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2014年8月14日 (木)

静岡新聞における「日本電気協会新聞部」の広告

 8/10の静岡新聞に、「知っていますか?私たちの暮らしとエネルギー」と題する新聞広告が掲載されました。

 広告主は、「日本電気協会新聞部」となっています。同協会は原発推進の組織であると聞いています。この点を考慮して各識者の発言を読むと、世論を原発再稼働に誘導しようとする意図が透けて見えます。内容から判断しても、4名の有識者全てが原発推進派のようです。これに意を唱える人は参加していません。以下、検証します。

1 静岡新聞の姿勢はこれで良いのか。

 世論調査において、再稼動反対は60~70%にまで達しています。いくら広告収入が欲しいからといっても、国民の過半数以上が反対している原発問題に対して、原発推進派の一方的な見解を掲載しても良いものでしょうか。これは新聞による世論操作です。新聞社の中立性が損なわれています。

2 「日本電気協会」の組織。

 同協会は14名の会長、副会長、理事で構成され、うち8名は電力会社社長・会長等の経験者です。

3 有識者の見解。

(コーディネーター)

・ 原発停止で燃料調達費は、1日当り100億円増えている。消費税は価格転嫁できても、エネルギー価格は転嫁できない。

・ 中部電力エリアの電力予備率は3.5%。節電は難しく、製造拠点を海外に移す企業も出てくる。

・ 安定して発電できない再生可能エネルギーを拡大するには蓄電池が必要だが、現実的でない。

・ 火力発電や原発を利用しながら再生可能エネルギーの技術を培うべきだ。

<N氏>

・ 静岡県の景気状況(求人倍率は、09年2月以降全国平均を下回っている。人口の減少。12年の製造品出荷額は07年比4兆円減少。)の悪化を指摘し、「電気料金などエネルギーコストが上がれば深刻な事態になる」と警告。

・ 福島原発直後の計画停電で県東部は大変な影響を受けた。電気の安定供給は大切だ。

・ 09年に県内で10万kwだった太陽光発電は、30年までの目標を30万kwとした。急激な導入で目標は100万kwに引き上げられた。

・ 原発は地域活性化の1つであり、大きく貢献している。雇用・生産・税収と深いかかわりがある。

<S氏>

・ 景気の悪化は大変ショックだ。社会全体として活気を失わないことが重要だ。

・ 大量の物資を運ぶのに、他のエネルギーを使わずに風を利用したヨットやいかだで運ぼうとするのはナンセンスだ。

・ エネルギーは多様性が大事だ。リスクのない社会は活気のない社会だ。リスクの受け入れがどの程度可能なのか、情緒的でなく理性的に判断すべきだ。

<Y氏>

・ 1988年に5兆円であった化石燃料の輸入額は、昨年度30兆円に達した。13兆円の貿易赤字だ。

・ 電力予備率3%台は心配だ。全原発が停止しており、火力発電所は老朽化し、トラブルで停止するリスクが高い。

・ ドイツの一般家庭の再生可能エネルギーの負担が年間3万円にも達した。今年4月には、再生可能エネルギーの導入量目標を下方修正し、固定価格買取制度の対象設備を段階的に縮小する方針を決定した。

・ 平均給与は97年の467万円から、12年には408万円に低下。安定的に電気を供給できなければ、製造業の本格的な回復は難しい。アメリカの調査によれば、1人あたりのGDPと幸福度は相関関係にある。経済成長を支える電気は幸福度と強い相関関係にある。

・ 原発が停止している現在、発電電力量の90%を化石燃料に依存している。リスクが大きい。世界では原発が増えている。

・ 原発には事故リスクがあるが、原発を建設し維持していかなければ、もっと大きなリスクを抱えることになる。

 散々聞かされている原発推進者の経済一辺倒の論理です。この中には原発事故に対する反省も、原発事故で塗炭の苦しみを味わっている住民への思いやりも、原発再稼働に慄いている住民への配慮もありません。今後起きるかもしれない原発事故をリスクの問題で片付けています。

 反論は沢山ありますが、少しだけコメントします。

・ 中小企業は消費税を価格転嫁するのに思い悩んでいるが、電力会社は、(原発が動かないと言う理由で)価格アップを経産省に申請しています。

・貿易赤字の増大は、化石燃料の輸入増加も要因であるが、円安による燃料単価の上昇や、国内製品の国際競争力の低下(パソコン、スマートフォンなどの電子機器等)も大きな要因です。

・ 化石燃料の用途は電気だけではありません。輸入がストップすれば、石油を使用したガソリン自動車、プラスチックなどの化学製品や衣料も生産できません(ものぐさ 原発停止なら、イラン危機で日本は一流国から転落?)。

・ 原発の立地は地域経済にとって大きな負担です。原発事故のリスクを回避するために、一般企業はその地域から逃避するでしょう。原発立地自治体の立地交付金等は年々減少し続け、それを補填するために原発を増設し続けなくてはならない状況に陥っています。原発は麻薬です。

・ オイルショックに見舞われたデンマーク政府は、電力不足を補うために原発を推進しようとした。住民による徹底的な討論の後、政府は原発の推進をあきらめた。デンマークの一人当たりのGDPは世界第6位で、日本の26位を大きく引き離している(ものぐさ 原発で幸せになるか)。2010年の1人あたりの電気使用量は、上位からカナダ、アメリカ、韓国、日本、フランス、ドイツとなっています。ところがデンマークの電気使用量は世界平均以下で、2014年は21位です。

 幸福度とGDPに(正の)相関があるとすれば、デンマーク人(6位)は日本人(21位)よりも幸福度が高いことになります。これは納得。

 Y氏は、電気使用量と幸福度も(正の)相関があると言う。この説によれば、日本人(4位)はデンマーク人(21位)よりも、幸福度が高くなければならない。Y氏の発言は支離滅裂です。

・ 「ヨットで運ぶのはナンセンスだ」と言っているが、大量の電気をロスの大きい送電線を使って東京まで運ぶほうがナンセンスだ。東京近県に発電所を作って東京まで送電するほうがより効率的で、送電ロス(熱になるだけ)は少ない。電気の地産地消が言われだした。

 インドネシア新大統領は8/11、インタービューに答えて、「我が国には、石炭やガス、地熱など豊富な天然資源があり、それを優先する」と述べ、現時点での原発導入に否定的な考えを示しました。その理由として「福島事故のような深刻な事故が起きる可能性がある」と強調しています。

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