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2014年4月27日 (日)

函館市 大間原発訴訟 概要

 去る4/3、函館市は電源開発(東京都)と国を相手に大間原発の建設差し止めなどを求める訴訟を東京地裁に起こしました。同原発は函館から最短で23キロの距離にあり、全炉心でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使う商業炉は世界初です。毒性が特に強いプルトニウムを多く含み、事故の被害は想像を絶すると言われています(ものぐさ 大間原発の危険性)。

 福島原発事故後、旧基準に基づく大間原発建設の再開理由を同市は国と電源開発に何度も求めたが何の説明もなく、最後の頼みとしたのが司法だと言われています。

 同市の訴訟内容が気になるところです。「函館市大間原発訴訟 訴状の概要」から引用します。

1 請求の趣旨

・ 平成24年改正前の核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第23条第1項(注1)の規定に基づき、平成20年4月23日付けでなした、大間原子力発電所原子炉設置の許可処分は無効である。

・ 国は同原発の建設停止を命ぜよ。

・ 電源開発は原発の建設を停止し、運転してはならない。

2 法的根拠

・ 原告函館市は、大間原発から23kmないし50数kmの範囲内の地域に位置し、重大な被害が想定される。

・ 世界で初めて100% MOX燃料を装荷する商業炉であり、炉心内において半減期24,000年という極めて強い毒性を持つプルトニウムが用いられる。

・ 函館市は改正前の原子炉等規制法24条1項3号(注2)所定の技術的能力の有無及び4号所定の安全性に関する各審査に過誤、欠落がある場合に起こり得る事故等による災害により直接的かつ重大な被害を受けるものと想定される地域内の地方公共団体である。

・ 大間原発の設置許可申請において用いられた安全設計審査指針類は、福島原発事故の発生を防ぐことができなかったものであり、その不合理性が明らかになった。大間原発の原子炉設置許可処分は違法である。

・ 本件原子炉は、国会事故調の報告書の指摘する事故原因を前提として改訂されなければならない安全設計審査指針、耐震設計審査指針、安全評価審査指針等により設置許可がなされたものであり、未だ、改訂原子炉等規制法及びこれに基づく新規制基準による評価はなされていない。

・ 本件原子炉は、新基準による規制項目(①位置、構造及び設備が災害の防止上支障がない。②技術上の基準に適合する。③保安のために必要な措置を講じる。)をクリアしていない原子炉であり、新基準による安全性判断がなされていない原子炉である。

・ 本件原発を建設し運転するならば、深刻な重大事故が発生する蓋然性が高く、函館市はこの重大事故によりその存在を根底から覆す壊滅的被害を受ける具体的危険にさらされている。ゆえに、地方自治権に基づき本件原発の建設差止めを求める。

・ 深刻な重大事故が発生する蓋然性が高く、函館市は、市有地・市庁舎等をはじめとする不動産等の使用を禁止される具体的危険にさらされている。ゆえに、所有権に基づき原発の建設差止めを求める。

3 大間原発の危険性

・ 大間原発の北方海域に約43ないし44kmの長さの巨大な活断層(大間原発敷地から沖合いの海底約7km)、西側近海海域にも、約47ないし48kmの長さの巨大な活断層(大間原発敷地から沖合い約9km)がある可能性が高い。さらに、本件敷地内には、電源開発がシームS-10と称する断層が存在し、明らかに逆断層と認められる様相を呈している。電源開発は、これらについて耐震設計上、全く考慮しておらず、大きな地震動に同原発が安全性を保てない恐れは極めて高い。

・ 津軽海峡は国際海峡であり、中心の公海から大間原発までの距離は約8ないし9kmしかない。時速数十kmの能力を有する高速艇であれば公海から数分で到達できる。日本の原発は、アメリカで導入されたテロ対策措置と比較しても、全くといって良いほど対策がなされていない。航空機についても自然墜落の想定までであり、意図的に向かってくる航空機テロに対する対策は全く想定されていない。

・ シビアアクシデント対策は設計における安全確保策が功を奏さなかった場合の対策であって、本来の安全確保策に対して補助的な地位を占めるに過ぎず、その効果も、本来の安全確保策に比べれば限定的である。

4 函館市の損害

・ 138.3万kwの同原発は1年間で広島型原爆の1700倍の死の灰を抱えることになる。プルトニウムの毒性はウラン235の4万倍にも当たる。

・ 毎秒10mの風速で、約30分前後に死の灰が道南地域に到達する危険がある。27万余の函館市は短時間に壊滅的な被害に遭い、廃墟と化す。

・ 大間原発から函館市方向へ風速2mの風が吹き、約4時間後に放射能の雲が約30km先の函館市に到達した場合、函館市民の約8000人が急性死に至り、100%の人間が何らかの癌により死亡するとされた(小出氏試算)。

・ 緊急避難は、①国道5号を利用して森町方面に向かう経路、②国道227号を利用して厚沢部町方面に向かう経路の二つとなる。行楽シーズンなどの渋滞を想定すれば、数十万規模での避難が予想されるが、大規模な避難には耐えることができない。渡島中山峠を経由する山地横断道路は、大部分が片側一車線の一般国道。避難経路としては、不適合である。そして、冬期間には風雪の影響によって、全ての避難経路が大規模な避難に全く適さない状況となる。
原子力規制委員会は,避難計画も含めて立地審査すべきである。

・ ヨウ素131は函館湾内に生息するコンブ等の海草類に蓄積され、海藻類を主食とするウニ、アワビ等のほかプランクトンに取り込まれ、食物連鎖を通じて拡散し、その被害は数十年、数百年に及ぶ。

・ 函館市の産業は観光に支えられており、周辺の地域経済全体に回復しがたいダメージを与えることになることは容易に予想できる。

 止むに止まれず提訴に至ったものと思われますが、勇気ある行動に感謝しています。福島原発事故から3年、報道はめっきり少なくなりました。このままいくと大きな禍根を将来に残すことになります。政府、国は、原発事故が再度起きても、原発推進の旗を降ろさないでしょう。利権に浸かった国、政府には何ら期待が持てません。

 お粗末な緊急避難計画であったとしても、国は自治体の理解が得られたと判断し、再稼動を強行するでしょう。事故が起きたとき真っ先に被害者となる原発立地周辺の住民や自治体が抵抗するしか原発を停止する術がありません。

 この提訴が各地の原発再稼動停止の呼び水となってくれることを期待しています。声を大にして言いたい。原発立地周辺自治体は函館市に続いて提訴をと。

 今回の訴訟に対して1000万円を超える寄付金がありました。国民の関心が高い訴訟の1つでしょう。訴状及び今後提示される準備書面を函館市HPに掲載することを希望します。

(注1) (設置の許可) 第23条第1項 発電用原子炉以外の原子炉(以下「試験研究用等原子炉」という。)を設置しようとする者は、政令で定めるところにより、原子力規制委員会の許可を受けなければならない。

(注2) (許可の基準) 第24条1項 原子力規制委員会は、第23条第1項の許可の申請があつた場合においては、その申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

三号 試験研究用等原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質(使用済燃料を含む。第43条の3の5第2項第7号を除き、以下同じ。)若しくは核燃料物質によつて汚染された物(原子核分裂生成物を含む。以下同じ。)又は試験研究用等原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること。

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