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2014年10月

2014年10月 3日 (金)

九電 再生エネルギー買取り停止と固定価格買取制度

 9/25、九電は再生可能エネルギーの買取りを停止すると発表しました。

 九電で運転を開始した再生エネルギーによる発電設備は全国の2割以上となる228万kw(うち太陽光発電は227万kw)に達しています。

 大規模発電所の多くは土地が安い地方に設置されているため、送電線などの容量が小さく、パンク状態になるエリアが急速に広がったのがその理由です。

 原発再稼働へのハードルが高くなり、廃炉基準となる運転経過年数が40年に達する原発もあり、政府も再生エネルギーを推進する政策を進めているなか、何故、送電線の容量を増やさないのでしょうか。原発を増設しようとしているのでしょうか、40年経過しても運転を継続しようとしているのでしょうか。送電線がパンクする状態になることは、当初から判っていたはずです。送電線の容量不足を理由に原発の再稼動を正当化しようとしているのでしょうか。

 政府は送電線の容量不足を放置し何の手当てもしない中、「やはり再生エネルギーの普及は進まなかった。原発の再稼働しか選択肢はない。」と言い出すに決まっています。

 さて、九電が買い取りを停止する根拠とする「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」とはどのようなものでしょう。

 同法は、「発電事業者が自然エネルギーで発電した電気を、国が定めた固定価格で、一定の期間、電気事業者(電力会社)が買取ること」を義務付けています。

 しかし、第4条(特定契約の申し込みに応ずる義務)及び第5条(接続の請求に応ずる義務)において、以下の例外規定を定めています。

・ 電気事業者の利益を不当に害するおそれがあるときや正当な理由がある場合は、特定契約の締結を拒んでよい。

・ 電気事業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるときや 正当な理由があるときは、接続を拒んでよい。

 「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずる」との理由で、九電は再生エネルギーの買取を拒否するのでしょう。政府は再生エネルギー推進のポーズを見せるが、こんなからくりがあったのです。

 同法の第1条(目的)には、「エネルギー源としての再生可能エネルギー源を利用することが、内外の経済的社会的環境に応じたエネルギーの安定的かつ適切な供給の確保及びエネルギーの供給に係る環境への負荷の低減を図る上で重要となっていることに鑑み、・・・・再生可能エネルギー源の利用を促進し、もって我が国の国際競争力の強化及び我が国産業の振興、地域の活性化その他国民経済の健全な発展に寄与すること」と記述されています。

 ならば、同法の趣旨にそって送電線の容量を大きくする政策をもっと積極的に推し進めていく責任が政府にあります。このままでは怠慢のそしりを免れません。

 九電が「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずる」と言う理由とした送電線のパンク以外に、次のような懸念もあげられています。

・ 太陽光や風力は日照や風況によって分単位で出力が変動する。この変動を相殺・吸収できる火力や水力の能力以上に太陽光・風力が系統に接続されると、管内全体の需給・周波数が乱れ、エリア全体の停電に繋がる。

・ 昼間に、太陽光発電を大量に受け入れるため火力の出力を下げすぎると、電力需要がピークを迎える夕刻以降に、火力の出力が100%元には戻らず、エリア全体の電力が供給不足に陥る。

 これらの理由が、再生可能エネルギーの受け入れを拒否し、原発の再稼動を主張する口実となってはなりません。

 発電した電力を九電から関電に送るなど、地域にまたがった「連係線」の容量を増強したり、風力発電と太陽光発電を組み合わせることにより電力を平準化したり、余剰電力を一時蓄える揚水発電の活用やバッテリーの増設など、いくつかの方法があると思います。

  さて、送電線パンクの件に話を戻します。玄海原発1号機は39年経過し、2号機は33年経過しています。40年を経過した原発の再稼動には高いハードルが待っています。費用対効果の面からも廃炉しかないというのが九電の本音でしょう。原発の増設は、更に困難です。

 両原発の発電量は共に56万kwです。1・2号機を廃炉にすれば、112万kwの余裕が送電線に生まれ、その部分を再生エネルギーの送電に回すことができます。しかも原発周辺は低人口地帯であり、地価も安いと思われます。佐賀市の年間の平均日照時間(過去20年間の平均)は1970時間と全国平均(1894時間)を上回っています。1日の日照時間(注1)を7時間とすれば、太陽光発電可能日数は281日間にもなります。気象庁HPによれば、2014年6月20日~9月21日間の合計日照時間は、玄海原発に隣接する唐津市で363時間、同伊万里市で346時間、佐賀市で345時間となっています。佐賀市に比べて玄海原発に近い唐津・伊万里市のほうが日照時間が多いことがわかります。参考までに、宮崎市は2122時間、熊本市は1999時間、鹿児島市は1952時間、福岡市は1873時間、長崎市は1862時間となっています。

(注1) 日照計で測定される直接日射量が120W/m2以上である時間と定義され、日照なしの目安(120W/m2以下)は、直射光によって物体の影が認められない程度。

2014年10月 9日 (木)

