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2014年9月 5日 (金)

浜岡原発訴訟 傍聴記(不合理な新規制基準 立地審査指針違反 新規制基準の基準地震動は旧態依然 司法が変わる・大飯原発原告勝訴 クリフエッジ) その10

 7/24、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第十四回口頭弁論を傍聴しました。第13回(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記(5号機再循環ポンプの点検と水蒸気爆発) その9)に続き10回目です。

 午後1時35分までに裁判所に集合し、行列に並びました。定員オーバーした場合には抽選です。一般傍聴席40人程度に対し、希望者は29人程度(内、女性7名、学生と思われる人3名)。全員が入廷できました。

 向かって左に原告、右が被告(中電)です。原告側23人程度、被告側20人程度でした。

 裁判官3人、報道関係者は3人でした。2時開廷です。

 原告は準備書面18~23の概要について説明し、中電は原告の主張する基準地震動と津波に対する反論となる準備書面10を提出したが、その内容に関する説明はありませんでした。

 2時42分閉廷です。閉廷後、階段を降りていく中電関係者と思われる人のうつむき加減な姿が印象的でした。

 その後の記者会見には、いつもより多い30~40名が参加しました。記者会見に臨んだ弁護団からは、この裁判に対する自信のようなものを感じました。河合弁護士は、「大飯原発・福井地裁判決の勝訴理由10項目中、9項目は国内の全ての原発に当てはまる。福井判決を否定できない限り、原告敗訴はない。」との見解を示しました。中電関係者のうつむき加減の姿と対照的でした。

 弁護団は福井判決の内容を賞賛し、以下のように述べています。

・ 科学論争の迷路に入らない。

・ 過剰な証拠調べは不要。

・ 福島原発で起きた事実が問題なのであって、科学的論争は科学者同士で独自に行なえばよい。

・ 「福井判決は科学的でない」と主張する人がいるが、基準地震動を超えたものが過去5回もある。耐震設計の基準があてにならないことを示している。これが重大だ。

・ どこまで科学論争になるのか。裁判所が判決を下したくなければ、科学論争におちいれば良い。福井判決は1年4ヶ月で結審している。裁判所の姿勢を問うものである。

 法定における原告の主張と記者会見の内容について、概要を記します。

<準備書面18・・・(ものぐさ 不合理な新規制基準)>

 伊方原発の最高裁判決は「万が一にも事故が起こらないようにするため、科学的、専門的見地から十分な審査をしなければならない。具体的審査基準に不合理な点があり、調査審議及び判断の過程に看過しがたい過誤・欠落があったと認められる場合には違法と判断する」と言及している。

 このことを念頭に置きながら、新規制基準の何が不合理であり、何が看過しがたい過誤・欠落なのか、何が違法なのか考えてみましょう。

・ 福島原発の事故原因も明確でない中で策定された基準である。地震による損傷の可能性が考慮されていない。

・ 福島原発の事故を踏まえた立地審査指針となっていない。周辺住民の安全性は完全に無視された。

・ 「重要な安全機能を有する機器及び系統は2つ以上あり、1つの事故原因で同時に全ての安全機能が失われてはならない」とされていた旧安全審査指針類はそのまま踏襲されている。2つ以上の機器が同時に機能しなくなることは福島原発事故で明らかになっているにも関わらずである。

・ 外部電源は重要度分類のクラス1、耐震設計上の分類のSクラスに格上げしなければならないが、従来のままである。

・ 地震に関する部分には「適切に評価」、「適切に考慮」という記載が頻繁に使われている。具体的内容は不明で、基準とはいえない体裁である。

・ シビアアクシデントの評価が現実と乖離している。例えば、高圧・低圧注水機能と全交流電源喪失が同時に発生する事故シーケンスは考慮されていない。

・ 格納容器が損壊した場合には、放水設備で放射性物質の拡散を防ぐことはできない。

・ ベント操作の本質は、放射性物質を放出することであり、安全確保策ではない。違法である。

<準備書面19・・・(ものぐさ 浜岡原発は原子炉立地審査に違反、よって設置許可は無効)>

 原子炉立地審査指針によれば、「非居住区域」に放射される放射線量の目安は250ミリシーベルト以下でなければならないとされているが、福島原発敷地境界における線量は、2011年4月1日から1年間の累積線量で956ミリシーベルトであった。

 福島原発事故における放射性物質の飛散状況を見れば、原発事故が起きれば、周辺の公衆に放射線障害を与えることは明白である。

 浜岡原発から30km圏内には86万人が住んでいます。「非居住区域」でしょうか、「低人口地帯」でしょうか。明らかに、浜岡原発は、原子炉立地審査指針に違反している。よって設置許可は無効である。

