない状況で賠償が打ち切られた(広野町)。

 住民の苦痛を理解しようとせず、最低限の賠償で問題を解決しようとする官僚や東電の対応に憤りを感じます。このような冷たい論理に何故なるのでしょうか。柳田邦夫氏は著書「終わらない原発事故と日本病」の中で興味ある視点を示しています。

・ 被害者の現場に身を置いて問題を直視しようとする発想がない。

・ 自分の生死に関しては「1人称の視点」、家族の生死への対応は「2人称の視点」、一般の人々の命を見る官僚、企業人等の眼は「3人称の視点」。乾いた「3人称」の視点でしか事故を見ていない。

 結局、他人事として福島原発事故を見ているから、冷たい論理になるのです。「制度的な問題点を指摘して賠償の枠組みを変えるには訴訟しかない」と、都路地区の代理人である小海弁護士は訴訟の理由を説明しています。

 福島県民以外の国民はどの視点で被災者を見ているのでしょう。「3人称」の視点ですか。本当に我々は「3人称」の立場にあるのでしょうか。

 原発が再稼動し、地震に見舞われたならば、我々も故郷を失い、放射線の影響を恐れ、家族はバラバラになるのです。賠償も福島原発事故並みとなってしまいます。「この程度の損害賠償で収まるなら、再稼動し、事故が起きてもかまわないのではないか」と、関係者に思わせてしまいます。我々は現在「3人称」の立場にあるのではなく、「1人称」、「2人称」の立場にあるのです。決して他人事として見逃すわけにはいきません。

 訴訟には時間や費用が余計にかかるため、原発事故に苦しむ被災者の負担増加が懸念されています。小海弁護士の想いをかなえるためにも、以下の提案をします。

・ 住民の不満をまとめ、市町村が訴訟費用を補填する。または、市町村が訴訟を起こす。

・ 全国からのカンパを募るため、損害賠償サポータ組織を立ち上げる。

 (追記)

 帰還困難区域  年50ミリシーベルト以上

 居住制限区域  年20ミリシーベルト超~50ミリシーベルト以下

 避難指示解除準備区域  年20ミリシーベルト以下

 関連記事 (ものぐさ 避難指示解除 都路地区

        (ものぐさ 福島・田村市都路地区 5ミリシーベルト超でも帰還 ?

        (ものぐさ 原発による精神的苦痛賠償金

2014年3月 5日 (水)

浜岡原発の基準津波の策定時に考慮すべきこと

 中電は2/14、4号機の適合性審査(安全審査)を原子力規制委員会に申請しました。

 一方、中電は浜岡原発訴訟裁判において、原告側の安全に対する求釈明にまともに応じません。裁判に対しては誠に不誠実です。

 2/6、静岡地方裁判所における浜岡原発訴訟第十ニ回口頭弁論で提出された準備書面14は基準津波策定時に考慮すべ点について述べています、

<準備書面14>

・ 原子力規制委員会が定めた「基準津波の審査ガイド」は、南海トラフ検討会の想定(Mw9.1)より遥かに大きい想定(Mw9.6)を求めている。

・ 地震モーメント(M0)と平均すべり量のスケーリング則によれば、基準津波の津波高さは63mとなる(ものぐさ 浜岡原発の基準津波 63m ?)。

・ 紀伊半島から西側で地震が発生し、その波面が東側の震源域に達した時に東側で地震が発生した場合を想定すると、南海トラフモデルでも、津波高さは28mとなる。津波の干渉による最大の波高を検討すべきである(南海トラフモデルの不十分な点)。

・ 地殻変動による地盤の沈降及び、強振動による敷地地盤の沈下を考慮すべきである。

・ 満潮時の平均潮位(+0.76m)や平成5年8月の台風7号による高潮(+9.51m)を考慮すべきである。地震による津波が大型台風接近時の満潮時に重なれば、+10.27mとなる。南海トラフモデルの津波高さ19mに10.27mを加えた29.27mが津波高さとなる。前記63mの基準津波に10.27mを加えれば、最大津波高さは73mにもなる。

・ 63m級の津波に襲われた場合、中電が建設中の高さ22mの防潮堤は一瞬に破壊され、原子炉自体が流されてしまう恐れすらある。

・ 大規模な津波が発生し、海底の砂粒や礫塊が巻き上げられ、水中に分散すれば、比重が大きくなって波力は増大する。また、沖合いを航行する船舶が津波により運ばれ、防潮堤に激突する可能性もある。わずか2m幅の防潮堤とそれにかさ上げした+4mの薄い構造体で防ぐことはできない。

