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2014年7月20日 (日)

川内原発 再稼動は住民投票で

 7/17、原子力規制委員会は、川原原発の規制基準への適合を了承しました。

 同委員長は、「一定程度安全性は高まった。再稼動は、九電と住民、政府で判断される。審査をクリアしても安全だとは私は言わない。」と述べています。

 同委員会は、新基準を「世界最高のレベル」と自負するが、炉心溶融したデブリを受けるコアキャッチャーもなく(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記(5号機再循環ポンプの点検と水蒸気爆発) その9)、航空機の衝突に備えた頑丈なシールド建屋もなく(ものぐさ 日本の原発技術は世界一安全 ?)、IAEAが定めた防災対策(注1)は規制の対象外となっています。火山噴火対策の不備(注2)が指摘され、免震重要棟は2015年、フィルター付きベント装置は2016年まで猶予されています。また、基準地震動の評価が甘いと指摘する専門家もいます(ものぐさ 長沢教授 大甘な大飯・高浜・川内原発の基準地震動)。地震の多い日本の原発では世界のどこよりも基準を厳しくしなければならないにも関わらず、地震のないEUの基準にも達していません。どこが世界最高なのか具体的に説明してもらいたいものです。

 火山噴火について、専門家は、「巨大噴火の予知は非常に困難。噴火の周期やメカニズムは殆んどわかっていない。噴火の予兆をつかむことはできない。せいぜい数時間か数日以内だ。」と警告しています。また、静岡大学教授は「原発は13万年前以降に動いた活断層の上に建てるなと言っているが、約3万年前のカルデラ噴火(マグマ噴出で地形が陥没する巨大噴火)で川内原発付近まで火砕流が到達した痕跡があるのに問題視されていない。不合理だ。カルデラ噴火が起きれば、大量に軽石が噴出し、海面を漂流する。潮流に乗った大量の軽石が原発の取水口を塞ぎ、冷却機能を阻害しないか。」と述べています。このような指摘があるにも関わらず、同委員長は火山噴火が迫っても、GPSで「少なくても10年前に予兆を捉え、核燃料を運び出すことが可能だ。」と述べています。仮に10年前に予兆を捉えたとしても経済至上主義の九電が、使用済み核燃料を運び出すでしょうか。運搬先は、いつ、誰が、どこに決めるのでしょう。場所を確保し、保管場所を建設してから言ってほしいものです。

 平成3年に発生した普賢岳の火砕流を思い起こしてみましょう。その予兆となる地震活動は、噴火1年前の平成元年の橘湾の群発地震にさかのぼり、更に決定的な予兆現象は噴火4ヶ月前の平成2年に観測されています。そして、火砕流の発生により、取材に当たっていた報道関係者16名(アルバイト学生含む)、火山学者ら4名、警戒に当たっていた消防団員12名、報道関係者に同行したタクシー運転手4名、警察官2名、選挙ポスター掲示板撤去作業中の職員2名、農作業中の住民4名の合わせて43名の死者・行方不明者と9名の負傷者を出す大惨事となりました。

 一方、「安全という結論が出れば、立地自治体の理解を頂きながら再稼動を進めていきたい。同委員会が責任をもって安全かどうかチェックし、その判断にゆだねる。政府と九電がしっかりと責任を果たし、福島原発のような過酷事故が二度と起きないようにしなければならない(以上、首相)。再稼動は九電の判断だ(官房長官)。再稼動は九電任せにできない。関係閣僚会議で国の関与を確認すべきだ(以上、官邸関係者)」と、政府の意思は曖昧です。

 両者の言い分を見て、国民は「原発は安全である」と納得するでしょうか。同委員長が「絶対安全」だと言っていないものを、政府は「規制基準に適合したものは安全だ」とすり替えて解釈しています。

 こんな状況下で、鹿児島県知事は「30km圏内までの要援護者の避難計画は現実的でない」とし、10~30km圏内の災害弱者を見放しました。勝手に避難してくれと言うことでしょうか。川内市長は、「国が決めた基準で審査しての結果なので安全だ」と無責任な発言をしています。不完全な緊急避難計画に住民は不安を抱いています。それでも、住民の声を無視して再稼動を容認するのでしょうか。

 同委員会は、規制基準に適合しただけで安全でもない川内原発に「合格証」を与え、政府は規制基準に適合しただけのものを「安全である」とすり替え、川内市長は、「国の審査によるものだから安全だ」と言っています。いったん事故が起きれば誰が責任を負うのでしょうか。最も国が責任をとると言っても、福島原発事故並みの賠償や除染どまりで、その補償や廃炉費用は国民の負担になってしまうのです。

 7/18、環境相は「原発事故に備えた避難計画について、原発から30km圏内にある135市町村のうち、6割の83自治体が5月末までに作成した。」と成果をアピールしています。出来上がった避難計画も実効性のない絵に描いた餅です。形式だけ整えれば「OK」というのが国のいつものやり方です。

 立地自治体とは、どこまで指すのでしょうか。UPZ圏内の自治体は緊急避難計画の策定を義務付けられています。福島では放射能が30km圏外にまでにまで拡散し、今尚、帰還できない地区があります。

 国民が被害をこうむり、国民が後始末の負担を背負わなければならない原発の再稼動の可否は、住民投票若しくは国民投票で決めるのが筋でしょう。九州男児の気概を見せてくだい。

 7/18、内閣支持率は44%に下がりました。安倍内閣の暴走を止め、原発再稼動を阻止するためにも、国民は安倍内閣に「NO」を突きつけなくてはなりません。集団的自衛権の法案の審議は、来春まで延期のようです。その代わりに、秋の臨時国会では、女性の社会進出や地方再生に関わる法案が審議される模様です。安倍内閣は姑息な手口で支持率を回復しようとしています。

(注1) 深刻度に応じて、5段階にレベル分けして、安全対策を考える「深層防護」とも言います。第一段階は「異常の発生防止」、第二段階は「異常の拡大防止」、第三段階は「過酷事故への進展防止」、第四段階は「過酷事故対策」、第五段階は「住民の被曝を防ぐ防災対策」です。第五段階は規制基準に盛り込まれず、規制の対象外となっています。まさに、住民の被曝を許容した基準なのです。

(注2) 昨年12/23、新聞社のアンケートによれば、火山学者50人を対象とした巨大噴火の被害を受けるリスクがある原発として、川内、泊、東通、玄海原発が名指しされています。巨大噴火のリスクがある原発のアンケート結果を示します。( )内は、リスクがあるとした学者の数を示します。川内(29)、泊(25)、東通(18)、玄海(16)、伊方(11)、女川(9)、福島第一(7)、福島第二(7)、東海第二(7)、島根((7)、浜岡(6)、柏崎刈羽(5)、志賀(5)、敦賀(5)、美浜(5)、大飯(5)、高浜(4)でした。

 

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