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2014年6月 1日 (日)

浜岡原発訴訟 傍聴記(5号機再循環ポンプの点検と水蒸気爆発) その9

 5/8、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第十三回口頭弁論を傍聴しました。第12回(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記(基準地震動・基準津波・地震学の誤り) その8)に続き9回目です。

 朝、10時5分までに裁判所に集合し、行列に並びました。定員オーバーした場合には抽選です。一般傍聴席40人程度に対し、希望者は26人程度(内、女性5名、中電関係者と思われる人12名)。全員が入廷できました。

 向かって左に原告、右が被告(中電)です。原告側30人程度、被告側15人程度でした。

 裁判官3人、報道関係者は5人でした。10時30分開廷です。

 まず、原告が準備した準備書面17(ABWR型5号機)の要点を説明しました。

 次に、原告の求釈明に対する中電の準備書面9の内容についての応答を記しておきます。

(原告) 越流量やアスペリティーの位置等について、「主語が明確でなく理解できない」として中電に向かって指を差し不備を指摘。

(中電) 読解力がないのでは。

(裁判官) 指を指すのは失礼である。

(原告) 失礼した。

(原告) ヘラヘラ笑いながらの返答は失礼ではないか。

(裁判官) 次回以降の準備書面では、原告は端的に質問して、中電は端的に応えるように。

 とにかく、今までにない感情むき出しの議論でした。裁判所から、わかりやすくなるからという趣旨で、水蒸気爆発と福島原子力発電所事故との関連(注1)について書面を出すように言われたので、原告はその書面を次回出すことになりました。11時5分で閉廷です。

 その後の記者会見で、詳しい説明がありました。ネット上に公開されている準備書面17(ABWR型5号機)を加えて争点を記します。

・ 原子力規制委員会が評価しているのは規制基準に適合しているか否かであって、安全基準ではない。これを政府は、政治的判断をせずにフリーパスするとしている。安全でもないものを政府はフリーパスする。誰も責任を負わない逃げの論理だ。

・ 5号機は、平成23年に海水流入した(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記(構造の欠陥と海水流入 取水塔 アスペリティー) その3))。目視検査ではなく、再循環ポンプ等の超音波検査をすべきだ。同ポンプのモータケーシグおいて検査の不可能な部位が存在する。点検作業ができなければ廃炉しかない。

・ 圧力抑制室はドライウェルの真下にある。福島原発はマーク1型であるため水素爆発程度で済んだが、5号機が炉心溶融すれば、水蒸気爆発が起きる。マーク1型に比べABWR型の方が水蒸気爆発の危険性は高い。水蒸気体積は、爆発により水の1244倍に膨張する。火山の爆発は水蒸気爆発だ。

・ 炉心溶融すれば、真下にある水とデブリが反応し、水蒸気爆発が起きる。これを想定せよ。溶融燃料を受けるコアキャッチャーが必要だ。

・ EUに対して、東芝はコアキャッチャーの設置と航空機墜落事故対応を想定したABWR型を設計している。規制基準を満たせば安全であるという訳ではない。シビアクシデント対応において、コアキャッチャーの設置や航空機衝突を想定せよ。静岡空港では787が平気で飛んでいる。航空機衝突に対応して原子炉を2重構造にせよ。コアキャッチャーはバックフィットすべきだ(ものぐさ 「バックチェック」と「バックフィット」で原発は安全か)。

・ 水密扉(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記 アスペリティー・防水扉等の問題点 その6)の安全性に対して、中電は、強固に踏み固めたから大丈夫と言っている。ローラで踏み固めただけだ。地震・液状化による段差の評価は行なっていない。水密扉の下は岩盤ではない。岩盤の上に立っているのは原子炉建屋のみ。

・ 釈明において、中電は意図的に主語を判りにくくしている。アスペリティーは従来どおり、基準地震動も小手先の見直し、これで何故良いのか。

・ 2時間で牧之原市は全滅。20km圏内は50%が急性死亡する。 

 浜岡原発3号炉(BWR-5  電気出力110万kw)がメ ルトダウンを起こし、事故発生から7日後に避難した場合の急性死者は、旧浜岡町や旧相良町等で住民の99%に当たる94,426人。旧榛原町や旧菊川町等で住民の90%に当たる61,155人。瀬尾健「原発事故・・・そのときあなたは」によれば、晩発性の癌死(注2)は東京都民1,318万人のうち、38万人に上る(訴状128ページ)。

(注1) 水蒸気爆発よりも破壊力が弱い水素爆発でも福島原発事故であれだけのことが起こったので、浜岡原発5号機で水蒸気爆発が起きたら、福島原発事故よりももっとひどいことが起こる。ABWR型5号機は、福島原発(マーク1)型よりも水蒸気爆発の可能性が高い。マーク1型は水蒸気爆発を避けるために、ドーナツ状の圧力抑制室構造となっている。

(注2) 関連記事 (ものぐさ 「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」と「瀬尾試算」

 

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