九州の風力発電等の潜在量

 送電線などの容量が小さく、パンク状態になるエリアが急速に広がったとの理由で、九電は再生可能エネルギーの買取りを停止すると発表しました(ものぐさ 九電 再生エネルギー買取り停止と固定価格買取制度)。

 九電で運転を開始した再生エネルギーによる発電設備は全国の2割以上となる228万kw(うち太陽光発電は227万kw)に達しています。

 上記の調査中、日本風力発電協会による「風力発電の賦存量とポテンシャルおよびこれに基づく長期導入目標とロードマップの算定・・・2010年1月15日」なる資料が目に止まりました。年間平均風速6m/s以上の適地全てに風力発電設備を設置したとして試算されています。

 それによれば、九州における陸上風力発電設備容量は、北海道、東北に次ぐ3番目で6000万kw(6万Mw)。洋上風力発電設備容量は、北海道に次ぎ2番目で2億7500万kw(27万5000Mw)。合計すると、九州だけで100万kwの原発335基分に相当します。

 これを踏まえて、同協会は社会的条件等により適地全てに発電設備を設置することはできないとして、開発率を陸上で15%、着床式洋上で20%、浮体式洋上で5%と見積もり、風力発電の持つポテンシャルを2438万kw(2万4387Mw)と算出しています。原発24基分に相当します。原子力や火力発電を含む九電の発電設備容量2023万kw(2万23Mw)を風力発電だけで超えているのです。

 社会的条件等を考慮した国内風力発電のポテンシャルは、1億3335万kw(13万3345Mw)にも上り、原発133基分に相当します。原子力や火力発電を含む国内発電設備容量2億217万kw(20万2177万Mw)の0.7倍にも達します。

 24時間連続運転できる原発と、風が吹いたときしか発電できない風力発電とは単純に比較できませんが、桁外れに大きな発電量です。

 一方、資源エネルギー庁の資料によれば、現在及び2030年における再生可能エネルギーの国内導入見通しは設備容量ベースで以下のように試算されています(再生可能エネルギーの導入量等に関する検討・・・平成26年9月10日)。単位は万kw。

           2013年            2030年

太陽光       1432              5300

風力          271              1000

地熱          52                165

水力        4745               5560

合計        6500              12025

 100万kwの原発に換算すると、2013年で65基、2030年には120基にもなります。最も、気象条件が加わるので、実際の発電量はこれほどにも達しませんが、かなり大きな設備容量です。火力発電等を含む総設備容量に占める再生可能エネルギーの割合は2030年時点で38%、総発電量に占める割合は21%と試算されています。

 太陽光、風力と言い、なんと大きな宝の持ち腐れでしょう。送電線パンクや電力不安定化への懸念など、些細な問題です。やる気があればできるのに、やる気がないから尤もらしい理屈を並べているような気もします。さっさと、下記の対策を推進するよう希望します。

① 他の電力会社間との連系線の追加増強。

② 北海道・東北・九州といった風力最適地での風力発電事業を拡大するためにも、脆弱な地域内送電線の整備・増強。

③ 大型蓄電池を基幹系統の変電所に設置することで、導入可能量の拡大を図る。

④ 再生可能エネルギー発電事業者への太陽光・風力発電設備の出力抑制を求めるルールの変更。

2014年10月22日 (水)

川内原発再稼動と御嶽山噴火

 9/27、御嶽山が噴火して以降、2次災害の可能性もあり救出作業は困難を極めています。10/1、大型ヘリコプターで35人を搬送し、全員の死亡を確認しました。死者は47人にも上り、戦後最悪の事態となりました。今だ24人の行方不明者が残っています。

 何時、再噴火するか予測できない中、2次災害のリスクと安否を心配する家族の思いの狭間での9/28から10/1の救出作業は、ぎりぎりの決断であったと伝えられています。

 このような状況下で、原子力規制委員長は、次のように述べています。

① 御嶽山の水蒸気噴火と川内原発で想定される巨大噴火では起こる現象が違う。

 (反論) 「水蒸気噴火」は、マグマからの熱により熱せられた地下水が高温高圧の水蒸気となって爆発的に噴出する現象です。高温のマグマが直接地下水に接して爆発する「マグマ水蒸気噴火」や高温で溶けた岩石であるマグマそのものが火口から激しく噴出し、大量の火山灰や溶岩流、それに高温の火砕流を同時に起こす「マグマ噴火」と御嶽山の水蒸気噴火が異なることに異論はありません。昭和58年に起きた三宅島の噴火(注1)は、「マグマ水蒸気噴火」、平成23年の霧島連山・新燃岳の噴火(注2)や、平成3年の長崎県の雲仙普賢岳の噴火、それに昭和61年の伊豆大島の噴火などは「マグマ噴火」です。

 火山の爆発の大きさは火山爆発指数(VEI)で分類されます。噴出物の量に応じてVEI0~VEI8のレベルとなります(注3)。大規模噴火はVEI4~5、巨大噴火(カルデラ噴火)はVEI6以上と言われています。この分類によれば、有珠山の爆発は中規模噴火、雲仙普賢岳の爆発は大規模噴火であり、阿蘇山、姶良カルデラ、鬼界カルデラは巨大噴火となります。巨大噴火では半径数10kmの範囲の生物が死滅すると言われています。

