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2014年3月30日 (日)

内閣府 被曝線量隠蔽・データ操作

 福島原発事故に伴う避難指示の解除予定地域で昨年実施された個人被曝線量調査について、「内閣府原子力被災者生活支援チーム」は結果の公表を見送っていたことが3/24、明らかになりました(ものぐさ 「内閣府原子力被災者生活支援チーム」は何者か)。

 関係者によると、当初の想定より高い数値が出たため、帰還に影響するとの理由だとのことです。

 そこに至った経緯を報道から追ってみます。

・ 福島県内6自治体が住民に配付した従来型の個人線量計の数値が、航空機モニタリングの値に比べて低かったことに同支援チームが着目。6自治体の平均値は0.2~0.7ミリシーベルト/年。航空機の平均値は0.7~2.9ミリシーベルト/年。

・ 同支援チームの要請を受けた原子力機構と放医研は昨年9月、都路地区、川内村、飯館村で新型の線量計を設置し数日間に渡って線量を測定。

・ 測定データを10月半ば、同支援チームに提出。

・ 同支援チームは生活パターンを屋外8時間・屋内16時間とする条件で年間被曝線量を推定した。

・ ところが、1ミリシーベルト台になると想定していた川内村の推計値が2.6~6.6ミリシーベルト/年と高かったため「インパクトが大きい」などの理由で(昨年9~11月の会合での)公表を見送った。

・ 同支援チームの要請を受け、原子力機構と放医研は屋外8時間の生活パターンをNHKの「2010年国民生活時間調査」による6時間に条件を短縮し被曝線量を低く抑えた最終案を提出。

         <推計値の操作 ミリシーベルト/年>

         川内村       都路地区      飯館村     

 農業   4.5→1.2~3..4  1.7→0.8~1.2  9.0→6.7~16.7

 林業   6.6→4.5~5.9   無し→2.2     9.2→8.2~16.9

 通学生  2.9→無し               0.7→無し      6.7→無し

 これに関して、専門家等は次のように指摘しています。

・ 生活パターン8時間は、一般的なもので、変えること自体がおかしい。自分たちの都合に合わせた数字いじりとしか思えない。

・ 新型の推計値は想定されるとおりの数字で伏せた理由がわからない。会議でも、「個人線量計の数値は航空機モニタリングに比べ1/4と低い」と言う政府側の意図を感じたが、懸念した通りだった。

・ 線量が高かったから出さない、と言うのは心外だ。

・ 住民を帰還させるのが目的と言う印象だ。数日間の測定では不十分で、帰還促進を急いだのではないか。

・ 保護者らの関心が高い通学生については推計値が消えている。

 NHK「2010年国民生活時間調査」によれば、農林漁業者の平均労働時間は、05年で6時間3分、10年で5時間39分です。男女別の労働時間の記述はありません。更に10時間を超えて働く人の割合は、05年で11%、10年で5%となっています。

 私の小さい頃、農村女性は夕飯を作るために作業を早く終えて帰宅していたと、記憶しています。この場合、女性の労働時間は短く、男性は長くなります。10時間を超える割合も5~11%もあります。平均被曝線量のみの推定にも違和感を覚えます。10時間の作業ではどの程度になるかと言う試算も必要です。平均推定値だけで安心してしまう人もいるでしょう。

 帰還条件として、個人線量計の携帯を義務付けるとしていますが、特に暑い日中に作業する農林業者は、個人線量計を常時携帯する気になるでしょうか。農林業者以外でも忘れてしまうのが普通なのです。携帯しなければ、被曝線量は低くなります。これも内閣府の思惑でしょうか。「実際の被曝量はこんなに低いですよ」と統計数字を公表する内閣府の顔が見えます。

 データの隠蔽と操作を先導した「内閣府原子力被災者生活支援チーム」はどのような立場で被災者の生活支援をしようとしているのでしょうか。生活者の支援と言うより、国の方しか見ていないように思えます。(住民を丸め込んだ)担当者はその功績を認められて立身出世していくのでしょう。

 「健康には直ちに影響しない」とか、SPEEDIの放射能拡散情報を隠蔽し住民を被曝させたりとか、日本の原発は世界一(ものぐさ 日本の原発技術は世界一安全 ?)とが、「汚染水は完全にブロックされれている(ものぐさ 汚染水漏れ これでも「完全ブロック」か)とか、県が秘密裏に進めた「準備会」において、県民健康調査委員会は、「がん発生と原発事故の因果関係はない」と見解をすり合わせたり(ものぐさ 福島原発 甲状腺障害)とか、うんざりします。

 隠蔽・過小評価する政府・官僚の体質は一向に改められていません。「撤退」を「転進」と言いつくろった太平洋戦争の大本栄発表となんら変わりません(ものぐさ 太平洋戦争と原発)。

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