 このように津波だけに注目しても、多くの不確かさが指摘されています。原子力規制委員会は不確かさをどの程度と見積もるのでしょう。浜岡原発の適合性審査の行方に注目していきます。

 同委員会は基準津波の策定に当たって、津波波源を「南海トラフから南西諸島海溝沿いの領域(M.w9.6)」のほか、「千島海溝から日本海溝沿いの領域(Mw9.6)」と「伊豆・小笠原海溝沿いの領域(M9.2)」についても考慮すべきであると、解説しています。

 そうすると、太平洋沿岸にある全ての原発も同様に相当高さの基準津波を想定しなければなりません。適合性審査の行なわれる大間(12m)、六ヶ所再処理施設(55m)、東通(13m)、女川(14m)、東海第二(8m)の各原発についても注視していく必要があります。但し( )内は原発の敷地高さ。浜岡原発の敷地高さは6m。

2014年3月14日 (金)

福島原発事故後3年目の原発再稼動論

 3/11、福島原発事故が発生してから3年目となりました。政府のエネルギー基本計画案は、原発依存度について「可能な限り逓減させる」とする一方、再生可能エネルギーに関し「2015年までに最大限加速する」と述べるにとどめています。原発再稼動問題に関して、各有識者等はどのように考えているのでしょうか。以下、関係者の発言を記します。

 <政府関係者>

・ 国民が原発の安全性に不安を持つのは当然。原子力規制委員会の世界で最も厳しいレベルの規制基準に基づき徹底的な審査を行い、適合すると認められた原発は再稼動を進める(安倍首相)。

・ 地元の同意に向け、原発事故に備えた自治体の避難計画作りの支援に取り組む(安倍首相)。

・ 地域の事情が異なるので、(同意自治体を)一律に何kmと規定するのは適切でない(茂木経産相)。

 <野党関係者>

・ 避難計画を策定する原発30km圏内の自治体の「原発再稼動の同意」を義務付けよ(社民党)。

・ 再生可能エネルギーの数値目標を示せ(民主党)。

 <有識者>

・ テロ対策や火災防護の基準が弱く、「世界最高」とは言えない。(世界最高と言うことが)気の緩みを招く弊害がある(佐藤暁氏)。

・ 原発事故で何が起こったのか、再発防止のために何をしたらいいのか明らかにしておらず、危機時の対応策も示していない。福島原発事故の教訓も生かされているとは言い難く、現状のまま再稼働に向かうのは無責任だ。

 規制基準は、交流電源喪失という原発事故の原因分析の上に作られたものではない。活断層や安全設備をめぐり審査が迷走したり、手探りに陥っているのはそのためだ。教訓を規制に反映させるという最重要な仕事には着手さえしていない。

 危機時の政府の対応もまるで見えない。国民を守るために、地元首長と政府の誰がどんな情報を共有し、どの程度の避難を実施するのか、きめ細かいルールを整え、平素から演習しておく必要があるのに作業を進めていない。政府内の誰が責任を負うのかさえ明らかでない。

 いまだに十分な危機対応能力も身につけていない電力会社もある(以上、大前氏)。

・ 安全性が確認されたから再稼動、と言うのは論理が違う。原発事故の教訓を生かしていない。原発の半径30キロ圏の市町村が策定しなければならない避難計画について、計画の正当性が確認されてから再稼働の議論をすべきだ(政府事故調・畑村氏)。

・ 原発の安全性を保つために国際原子力機関(IAEA)が提唱する「5層の多重防護」について、(国内の原発で)やっていない所はたくさんある。3年たっても何も変わっていない(国会事故調・黒川氏)。

・ 事故は再び起こるかもしれない。再稼動の是非は国民がしっかり議論しなければならない。再稼働について、規制委の基準に合うかどうかだけではなく、社会にどれだけの影響を与えるのかをもっと考えるべきだ(民間事故調・北沢氏)。

 <報道>

・ 事故を前提とした取り組みも進んでいるとは言いがたい。原子力規制庁によると、避難計画の策定を義務付けられている原発から半径30km圏内の135市町村のうち、計画を策定済みなのは58自治体にとどまる。

