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2014年4月

2014年4月17日 (木)

原発作業者 被曝労災認定

 原発の検査に約27年従事し、癌を発症した原発作業員に対して、神戸西労働基準監督署は労災を認定しました。

 11年7月の健康診断で、同作業員は心臓に腫瘍が見つかり、その後、悪性リンパ腫と診断されています。10年6月時点で、同作業員の累積被曝線量は168.41ミリシーベルト。平均すると年約6ミリシーベルトとなります。

 原発作業員の被曝限度は、5年で100ミリシーベルト、1年で50ミリシーベルト。08年に作られた癌の労災認定基準は悪性リンパ腫で年25ミリシーベルト以上となっています。同作業員はいずれの基準にも達していません。

 この記事を読んで驚いてしまいました。年間6ミリシーベルトの地域に27年間生活すれば、癌発症の可能性があるといっているのです。3倍の年18ミリシーベルトなら9年で癌を発症することになります。放射線に対する感受性の強い乳幼児は、もっと短期間で発症する可能性もあるのです。

 一方、政府は年20ミリシーベルト以下は安全だと称し、都路地区に出されていた緊急避難準備を4/1に解除し、賠償金を打ち切ろうとしています(ものぐさ 避難指示解除 都路地区)。 

 168ミリシーベルトで癌が発症したと言う事実と、「年20ミリシーベルト以下の住民は帰還しても良い」と言う政府見解をどう理解したら良いのでしょうか。「癌発症の可能性があるが、帰還しても良い」と言うのでしょうか。政府は、この質問にどのように応えるのでしょうか。

 (追記)

 原子力規制委員会が発表した3/18現在の累積被曝線量は、①浪江町赤宇木(32km北西)で268.19ミリシーベルト、②飯館村長泥(33km北西)で134.7ミリシーベルト、③葛尾村上野川(31km西北西)で37.941ミリシーベルトになっています。

2014年4月27日 (日)

函館市 大間原発訴訟 概要

 去る4/3、函館市は電源開発(東京都)と国を相手に大間原発の建設差し止めなどを求める訴訟を東京地裁に起こしました。同原発は函館から最短で23キロの距離にあり、全炉心でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使う商業炉は世界初です。毒性が特に強いプルトニウムを多く含み、事故の被害は想像を絶すると言われています(ものぐさ 大間原発の危険性)。

 福島原発事故後、旧基準に基づく大間原発建設の再開理由を同市は国と電源開発に何度も求めたが何の説明もなく、最後の頼みとしたのが司法だと言われています。

 同市の訴訟内容が気になるところです。「函館市大間原発訴訟 訴状の概要」から引用します。

1 請求の趣旨

・ 平成24年改正前の核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第23条第1項(注1)の規定に基づき、平成20年4月23日付けでなした、大間原子力発電所原子炉設置の許可処分は無効である。

・ 国は同原発の建設停止を命ぜよ。

・ 電源開発は原発の建設を停止し、運転してはならない。

2 法的根拠

・ 原告函館市は、大間原発から23kmないし50数kmの範囲内の地域に位置し、重大な被害が想定される。

・ 世界で初めて100% MOX燃料を装荷する商業炉であり、炉心内において半減期24,000年という極めて強い毒性を持つプルトニウムが用いられる。

・ 函館市は改正前の原子炉等規制法24条1項3号(注2)所定の技術的能力の有無及び4号所定の安全性に関する各審査に過誤、欠落がある場合に起こり得る事故等による災害により直接的かつ重大な被害を受けるものと想定される地域内の地方公共団体である。

・ 大間原発の設置許可申請において用いられた安全設計審査指針類は、福島原発事故の発生を防ぐことができなかったものであり、その不合理性が明らかになった。大間原発の原子炉設置許可処分は違法である。

・ 本件原子炉は、国会事故調の報告書の指摘する事故原因を前提として改訂されなければならない安全設計審査指針、耐震設計審査指針、安全評価審査指針等により設置許可がなされたものであり、未だ、改訂原子炉等規制法及びこれに基づく新規制基準による評価はなされていない。

・ 本件原子炉は、新基準による規制項目(①位置、構造及び設備が災害の防止上支障がない。②技術上の基準に適合する。③保安のために必要な措置を講じる。)をクリアしていない原子炉であり、新基準による安全性判断がなされていない原子炉である。

・ 本件原発を建設し運転するならば、深刻な重大事故が発生する蓋然性が高く、函館市はこの重大事故によりその存在を根底から覆す壊滅的被害を受ける具体的危険にさらされている。ゆえに、地方自治権に基づき本件原発の建設差止めを求める。

