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2014年8月 6日 (水)

新規制基準には原子炉立地審査指針がない

 <浜岡原発訴訟の第十四回口頭弁論の準備書面19より> 

 福島原発は原子力安全委員会の策定した原子炉立地審査指針に違反していました(ものぐさ 浜岡原発は原子炉立地審査に違反、よって設置許可は無効)。そして、福島原発事故では多くの住民が放射線に被曝しています。

 原子力規制委員会は、立地審査指針の見直しをしたのでしょうか。同書面は「原子力規制委員会により策定された新規制基準には原子炉立地審査指針がない。」と述べています。

 何故でしょう。このことについて、同書面は「福島原発事故の実情を踏まえて正当な立地審査指針を作ると、日本に原発の立地できる場所がないことがわかってしまったからである。」と述べています。都合が悪いから、何も触れないでおこうと考えているのでしょうか。

 さて、今後の裁判において、原子炉立地審査指針に対する違反を主張することはできないのでしょうか。同書面は、以下のように主張しています。

・ 新規制基準は旧安全基準の範囲を網羅していない。新規制基準から漏れた部分(原子炉立地審査指針)は旧安全基準がそのまま効力を維持する。

・ 仮に、新規制基準策定によって旧安全基準が全て廃止されたと解釈したとしても、浜岡原発設置許可の際に有効であった立地審査指針の適用において看過しがたい過誤欠落があったのであるから、浜岡原発設置許可は違法かつ無効である。

・ 仮に、新規制基準策定によって旧安全基準が全て廃止されたと解釈したとしても、立地審査指針は原発の建設を許可するか否かを決める場合に必須の要素であるから、それを欠く新規制基準は伊方最高裁判決の言う「具体的な審査基準に不合理な点」がある場合に当たるので、元々の違法かつ無効な設置許可により建設されたという瑕疵が治癒されるわけではない。

 原子力規制委員会の策定した新規制基準の「いい加減さ」が明らかになりました。立地審査指針以外にも、専門家から指摘されている疑問点がいくつもあります。例示してみます。

・ 新規制基準には一定の猶予期間が認められています。原子炉格納容器を遠隔操作する「特定安全施設」(第2制御室)、緊急時対策所や加圧水型原発のフィルター付きベント装置が猶予対象ですが、その猶予期間中に大地震が襲来した場合の安全は担保されません。安全基準の「骨抜き」です(ものぐさ 原発 新安全基準にパブリックコメントを(地震・津波))。 

・ 原子炉や格納容器等の破損に至った場合の敷地外への放射性物質の拡散を抑制する設備は放水設備(例えば、放水砲)だけです。しかも、原発から半径30キロ圏に大幅拡大された事故時の住民避難計画のモデルも示せず、自治体任せです(ものぐさ 原発 新安全基準骨子にパブリックコメントを(シビアアクシデント))。

・ 基準地震動評価手法の1つである「耐震スペクトル」の公式はデララメです。公式の基になったデータが12観測点107の地震記録と少なく、スラブ内地震は考慮されず、都合の良いデータだけを使っている可能性があります。その結果、解放基盤上の応答スペクトルが耐震スペクトルを上回った実例は数多くあるのです(ものぐさ 地震用語 「等価震源距離」とは、そして、「耐専スペクトル」のデタラメさ)。

・ 地震動の評価手法は古すぎ、地震動は過小評価されています。地震は実際に観測された地震波を用いて「耐専スペクトル」と「断層モデル」で評価されるが、十数年前に作られて以降、この20年間に収集された国内の地震の観測記録は、計算式に反映されていません(ものぐさ 長沢教授 大甘な大飯・高浜・川内原発の基準地震動)。

・ 巨大噴火の予知は非常に困難です。噴火の周期やメカニズムは殆んどわからず、噴火の予兆はせいぜい数時間か数日以内です。原発は13万年前以降に動いた活断層の上に建てるなと言っているが、約3万年前のカルデラ噴火(マグマ噴出で地形が陥没する巨大噴火)により川内原発付近まで火砕流が到達した痕跡があるのに、3万年前のカルデラ噴火は問題視されていません。カルデラ噴火が起きれば、大量に軽石が噴出し、海面を漂流し、潮流に乗った大量の軽石が原発の取水口を塞ぎ、冷却機能を阻害する可能性があります(ものぐさ 川内原発 再稼動は住民投票で)。

・ 原発事故により放射能が住民を襲ったときに備える緊急避難計画は自治体に丸投げです。米ニューヨーク州のショーラム原発は、避難計画を州知事が承認しなかったため、運転開始できずに89年、廃炉となりました。(ものぐさ 川内原発 緊急避難計画が不安なら再稼働に反対せよ)。

 これで、「世界一安全な原発だ」と、良く言えたものです。多くの問題点を無視した審査基準とは、如何ほどの意味があり、説得力を持つでしょうが。

 関連記事 (ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記(不合理な新規制基準 立地審査指針違反 新規制基準の基準地震動は旧態依然 司法が変わる・大飯原発原告勝訴 クリフエッジ) その10 

 

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