・ 自治任せの弊害が顕在化している格好で、非常時に政府と自治体がどう連絡を取り合って避難開始などの重大な意思決定をしていくか仕組みも曖昧なままだ。

 <電力会社の幹部>

・ 今の会社規模では事故対応の人員確保が難しい。

 以上です。さて、私なりの意見を述べます。

 第一に、エネルギー基本計画案の「原発依存度について可能な限り逓減させる」と言う文言は、「可能でなければ原発は少なくなりませんよ」と言っているのです。

 「可能な限り」とは何を指すのでしょう。「LNGの輸入量が4兆円も増加したから」、「再生可能エネルギーが増えると電源が不安定になり送電線に接続できないから」、「再生可能エネルギーが増えないから(太陽光・風力・地熱等、潜在的には十分あると考える。増えないのは政府の覚悟が見えないから投資が進まないのだ。)」、「電力料金が上がるから」等、国はいくらでも屁理屈を付けて、原発を維持するに決まっています。

 第二に、安倍首相の言う「世界で最も厳しいレベルの規制基準」と言うのは本当でしょうか。有識者は「テロ対策や火災防護の基準が弱く、世界最高」とは言えない」と指摘しています(ものぐさ 日本の原発技術は世界一安全 ?)。日本の原発は世界一危険な断層の上にもあるのです。第2制御室、非常用電源、冷却設備などを備えた「特定安全施設」、免震能力や放射線遮蔽能力を備えた「免振重要棟」、加圧水型原発のフィルター付きベト装置は3~5年程度の猶予があり、不安全なままの再稼働です(ものぐさ 原発 新安全基準骨子にパブリックコメントを(シビアアクシデント))。上記「世界で最も厳しい」は噓です。そういえば、「福島原発の汚染水は完全にコントロールされている」と言う首相の発言も噓でした。

 更に、30km圏外でも放射能で汚染されると言うことが今回の福島原発事故で明らかになったにも関わらず、原子力協定を結ぶ対象自治体は、福島原発事故以前のままのようです(注1)。経産相の言う「一律に何kmと規定するのは適切でない」と言う発言も耳を疑ってしまいます。30km圏外でも放射能汚染されるのです。当然、原子力協定を結ぶ権利は30km圏内の自治体にはあるのです。再稼動のハードルが高くなるのでこのような発言をするのです。住民の安全など微塵も考えていないようです。

 第三に、野党は「自治体の原発再稼動の同意を義務付けよ」とか、「再生可能エネルギーの数値目標を示せ」とか、なぜか再稼動を前提にした議論にトーンダウンしてしまいました。電力労組の支援を受けた議員がこんな発言をしているのでしょうか。但し、社民党の言う「30km圏内の同意義務」は再稼動に関して大きなハードルとなります。原発立地自治体周辺の自治体は原子力安全協定の締結を要求していきましょう。

 第四に、原子力規制委員会は、原発立地自治体に対して、原子力災害対策指針(平成24年10月31日)に基づき、原発立地地域は「具体的な緊急避難計画を立案せよ」と要請しています。しかし、今年1月時点で避難計画を策定した自治体は、135市町村のうち、58自治体にとどまっています。再稼動の有力候補である川内原発は、形式は整ったものの実際の避難訓練は乏しいと、報道は伝えています。たぶん、実効性の乏しい「絵に描いた餅」なのでしょう。米原子力規制委員会のヤツコ前委員長は、日本で計画が整備されていないまま再稼動の議論が進むことに驚いています。実効性のある避難計画なしの再稼動は認められません(ものぐさ 安心できない緊急避難計画なら再稼動するな)。

 第五に、法律によって国会に設けられた国会事故調査意委員会の提言を議論もせずに、再稼動が前のめりで進められていることです。

 (注1) 原子力安全協定の締結により、市町は安全確保のための措置を電力会社に要求し、再稼動時の安全に対し異議を唱えることができます(ものぐさ UPZ区域は原子力安全協定を締結せよ EPZを拡大せよ)。

2014年3月18日 (火)

川内原発 緊急避難計画が不安なら再稼働に反対せよ

 原子力規制委員会は、川内原発1・2号機の審査を優先的に実施するとしています。基準地震動を540ガルから620ガルに引き上げる方針を九電が示したことが評価されたのでしょうか。そして、原子力規制委員長は「合格の見通しが立った原発ととらえていい」との見解を示しました。

 さて、原発立地自治体である川内市の緊急避難計画(HPより)はどの程度の出来具合でしょうか。同市HPを見てみましょう。

 同原発から半径10km以内の住民に対す緊急避難計画として、①バスで避難する人に対する集合場所(集会所、公民館、学校等)、②避難経路(国3→県42→国10等)、③避難施設と住所の3点が記載されていました。たった5枚の一覧表としてまとめられているだけであり、半径30km圏内の広域避難計画は現在作成中の模様です(3/15現在)。