・ 深刻な重大事故が発生する蓋然性が高く、函館市は、市有地・市庁舎等をはじめとする不動産等の使用を禁止される具体的危険にさらされている。ゆえに、所有権に基づき原発の建設差止めを求める。

3 大間原発の危険性

・ 大間原発の北方海域に約43ないし44kmの長さの巨大な活断層(大間原発敷地から沖合いの海底約7km)、西側近海海域にも、約47ないし48kmの長さの巨大な活断層(大間原発敷地から沖合い約9km)がある可能性が高い。さらに、本件敷地内には、電源開発がシームS-10と称する断層が存在し、明らかに逆断層と認められる様相を呈している。電源開発は、これらについて耐震設計上、全く考慮しておらず、大きな地震動に同原発が安全性を保てない恐れは極めて高い。

・ 津軽海峡は国際海峡であり、中心の公海から大間原発までの距離は約8ないし9kmしかない。時速数十kmの能力を有する高速艇であれば公海から数分で到達できる。日本の原発は、アメリカで導入されたテロ対策措置と比較しても、全くといって良いほど対策がなされていない。航空機についても自然墜落の想定までであり、意図的に向かってくる航空機テロに対する対策は全く想定されていない。

・ シビアアクシデント対策は設計における安全確保策が功を奏さなかった場合の対策であって、本来の安全確保策に対して補助的な地位を占めるに過ぎず、その効果も、本来の安全確保策に比べれば限定的である。

4 函館市の損害

・ 138.3万kwの同原発は1年間で広島型原爆の1700倍の死の灰を抱えることになる。プルトニウムの毒性はウラン235の4万倍にも当たる。

・ 毎秒10mの風速で、約30分前後に死の灰が道南地域に到達する危険がある。27万余の函館市は短時間に壊滅的な被害に遭い、廃墟と化す。

・ 大間原発から函館市方向へ風速2mの風が吹き、約4時間後に放射能の雲が約30km先の函館市に到達した場合、函館市民の約8000人が急性死に至り、100%の人間が何らかの癌により死亡するとされた(小出氏試算)。

・ 緊急避難は、①国道5号を利用して森町方面に向かう経路、②国道227号を利用して厚沢部町方面に向かう経路の二つとなる。行楽シーズンなどの渋滞を想定すれば、数十万規模での避難が予想されるが、大規模な避難には耐えることができない。渡島中山峠を経由する山地横断道路は、大部分が片側一車線の一般国道。避難経路としては、不適合である。そして、冬期間には風雪の影響によって、全ての避難経路が大規模な避難に全く適さない状況となる。
原子力規制委員会は,避難計画も含めて立地審査すべきである。

・ ヨウ素131は函館湾内に生息するコンブ等の海草類に蓄積され、海藻類を主食とするウニ、アワビ等のほかプランクトンに取り込まれ、食物連鎖を通じて拡散し、その被害は数十年、数百年に及ぶ。

・ 函館市の産業は観光に支えられており、周辺の地域経済全体に回復しがたいダメージを与えることになることは容易に予想できる。

 止むに止まれず提訴に至ったものと思われますが、勇気ある行動に感謝しています。福島原発事故から3年、報道はめっきり少なくなりました。このままいくと大きな禍根を将来に残すことになります。政府、国は、原発事故が再度起きても、原発推進の旗を降ろさないでしょう。利権に浸かった国、政府には何ら期待が持てません。

 お粗末な緊急避難計画であったとしても、国は自治体の理解が得られたと判断し、再稼動を強行するでしょう。事故が起きたとき真っ先に被害者となる原発立地周辺の住民や自治体が抵抗するしか原発を停止する術がありません。

 この提訴が各地の原発再稼動停止の呼び水となってくれることを期待しています。声を大にして言いたい。原発立地周辺自治体は函館市に続いて提訴をと。

 今回の訴訟に対して1000万円を超える寄付金がありました。国民の関心が高い訴訟の1つでしょう。訴状及び今後提示される準備書面を函館市HPに掲載することを希望します。

(注1) (設置の許可) 第23条第1項 発電用原子炉以外の原子炉(以下「試験研究用等原子炉」という。)を設置しようとする者は、政令で定めるところにより、原子力規制委員会の許可を受けなければならない。

(注2) (許可の基準) 第24条1項 原子力規制委員会は、第23条第1項の許可の申請があつた場合においては、その申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

