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2014年3月27日 (木)

「内閣府原子力被災者生活支援チーム」は何者か

 個人被曝線量調査について結果の公表を見送った「内閣府原子力被災者生活支援チーム」は何者なのでしょうか。内閣府であるから、原発推進の経産省と違うのでしょうか。その素性を明らかにするため、「子ども・被災者生活支援法」を巡る関係者の言動を拾い集めて見ました。

1 内閣府が経産省政策局長(兼内閣府原子力被災者生活支援チームに所属)を団長に、復興庁職員を含む10人をチェルノブイリに派遣(2012.3.?)。

2 内閣府は調査結果を再稼動推進有識者団体「エネルギー・原子力政策懇談会」の講演で報告(2012.5.29)。チェルノブイリ原発事故の被災者支援を定めた「チェルノブイリ法(注1)」の意義を否定する報告書を作成。報告書は講演後に回収。「避難」よりも「居住」、「帰還」を促したい意図が透けて見える。

3 「子ども・被災者生活支援法」が成立(2012.6.21)。

4 年1ミリシーベルトの基準を空間線量(屋内8時間、屋外16時間を前提)から個人線量に変える点について、川内村村長は「小手先の方法で目標を達成しようとしていると思われ、住民の納得は得られないだろう」と言及(2013.1.21)。

5 復興庁の元参事官が「懸案が一つ解決。白黒付けづに曖昧なままにしておくことに関係者が同意」とツイート(2013.3.8)。

6 元参事官の暴言ツイートが暴露(2013.6.13)。

7 「子ども・被災者生活支援法」の成立から1年以上も基本方針を策定しないのは違法として、住民が提訴(2013.8.22)。追加被曝線量が年1ミリシーベルトを超える地域を支援法の対象地域とすべきだ、と主張。

8 福島県内で避難指示が解除された区域に帰還する全ての住民に対し、環境省は携帯式の個人線量計を配布する方針を固めた(2013.8.27)。

9 復興庁は「子ども・被災者生活支援法」の基本方針を公表(2013.8.30)。基準となる放射線量を定めないまま、福島県内33市町村のみを支援対象地域とした。復興庁は当初から1ミリシーベルトを基準とするつもりはなかった。

10 内閣府の要請を受け、「原子力機構」と「放医研」は都路地区、川内村、飯館村で個人線量計を設置し、線量を測定(2013.9~10)。

11 原子力規制委員会は「帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的な考え方」をまとめた(2013.11.28)。

 ・ 空間線量から推定される年間被曝量が20ミリシーベルト以下が帰還の必須条件。

 ・ 帰還後の追加被曝線量が年1ミリシーベルト以下になるよう国が責任を持つ。

 ・ 帰還後の被曝線量の評価は空間線量からの推定ではなく、個人線量計を用いる。 

12 「原子力機構」と「放医研」が実施した個人被曝線量調査について、「内閣府原子力被災者生活支援チーム」は結果の公表を見送っていたことが明らかとなる(2014.3.24)。当初の想定より高い数値が出たため、帰還に影響するとの意見が強まったことが理由。

 さて、「内閣府原子力被災者生活支援チーム」は何者なのでしょうか。所属は内閣府ですが、チームの幹部に経産省の職員が含まれています。更に復興庁の職員が加わり、チェルノブイリ原発の視察が行なわれました。そして、非公式の会合で、「チェルノブイリ法」の意義を否定する報告がなされています。原子力規制委員会は、多数の批判的な意見が在るにも関わらず、帰還条件を年20ミリシーベルト以下としてしまいました。環境省は携帯式の個人線量計を配布する方針を固めました。状況証拠から判断すれば、役所は異なるもののみんな「グル」です。

 屋外労働者は個人線量計など常時携帯するでしょうか。真夏の作業を思い浮かべてください。24時間家に置きっぱなしなら、低い線量を示すに決まっています。これで住民の健康が守られるのでしょうか。体裁を整えるだけで、後は個人の責任だとして葬り去られそうです。「住民の健康を守るのだ」と言う気概が一連の言動から少しも伝わってきません。「避難」よりも「居住」、「帰還」を促したい意図が透けて見えます。後は原発事故も賠償もなかったこととしてしまおうと言う魂胆なのでしょうか

 また、個人線量計の累積値が年5ミリシーベルトであった場合、健康に被害が出ないと言い切れるのでしょうか(注2)。「チェルノブイリ法」の理念を尊重すれば、1ミリシーベルトを超える被災者に対しては、健康管理や年金増額などの手当をすべきです。「チェルノブイリ法」の否定についても、健康を守ること以外の理由がありそうです。

(注1) 年間追加被曝線量5ミリシーベルト超を「移住義務地域」、1ミリシーベルト超5ミリシーベルト以下を「移住権利地域」とし、国による被災者の健康管理や、年金増額などの支援策を定める。

(注2) 「放医研」は、「放射線防護の立場からは(線量と比例して)直線的にリスクは高まるという仮説を立てている」と述べている。

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