 一方、昨年末までに阿久根市、出水市、さつま町、日置市を含む9市町が広域避難計画の策定を終えると、報道は伝えていました。一例として見た阿久根市の緊急避難計画は川内市のものとほとんど同じです。

 再稼動を目前にして多くの住民は、緊急避難計画に不安を感じているようです。以下、報道から不安の声を拾ってみます。避難対象は9市町、約21万7000人です。

・ 事故発生は好天の昼間とは限らず、避難は一筋縄ではいかない。机上プランの印象が色濃く、これで本当に住民の安全を守れるのか、不安を拭えない。

・ 避難は原則自家用車を利用。約80km離れた指宿市や県境を熊本県に避難する地域もあり、渋滞の心配や、指定された避難経路に従って無事に避難所にたどりつけるかと不安の声がある。

・ 寝たきりや介護が必要な災害弱者は30km圏内の240ヶ所の福祉施設に約1万人いるが、避難対策が全くとられていない。

・ 5km圏内にある7ヶ所の病院やグループホームなどには約360人いるが要援護者対策は全くできていない。

・ 川内市の担当者は「要援護者を移送するための担架や車椅子など足りない。近隣の市町に支援をお願いする」と話している。

・ 県の担当者は「どの施設も満床が多く、空いていないのが現状だ」と話している。

 上記に見るように、避難時の渋滞や、災害弱者への対応等に不安を感じているようです。

 私の懸念事項を以下に記します。

 ①地震や津波で避難経路が寸断したらどうするのか。②西風が吹いていた場合、風下である指宿方面に避難するのか。③指宿方面への避難予定者が風上である熊本方面に向かった場合、更なる渋滞とならないか。④巨大噴火の被害を受けるリスクはないのか(注1)。⑤台風が来ていたらどうするのか。⑥避難先の食料や寝具はどうするのか。⑦(高線量の地域に)避難バスは迎えに来るのか。

 最悪の事態を想定した避難計画に全くなっていません。最悪を想定すれば、避難計画などできません。全くの机上プランです。自治体はこの程度の計画で避難計画の策定を終えたと、よく言えたものです。

 中立的な第三者の判断を仰いで緊急避難計画を策定してください。

 住民参加のもと避難計画を策定してください。

 不可能なものは不可能だと、国、県や市町村の説明に敢然と異議を唱えないのですか。

 事故が起きたとき、貴方が被害に会うのですよ。余りにも従順です。国が何とかしてくれると思っているのですか。福島の現実を見てください。わが身を安心させるために、強いて不完全な避難計画を受け入れるのですか。

 米ニューヨーク州のショーラム原発は、避難計画を州知事が承認しなかったため、運転開始できずに89年、廃炉となりました。

 原子力規制委員長は2013.2.13の記者会見で、「再稼動の条件としては、必ず防災計画というのがきちっとして、地域の方が安心できるかどうかが大きな条件になるでしょうということで、私は車の両輪になる」と述べています(ものぐさ 安心できない緊急避難計画なら再稼動するな)。避難計画に不安があるなら「再稼働反対」を要求する権利はあります。これは法律的な問題ではなく、倫理的な問題です。

 (注1) 巨大噴火の被害を受けるリスクがある原発として川内原発を挙げた火山学者は29人と最多。うち再稼動すべきではないとした学者は19人。

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2014年3月20日 (木)

地震学の現状・誤り

 中電は2/14、4号機の適合性審査(安全審査)を原子力規制委員会に申請しました。

 一方、中電は浜岡原発訴訟裁判において、原告側の安全に対する求釈明にまともに応じません。裁判に対しては誠に不誠実です。

 2/6、静岡地方裁判所における浜岡原発訴訟第十ニ回口頭弁論で提出された準備書面16は現状の地震学の問題点について述べています、

<準備書面16>

1 地震学の特色

・ 実験的確認なされたもの(実証)はほとんどなく、その真実性を担保するものがない。アスペリティ(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記 アスペリティー・防水扉等の問題点 その6 浜岡原発訴訟 傍聴記 アスペリティー及び越流量(本間の公式) その7)すら実験的確認がとれたものではなく、単なる仮説に過ぎない。