 噴出物の量で大規模噴火と巨大噴火は区分されるのであり、事前に噴火の規模を予知できるわけではありません。防災情報新聞は、御嶽山の噴火をVEI2と伝えています。御嶽山の噴火は大規模噴火でも巨大噴火でもなく、同委員長の発言は誤りではありません。しかし、同委員長の発言には釈然としないものがあります。その理由は、①の発言を提示し、②の発言へとつなげ、③の発言に誘導していく論理です。③の発言で「巨大噴火はここ30年、40年の間に起こるものではない。」とまで言い切り、だから再稼動の判断は正しいと誘導しているのです。

② 御嶽山より大きい噴火が起きても影響はない。

 (反論) 「大きい噴火」とは「マグマ水蒸気噴火」を指すのでしょうか、「マグマ噴火」を指すのでしょうか、マグマ噴出で地形が陥没するような「巨大噴火」を指すのでしょうか。

 巨大噴火に該当しない噴火における降灰量や火砕流の到達距離はどの程度でしょう。

 1707年の富士山・宝永噴火(VEI5)では降灰は100kmに、864年の貞観噴火(VEI4)では溶岩流は長尾山付近から北西に本栖湖、西湖、精進湖、北東は吉田付近にまで及んでおり、その距離は10~50kmに達しています。

 1783年の浅間山・天明噴火(VEI4)では降灰は200kmに、火砕流は10kmの範囲に広がり、大木が茂る森を埋め焼き尽くしました。

 2000年の三宅島噴火(VEI3)では降灰、火砕流とも5km以上に及んでいます。

 姶良カルデラから川内原発までの距離は50km、この距離はVEI4クラスの貞観噴火で火砕流が到達した距離と同じです。ほぼ同じ場所に位置する桜島では、1914年にVEI5の大規模噴火が起きています。大規模噴火は川内原発に影響しないと言い切れるのでしょうか。

 巨大噴火が起きても影響はない、と言うのでしょうか。2.8万年前の姶良カルデラの火砕流は、鹿児島県・宮崎県・熊本県を埋没させ広いシラス台地を形成し、8000年前に起きた鬼界カルデラ(大隅半島の南西に位置した竹島、硫黄島周辺の海中)の火砕流は海上を流走し、大隅半島を覆った、と言われています。巨大噴火が起きれば川内原発に影響を及ぼすことは必至です。しかも川内原発周辺において、VEI7相当の阿蘇山、姶良カルデラや鬼界カルデラ噴火が過去に起きているのです。

③ 巨大噴火はここ30年、40年の間に起こるものではない。天災がいつ起きるか分からないので社会的活動をやめてください、という考え方では仕事はできない。

 (反論) 「巨大噴火はここ30年、40年の間に起こるものではない。」と言えるでしょうか。再稼動の障害となるからこのような発言をしているように感じます。かつて、同委員長は火山噴火が迫っても、GPSで「少なくても10年前に予兆を捉え、核燃料を運び出すことが可能だ。」とも述べています。火山噴火について、専門家は、「巨大噴火の予知は非常に困難。噴火の周期やメカニズムは殆んどわかっていない。噴火の予兆をつかむことはできない。せいぜい数時間か数日以内だ。」と警告しています(ものぐさ 川内原発 再稼動は住民投票で)。

 何を根拠に40年間起きないと言い切れるのでしょうか。よく説明して頂きたいものです。

(注1) 噴出物の量は、溶岩流と火山灰を合わせて1.1~1.3×10の7乗で、VEI3のやや大規模に分類される。

(注2) 噴出物の量は、2×10の7乗で、VEI3のやや大規模に分類される。  

(注3) 火山爆発指数(VEI)

            噴出物の量(立法m)    噴煙の高さ     日本

VEI0(非爆発的) 1×10の4乗未満       0.1km未満

VEI1(小規模)   1×10の4乗以上      0.1~1km

VEI2(中規模)    1×10の6乗以上       1~5km       有珠山(2000)

VEI3(やや大規模) 1×10の7乗以上       3~15km   

VEI4(大規模)   1×10の8乗以上        10~25km       雲仙普賢岳(1990~95)

VEI5(途方もなく大規模)1×10の9乗以上   25km以上        樽前山(1739) 桜島(1914) 富士山(1707)

VEI6(並外れて巨大)1×10の10乗以上     25km以上       摩周(8000年前)

VEI7(超巨大)  1×10の11乗以上     25km以上          阿蘇山(9万年前) 姶良カルデラ(2.8万年前) 鬼界カルデラ(8000年前)

VEI8(更に巨大)1×10の12乗以上      25km以上

 火山爆発指数のデータは「広域的な火山防災対策に係る検討会 大規模火山災害とは・・・内閣府」の資料2から一部引用した。

 (追記)5.2万年前の箱根カルデラ、170万年前の穂高岳の噴火については、資料が見つかり次第追加します。

 

 

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