三号 試験研究用等原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質(使用済燃料を含む。第43条の3の5第2項第7号を除き、以下同じ。)若しくは核燃料物質によつて汚染された物(原子核分裂生成物を含む。以下同じ。)又は試験研究用等原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること。

2014年4月29日 (火)

菅元首相・河合弁護士 原発シンポジウム

 4/26、静岡駅で下車し徒歩で西に向かうと、道路両際に物々しい数の警察官が立っていました。周辺には街宣車が大きな音量を立てて何やら叫んでいます。

 数分で、今回のシンポジウムの会場である労政会館に到着しました。今日は、菅元首相と河合弁護士の講演及び両者の対談が行なわれるのです。

 午後1時30分から4時過ぎまでトイレ休憩なしのシンポジウムでした。話の概略について、私の推測も含め記したいと思います。

<白鳥元原発訴訟原告代表>

・ 浜岡原発緊急避難に要する時間は中日新聞で28時間、朝日新聞で32時間と報道されているが、原発直下でドカンと来たら、逃げ切れない。牧之原市は4000人が津波で死ぬと言う。こんな状況でどうして車で逃げ切れるのか。

・ 牧之原市長以下4人の幹部は逃げ切れないと言っていた。

<浜岡原発運転終了・廃止等請求訴訟弁護団 鈴木弁護団長>

・ 3.11以前は原発の安全神話を信じていた。

・ 5号機は2000ガルを想定していると中電は言うが、3500ガルを想定しないといけない。

・ 制御棒が入らずに核暴走となれば、逃げる途中で急性被曝する。

・ 基準地震動など平均値で耐震対策をしている。最大値とすべきだ。経済性を考慮して「割り切り」で作られた原発は安全であるはずもない。静岡地裁での証人尋問で、斑目氏は 「割り切った考え。すべてを考慮すると設計ができなくなる」と述べていた。

・ 核燃料棒の安全管理(乾式貯蔵と思われる)も求めていく。

・ 立地審査指針に合致していない。欠陥のある指針だ。

<河合弁護士>

・ 3.11時点では訴訟は停滞していた。浜岡と大間の2件のみ。3.11以後は、脱原発弁護士は300人にも達し、訴訟は22件。被害の大きさを立証していく。

・ 新規制基準は、世界最高でもない。誰が認めているのか。首相が言っているだけで、根拠は何か。事故の実態を把握せず、わずか7ヶ月で基準を作成。基準が正しいのか議論していく。

・ 規制基準は「基準を満たせば安全である」と言っているわけではない。自己保身の基準だ。まともにやれば、金も時間もかかり過ぎる。1系列で2、3種の安全しか求めておらず、同時多発故障への対応が欠落している。

・ 「事故で放射能が達する場所に原発を作ってはいけない」とする立地審査指針について、新基準は触れていない。30km圏内に人は居ないとでも言うのか。裁判で追求していく。M8クラスが30年以内に87%の確率で起き、指針に不適合。大事故の誘引になる場所に作るな。

・ 大飯原発の判決は基準地震動が争点になった。福島第一原発、柏崎刈羽原発など、基準地震動を超えるものは5件もある。裁判所は基準地震動の決め方がおかしいのではないかと言いだした。

・ 函館市長はバリバリの保守だが、大間原発訴訟を提訴した(ものぐさ 函館市 大間原発訴訟 概要)。30km圏内は安全審査に対する権利がないのか。一旦事故が起きれば、自治体自体がなくなる。存続権を求めての裁判だ。

・ 3.11以前の浜岡原発運転差し止め訴訟(高裁)では、駿河湾地震の5号機の異常な揺れの原因を中電に求めていた。

 中電はM9.6を想定するのか、津波審査ガイドを認めるのか。3.11以後は裁判官も興味を示している。

 再稼動申請後、中電は「断層の長さより幅が問題。幅が飽和する」など、3.11以前の理屈を言い出している。

<菅元首相>

・ 全電源・冷却停止で、背中がゾクゾクした。水位計が壊れ、4時間でメルトダウンは始まっていた。2700℃に達すれば厚さ15cmであっても鉄は溶ける。オフサイトセンターに人は集まらず、機能しない。東大経済学部出身の寺坂保安院長の説明もわからない。格納容器の圧力も上昇。ヘリで現場に行き、現状を把握するしかないと判断。

・ 「現時点で、2号機内の線量は毎時70シーベルト、溶融燃料の水没深さは60cm、穴が開いて水がたまらない、溶融燃料が露出しているのかわからない」と広瀬社長は言う。数分で人が死ぬ線量だ。