・ 実験的に確認されたごく少数の知見と単なる推測に基づく仮説が混在している。

・ 証明について厳密さがないのと同様、概念定義も曖昧(アスペリティ、プレート等)。

・ 公式は、どのように証明したのか明らかにされていない。公式作成時の基礎データに幅があり、上限、下限がカットオフされ、単に統計的な中央値が示されるに過ぎない。

2 不確かさと信頼性の低さ

・ 「東北地方太平洋地震」は、今までの学説や議論が根本的に間違っていたことを明らかにした。

3 基準地震動の誤り

・ 基準地震動を上回る確率(超過確率)は1万年に1度としている。とすれば588年に1度の確率となるが、実際には10年間で4度(①2005年8月の宮城沖地震(Mj7.2)の女川原発、②2007年3月の能登半島地震(Mj6.9)における志賀原発、③2007年7月の新潟県中越沖地震における柏崎刈羽原発、④2011年3月の東北地方太平洋沖地震における女川原発と福島第一原発)も基準地震動を上回る地震が起きている。実に2.5年に1度の割合である。基準地震動の策定に誤りがあるとしか考えられない。

・ 1万年に1度といっても1万年観測されてきたわけではない。一定期間の観測結果から予測された数値でしかない。

・ 基準地震動は科学的に十分な根拠を持った数値ではなく、単に原発審査のために不正確であることを知りながら敢えて使用されている。

 最後に、準備書面16は次のように結んでいます。

 現在の地震学の知見は、曖昧で頼りなく、誤謬(間違い、誤り)に満ちたものである。それは、実験的検証に晒されていないことから、ある種必然的な事態である。更に知見の基礎となっている科学的データの集積は、あまりにも短期間であまりにも不十分である。不十分な知見の上に建設された原発の安全性は、脆く頼りないものである。専門家と称する人達は、「素人だまし」の手法で、数値や基準、概念を操作し、原発の安全性を演出してきた。専門家がこう言っているからと言う理由で判断を放棄してはならない。

2014年3月22日 (土)

浜岡原発訴訟 傍聴記(基準地震動・基準津波・地震学の誤り) その8

 2/6、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第十ニ回口頭弁論を傍聴しました。第11回(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記 アスペリティー及び越流量(本間の公式) その7)に続き8回目です。

 朝、10時5分までに裁判所に集合し、行列に並びました。定員オーバーした場合には抽選です。一般傍聴席40人程度に対し、希望者は23人程度(内、女性2名)。全員が入廷できました。

 向かって左に原告、右が被告(中電)です。原告側30人程度、被告側15人程度でした。

 裁判官3人、報道関係者は4人でした。10時30分開廷です。準備書面13~16を事前に提出した原告が、その概略を説明し、裁判は、20分程度で閉廷しました。

 記者会見時の記者数は10人程度でしたが、裁判を傍聴した記者はわずか4名でした。「裁判を傍聴することで、中電側の不誠実な態度が良くわかる。多くの記者の傍聴を希望する。」との発言が、記者会見で原告団長からありました。

 以下、準備書面13~16の概略を記者会見の内容と併せて記述します。

<準備書面13>  

 詳しくは(ものぐさ 浜岡原発の基準地震動策定の不確かさ)を参照。

・ 原発敷地を走っているH断層系(ものぐさ 浜岡原発 H断層系)について、中電は約8万年以降の活動はないとしか述べていjない。新基準が12~13万年以降であるので、中電の主張は新基準に適合していない。

・ これまでは、変動地形学(注1)への本質的理解が欠落し、活断層の過小評価が繰り返されてきた。

・ 「複数の活断層の連動」、「世界で起きた他の大地震」、「地震の不確かさ(震源断層の長さ、地震発生層の長さ・深さ、断層傾斜角、アスペリティの位置・大きさ、応力降下量、破壊開始点等)」を組み合わせて基準地震動を策定すること。

・ アスペリティの位置を原発直下に設定する必要がある。

・ 現在用いられている「野田らの応答スペクトルに基づく地震動評価式」や「加藤らの応答スペクトル」は、データが不十分。不確かさを考慮した最大値としなければならない。

・ 入倉京都大学名誉教授による地震発生メカニズムについて、同氏は「開発途上であり、特に海溝型地震については信頼性のあるものとはいえない」としている。

・ 日本での地震観測記録はわずか20年程度で、基準地震動策定の基礎となる観測データには大きな不確かさがある。

・ 中電は、アスペリティを原発直下に置いた場合、最大加速度応答スペクトルを800ないし1000ガル、5号機では1400ないし1900ガルと見積もっている。中央防災会議は、2001年に行なった想定東海地震(Mw8)で興津側上流にアスペリティを置いた場合、最大加速度応答スペクトルは3000~3500ガルと見積もっている。地震の不確かさを考慮すれば、中電の想定は到底認められない。不確かさをどのように考慮したかを明らかにしていない。