 新規制基準には原子炉立地審査指針がない(ものぐさ 新規制基準には原子炉立地審査指針がない)。福島原発事故の実情を踏まえて正当な立地審査指針を作ると、日本に原発が立地できる場所がないことがわかってしまったからである。これは驚きです。

<準備書面20・・・(ものぐさ 新規制基準の基準地震動は旧態依然)>

 基準地震動を上回る地震の確率は1万年に1度とされていた。ところが、ここ10年の間に基準地震動を上回る地震は5回も発生している。2年に1度の確率だ。その理由は、観測された各種データの平均値を用いて地震動を想定していることによる。

 そして、新規制基準は、地震動の評価を具体的に規定することなく、「適切に設定され、地震動評価がされていることを確認する」などと言った曖昧な文言を羅列しているだけである。何が「適切」なのかは全く記載されていない。

 新規制基準が曖昧な表現にとどまっていることを悪用して、電力会社は、基準地震動策定手法が誤っていたことが明白になった現在においても、旧態依然とした手法で基準地震動を策定している。

<準備書面21・・・(ものぐさ 浜岡原発(ABRW型)は水蒸気爆発の可能性あり)>

 炉心溶融により溶融した燃料(2500℃以上)に冷却水が接触すると、冷却水は急激に蒸発し、体積は瞬時に1600倍も増加する。この爆発現象を水蒸気爆発と呼ぶ。それによる爆発力・破壊力は福島原発で起きた水素爆発の比ではない。

 改良型沸騰水型軽水炉(ABWR型)と呼ばれる浜岡原発5号機は、福島原発に採用されている沸騰水型軽水炉(BWR-4 Mark-1型)と比べて、遥かに水蒸気爆発の危険性が高いと言われている。

 その理由を構造上の違いから説明する。

・ Mark-1型の下部に位置する圧力抑制室はドーナツ状の構造となっているため、溶融燃料が落下したとしても、原子炉下部に圧力抑制室はなく、水蒸気爆発は起こりにくい構造となっている。

・ ABRW型は原子炉の直下に圧力抑制室のある構造となっており、落下した溶融燃料が圧力抑制室隔壁を破壊し、冷却水と接触する可能性の高い構造となっている。

 水蒸気爆発の事例として、火山噴火、スリーマイル島原発事故、鹿島コンビナート事故(1958年)、兵庫県での製鉄所事故(1988年)、大阪府の製鉄所事故(1989年)、山形県の廃品回収工場事故(1990年)、富山県アルミ鋳造工場事故(1984年)、米軍用沸騰水型原子炉SL-1(1961年)などが報告されています。

<準備書面22・・・(ものぐさ  司法が変わる 大飯原発原告勝訴)>

 福井地裁は「大飯原発を運転してはならない」とする判決を言い渡した。以下、要点を列挙する。

・ ひとたび深刻な事故が起きれば多くの人の生命、身体や生活基盤に重大な被害を及ぼす。生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのものについて侵害行為の差し止めを請求できる。人格権は憲法上の権利でもある。

・ 原発の稼動は経済的活動の自由に属するに過ぎず、人格権よりも劣位におかれるべきもの。

・ ひとたび事故が発生した場合の権利侵害の度合・範囲が甚大であることに照らしても、司法判断を避ける理由は微塵も存在しない。

・ 原子炉規制法等のあり方、内容によって司法が左右されるべきではなく、司法は(人格権を根拠とした差し止め請求に関する)判断能力・適格を有する。

・ 判決は、①地震学の知見の限界、②構造物の材質のばらつきや溶接等の良否などの不確定要素の存在、③緊急時における回避措置の不確実性や事態把握の困難性等を指摘し、冷却機能喪失による重大事故の危険性は「万が一の危険という領域を遥かに超える現実的で切迫した危険である。」と述べている。

 胸のすくような判決でした。福島原発の悲惨な現状をみて、理不尽な思いを抱きつつ「まあしょうがないか」とあきらめているのではないでしょうか。司法は国民の味方です。専門知識に疎い国民にとって人格権は大きな武器となります。人格権を根拠に、原発再稼動反対を堂々と主張していこうではありませんか。

<準備書面23・・・(ものぐさ 浜岡原発のクリフエッジ)>

 関西電力は、再稼動前にストレステストを実施し、クリフエッジを1260ガルと特定した。クリフエッジとは、プラントの状況が急変する地震の負荷レベルを指し、これを超える地震により、システムは崩壊し、非常用設備ないし予備的手段による補完もほぼ不可能となり、炉心溶融に結びつく。中電はクリフエッジを明らかにせよ。再稼動申請をしているからには、クリフエッジを特定していないという言い訳をすることは許されない。

 次回は9/4、新規制基準の解釈について、中電からの反論がある。

 次々回は11/27、基準地震動は平均値を用いているに過ぎないとの指摘に、中電からの反論がある。

 次次々回は1/21。 

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