・ 最悪を想定すると、半径250kmの範囲で5000万人が避難と近藤委員長は試算した。

・ 浜岡原発停止後、経産省幹部に「玄海原発再稼動」の動きがあった。再稼動の判断は原子力安全・保安院で可能と言い出した。(事故を防げなかった)同院の発言としてはおかしいじゃないか。

・ 小泉・細川発言「今(電力に)問題がないから大丈夫じゃないか」は再稼動論点としてはシンプルで判りやすい。

<河合弁護士・菅元首相の対談>

(河合) ヘリでの介入。首相はドーンとしていれば良いとの批判があるが。

(菅元首相) 東電はベントしたいと言って来た。ベントを許可したが、東電のベントできない理由がわからない。情報が来ないので現場を見る必要があった。吉田所長と40分話し、腹が座っており大丈夫と判断した。

(河合) 東電に乗り込み、イラ菅が怒鳴った。東電はやる気をなくした。

(菅元首相) 15日午後3時、清水社長は1Fから職員を撤退させたいと言ってきた。火事なら火が収まるまで撤退も可能だが、原発は燃え尽きることはない。自衛隊も原発事故への訓練はしていない。職員は安全かも知れないが、日本が危なくなる。放棄すれば東日本は全滅する。社長に撤退はありえないと伝えたたところ、驚くほど簡単に「はい判りました」と言う。撤退は清水社長個人の判断ではなく、幹部の総意と判断し、幹部に伝える必要性もあり、東電に乗り込んだ。東電本部に対策本部を作り、その後の情報については、共有化が図れた。

(河合) 東電職員に死ねと言うことと同じ。

(菅元首相) ギリギリの場面は3/15だと判断した。チェルノブイリでは鉛やコンクリートをぶち込み急性被曝で何人かが死んだ。覚悟を持った発言であると思っている。

(河合) スピーディーの情報を公表せず被害が拡大した。

(菅元首相) 責任者として申し訳ない。文科省から原子力安全・保安院には届いていたというが、放出量が判明しないのでという理由で、寺坂保安院長には知らされていなかった。

(河合) 脱原発を言い続けるのか。

(菅元首相) 事実を伝えるのが私の使命。米の原発離れは進んでいる。

(河合) 小泉・細川元首相や保守層の脱原発発言について。

(菅元首相) 脱原発を国政の中で発言し、意見集約していきたい。小泉・細川元首相らは「脱原発」を掲げる一般社団法人「自然エネルギー推進会議」の設立総会を5/7に開く。再稼動の是非は国民自身の姿勢による。新基準に適合したからといって、住民を無視して再稼動できるとは法律に書いてない。県民投票なども1つの手法だ。全国比例区で10人程度の脱原発政党を作りたい。

(河合) 原発輸出。

(菅元首相) 日本は原発ゼロなのに、外国で使えとは言えない。原子力村は大きな構造だが、国内の新設は難しいと見ている。外国の電力会社を買収するのは原発を売るのが目的だ。原子力村の力は大きく、着々と推進に向かっている。阻止するのは住民自身だ。

 溶融した燃料を受けるコアキャッチャー(ものぐさ 「バックチェック」と「バックフィット」で原発は安全か)と格納容器をコンクリートで覆う構造を有する原発が世界最高水準だ。日本にはない。

(河合) 米は日本の脱原発に反対なのか。

(菅元首相) 明示的に反対とは言っていない。米は30年間原発を作らなかったことにより原発メーカはなくなり、独自の技術もない。日米の連合体で海外に売りたいと考えている。一方、米は日本がプルトニウムを多く保持することに懸念を抱いている。脱原発は外交問題にはならないだろう。

(河合) 対中国のために、核をなくすことは反対と米は言っているのか。

(菅元首相) 核による抑止力が可能とする論者は日本にいるが、米は日本の核武装を期待していない。3.11以後、中国は内陸部の原発建設は止めているが、沿岸部は建設を開始している。150~200基か。

 小泉・細川元首相の原発発言以外の政治家の発言が小さく、物足りなく思っていました。マスコミ報道はめっきり少なくなり、脱原発を掲げた当県選出の国会議員や東京都選出の国会議員の発言力が小さいのではないか。「原発について、何故政治信条を越えて共同行動を何故起こさないか」と、つい質問状を書いてしまいました。最後の部分が私の質問に対する回答ではないかと思っています。

 今日、改めて、菅元首相のブログを見てみました。少し認識を変えたところです。小泉元首相らに比べて、マスコミの注目度が低いためでしょう。事実、菅首相らのシンポジウムについての報道は、静岡版にしか掲載されていません。

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