・ 中電は、アスペリティを過去の地震を元に配置したとしているが、過去の地震とは何か。1707年、1854年を指すのか。この時代に地震計はあったのか。震源域は古文書か。評価手法は妥当か。

(注1) 空中写真判読をもとに地形の成因と発達史を明らかにした上で、それを根拠に論理的思考に基づいて活断層のを認定する。

<準備書面14> 

 詳しくは(ものぐさ 浜岡原発の基準津波の策定時に考慮すべきこと)を参照。

・ 原子力規制委員会が定めた「基準津波の審査ガイド」は、南海トラフ検討会の想定(Mw9.1)より遥かに大きい想定(Mw9.6)を求めている。

・ 地震モーメント(M0)と平均すべり量のスケーリング則によれば、基準津波の津波高さは63mとなる(ものぐさ 浜岡原発の基準津波 63m ?)。

・ 津波の干渉による最大の波高を考慮すれば、南海トラフモデルでも、津波高さは28mとなる。

・ 満潮時の平均潮位(+0.76m)や平成5年8月の台風7号による高潮(+9.51m)を考慮すれば、南海トラフモデルでも、29.27mの津波高さとなる。前記63mの基準津波に10.27mを加えれば、最大津波高さは73mにもなる。

・ 海底の砂粒や礫塊が巻き上げられ水中に分散すれば、比重は大きくなり波力は増大する。また、船舶が防潮堤に激突すれば、わずか2m幅の防潮堤とそれにかさ上げした薄い構造体で防ぐことはできない。中電が建設中の高さ22mの防潮堤は一瞬に破壊され、原子炉自体が流されてしまう恐れすらある。

 このように津波だけに注目しても、多くの不確かさが指摘されています。原子力規制委員会は不確かさをどの程度と見積もるのでしょう。浜岡原発の適合性審査の行方に注目していきます。

<準備書面15>

 原発の安全性について、原告は中電に釈明を具体的に求めています。

・ アスペリティの具体的な配置について資料等の提出。

・ 水密扉は常時開放しておくのか、閉鎖しておくのかその運用基準はあるのか。開閉に要する人員と時間。液状化や地盤の断裂が想定されるが、何cm以上の段差で開閉不能となり、密閉不能となるのは何cm以上か。

・ 津波高さが何mの場合、遡上高は何mとなり、防潮堤を何m上回り、その際の津波速度と圧力は如何に。その結果、原発敷地内に何分間、何tの海水が流入するか。本間の公式の信頼性根拠を示せ(ものぐさ 津波越流 本間の公式)。

<準備書面16>

 現在の地震学が如何に曖昧で頼りないかを論じています。詳しくは(ものぐさ 地震学の現状・誤り)を参照。 

 同書面の最後に「現在の地震学が、曖昧で頼りなく、誤謬(間違い、誤り)に満ちたものであり、それは実験的検証に晒されていないことからある種必然的な事態である。更に知見の基礎となっている科学的データの集積は、あまりにも短期間であまりにも不十分である。不十分な知見の上に建設された原発の安全性は、脆く頼りないものである。専門家と称する人達は、「素人だまし」の手法で、数値や基準、概念を操作し、原発の安全性を演出してきた。専門家がこう言っているからと言う理由で司法は判断を放棄してはならない。」と結んでいます。

2014年3月27日 (木)

「内閣府原子力被災者生活支援チーム」は何者か

 個人被曝線量調査について結果の公表を見送った「内閣府原子力被災者生活支援チーム」は何者なのでしょうか。内閣府であるから、原発推進の経産省と違うのでしょうか。その素性を明らかにするため、「子ども・被災者生活支援法」を巡る関係者の言動を拾い集めて見ました。

1 内閣府が経産省政策局長(兼内閣府原子力被災者生活支援チームに所属)を団長に、復興庁職員を含む10人をチェルノブイリに派遣(2012.3.?)。

2 内閣府は調査結果を再稼動推進有識者団体「エネルギー・原子力政策懇談会」の講演で報告(2012.5.29)。チェルノブイリ原発事故の被災者支援を定めた「チェルノブイリ法(注1)」の意義を否定する報告書を作成。報告書は講演後に回収。「避難」よりも「居住」、「帰還」を促したい意図が透けて見える。

3 「子ども・被災者生活支援法」が成立(2012.6.21)。

4 年1ミリシーベルトの基準を空間線量(屋内8時間、屋外16時間を前提)から個人線量に変える点について、川内村村長は「小手先の方法で目標を達成しようとしていると思われ、住民の納得は得られないだろう」と言及(2013.1.21)。

5 復興庁の元参事官が「懸案が一つ解決。白黒付けづに曖昧なままにしておくことに関係者が同意」とツイート(2013.3.8)。

6 元参事官の暴言ツイートが暴露(2013.6.13)。

7 「子ども・被災者生活支援法」の成立から1年以上も基本方針を策定しないのは違法として、住民が提訴(2013.8.22)。追加被曝線量が年1ミリシーベルトを超える地域を支援法の対象地域とすべきだ、と主張。

8 福島県内で避難指示が解除された区域に帰還する全ての住民に対し、環境省は携帯式の個人線量計を配布する方針を固めた(2013.8.27)。

9 復興庁は「子ども・被災者生活支援法」の基本方針を公表(2013.8.30)。基準となる放射線量を定めないまま、福島県内33市町村のみを支援対象地域とした。復興庁は当初から1ミリシーベルトを基準とするつもりはなかった。

10 内閣府の要請を受け、「原子力機構」と「放医研」は都路地区、川内村、飯館村で個人線量計を設置し、線量を測定(2013.9~10)。

11 原子力規制委員会は「帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的な考え方」をまとめた(2013.11.28)。

 ・ 空間線量から推定される年間被曝量が20ミリシーベルト以下が帰還の必須条件。

 ・ 帰還後の追加被曝線量が年1ミリシーベルト以下になるよう国が責任を持つ。

 ・ 帰還後の被曝線量の評価は空間線量からの推定ではなく、個人線量計を用いる。 

12 「原子力機構」と「放医研」が実施した個人被曝線量調査について、「内閣府原子力被災者生活支援チーム」は結果の公表を見送っていたことが明らかとなる(2014.3.24)。当初の想定より高い数値が出たため、帰還に影響するとの意見が強まったことが理由。

 さて、「内閣府原子力被災者生活支援チーム」は何者なのでしょうか。所属は内閣府ですが、チームの幹部に経産省の職員が含まれています。更に復興庁の職員が加わり、チェルノブイリ原発の視察が行なわれました。そして、非公式の会合で、「チェルノブイリ法」の意義を否定する報告がなされています。原子力規制委員会は、多数の批判的な意見が在るにも関わらず、帰還条件を年20ミリシーベルト以下としてしまいました。環境省は携帯式の個人線量計を配布する方針を固めました。状況証拠から判断すれば、役所は異なるもののみんな「グル」です。

 屋外労働者は個人線量計など常時携帯するでしょうか。真夏の作業を思い浮かべてください。24時間家に置きっぱなしなら、低い線量を示すに決まっています。これで住民の健康が守られるのでしょうか。体裁を整えるだけで、後は個人の責任だとして葬り去られそうです。「住民の健康を守るのだ」と言う気概が一連の言動から少しも伝わってきません。「避難」よりも「居住」、「帰還」を促したい意図が透けて見えます。後は原発事故も賠償もなかったこととしてしまおうと言う魂胆なのでしょうか

 また、個人線量計の累積値が年5ミリシーベルトであった場合、健康に被害が出ないと言い切れるのでしょうか(注2)。「チェルノブイリ法」の理念を尊重すれば、1ミリシーベルトを超える被災者に対しては、健康管理や年金増額などの手当をすべきです。「チェルノブイリ法」の否定についても、健康を守ること以外の理由がありそうです。

(注1) 年間追加被曝線量5ミリシーベルト超を「移住義務地域」、1ミリシーベルト超5ミリシーベルト以下を「移住権利地域」とし、国による被災者の健康管理や、年金増額などの支援策を定める。

(注2) 「放医研」は、「放射線防護の立場からは(線量と比例して)直線的にリスクは高まるという仮説を立てている」と述べている。

2014年3月30日 (日)

内閣府 被曝線量隠蔽・データ操作

 福島原発事故に伴う避難指示の解除予定地域で昨年実施された個人被曝線量調査について、「内閣府原子力被災者生活支援チーム」は結果の公表を見送っていたことが3/24、明らかになりました(ものぐさ 「内閣府原子力被災者生活支援チーム」は何者か)。

 関係者によると、当初の想定より高い数値が出たため、帰還に影響するとの理由だとのことです。

 そこに至った経緯を報道から追ってみます。

・ 福島県内6自治体が住民に配付した従来型の個人線量計の数値が、航空機モニタリングの値に比べて低かったことに同支援チームが着目。6自治体の平均値は0.2~0.7ミリシーベルト/年。航空機の平均値は0.7~2.9ミリシーベルト/年。

・ 同支援チームの要請を受けた原子力機構と放医研は昨年9月、都路地区、川内村、飯館村で新型の線量計を設置し数日間に渡って線量を測定。

・ 測定データを10月半ば、同支援チームに提出。

・ 同支援チームは生活パターンを屋外8時間・屋内16時間とする条件で年間被曝線量を推定した。

・ ところが、1ミリシーベルト台になると想定していた川内村の推計値が2.6~6.6ミリシーベルト/年と高かったため「インパクトが大きい」などの理由で(昨年9~11月の会合での)公表を見送った。

・ 同支援チームの要請を受け、原子力機構と放医研は屋外8時間の生活パターンをNHKの「2010年国民生活時間調査」による6時間に条件を短縮し被曝線量を低く抑えた最終案を提出。

         <推計値の操作 ミリシーベルト/年>

         川内村       都路地区      飯館村     

 農業   4.5→1.2~3..4  1.7→0.8~1.2  9.0→6.7~16.7

 林業   6.6→4.5~5.9   無し→2.2     9.2→8.2~16.9

 通学生  2.9→無し               0.7→無し      6.7→無し

 これに関して、専門家等は次のように指摘しています。

・ 生活パターン8時間は、一般的なもので、変えること自体がおかしい。自分たちの都合に合わせた数字いじりとしか思えない。

・ 新型の推計値は想定されるとおりの数字で伏せた理由がわからない。会議でも、「個人線量計の数値は航空機モニタリングに比べ1/4と低い」と言う政府側の意図を感じたが、懸念した通りだった。

・ 線量が高かったから出さない、と言うのは心外だ。

・ 住民を帰還させるのが目的と言う印象だ。数日間の測定では不十分で、帰還促進を急いだのではないか。

・ 保護者らの関心が高い通学生については推計値が消えている。

 NHK「2010年国民生活時間調査」によれば、農林漁業者の平均労働時間は、05年で6時間3分、10年で5時間39分です。男女別の労働時間の記述はありません。更に10時間を超えて働く人の割合は、05年で11%、10年で5%となっています。

 私の小さい頃、農村女性は夕飯を作るために作業を早く終えて帰宅していたと、記憶しています。この場合、女性の労働時間は短く、男性は長くなります。10時間を超える割合も5~11%もあります。平均被曝線量のみの推定にも違和感を覚えます。10時間の作業ではどの程度になるかと言う試算も必要です。平均推定値だけで安心してしまう人もいるでしょう。

 帰還条件として、個人線量計の携帯を義務付けるとしていますが、特に暑い日中に作業する農林業者は、個人線量計を常時携帯する気になるでしょうか。農林業者以外でも忘れてしまうのが普通なのです。携帯しなければ、被曝線量は低くなります。これも内閣府の思惑でしょうか。「実際の被曝量はこんなに低いですよ」と統計数字を公表する内閣府の顔が見えます。

 データの隠蔽と操作を先導した「内閣府原子力被災者生活支援チーム」はどのような立場で被災者の生活支援をしようとしているのでしょうか。生活者の支援と言うより、国の方しか見ていないように思えます。(住民を丸め込んだ)担当者はその功績を認められて立身出世していくのでしょう。

 「健康には直ちに影響しない」とか、SPEEDIの放射能拡散情報を隠蔽し住民を被曝させたりとか、日本の原発は世界一(ものぐさ 日本の原発技術は世界一安全 ?)とが、「汚染水は完全にブロックされれている(ものぐさ 汚染水漏れ これでも「完全ブロック」か)とか、県が秘密裏に進めた「準備会」において、県民健康調査委員会は、「がん発生と原発事故の因果関係はない」と見解をすり合わせたり(ものぐさ 福島原発 甲状腺障害)とか、うんざりします。

 隠蔽・過小評価する政府・官僚の体質は一向に改められていません。「撤退」を「転進」と言いつくろった太平洋戦争の大本栄発表となんら変わりません(ものぐさ 太平洋戦争と原発)。

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