« 九州の風力発電等の潜在量 | トップページ | 川内原発 再稼動合意 »

2014年10月22日 (水)

川内原発再稼動と御嶽山噴火

 9/27、御嶽山が噴火して以降、2次災害の可能性もあり救出作業は困難を極めています。10/1、大型ヘリコプターで35人を搬送し、全員の死亡を確認しました。死者は47人にも上り、戦後最悪の事態となりました。今だ24人の行方不明者が残っています。

 何時、再噴火するか予測できない中、2次災害のリスクと安否を心配する家族の思いの狭間での9/28から10/1の救出作業は、ぎりぎりの決断であったと伝えられています。

 このような状況下で、原子力規制委員長は、次のように述べています。

① 御嶽山の水蒸気噴火と川内原発で想定される巨大噴火では起こる現象が違う。

 (反論) 「水蒸気噴火」は、マグマからの熱により熱せられた地下水が高温高圧の水蒸気となって爆発的に噴出する現象です。高温のマグマが直接地下水に接して爆発する「マグマ水蒸気噴火」や高温で溶けた岩石であるマグマそのものが火口から激しく噴出し、大量の火山灰や溶岩流、それに高温の火砕流を同時に起こす「マグマ噴火」と御嶽山の水蒸気噴火が異なることに異論はありません。昭和58年に起きた三宅島の噴火(注1)は、「マグマ水蒸気噴火」、平成23年の霧島連山・新燃岳の噴火(注2)や、平成3年の長崎県の雲仙普賢岳の噴火、それに昭和61年の伊豆大島の噴火などは「マグマ噴火」です。

 火山の爆発の大きさは火山爆発指数(VEI)で分類されます。噴出物の量に応じてVEI0~VEI8のレベルとなります(注3)。大規模噴火はVEI4~5、巨大噴火(カルデラ噴火)はVEI6以上と言われています。この分類によれば、有珠山の爆発は中規模噴火、雲仙普賢岳の爆発は大規模噴火であり、阿蘇山、姶良カルデラ、鬼界カルデラは巨大噴火となります。巨大噴火では半径数10kmの範囲の生物が死滅すると言われています。

 噴出物の量で大規模噴火と巨大噴火は区分されるのであり、事前に噴火の規模を予知できるわけではありません。防災情報新聞は、御嶽山の噴火をVEI2と伝えています。御嶽山の噴火は大規模噴火でも巨大噴火でもなく、同委員長の発言は誤りではありません。しかし、同委員長の発言には釈然としないものがあります。その理由は、①の発言を提示し、②の発言へとつなげ、③の発言に誘導していく論理です。③の発言で「巨大噴火はここ30年、40年の間に起こるものではない。」とまで言い切り、だから再稼動の判断は正しいと誘導しているのです。

② 御嶽山より大きい噴火が起きても影響はない。

 (反論) 「大きい噴火」とは「マグマ水蒸気噴火」を指すのでしょうか、「マグマ噴火」を指すのでしょうか、マグマ噴出で地形が陥没するような「巨大噴火」を指すのでしょうか。

 巨大噴火に該当しない噴火における降灰量や火砕流の到達距離はどの程度でしょう。

 1707年の富士山・宝永噴火(VEI5)では降灰は100kmに、864年の貞観噴火(VEI4)では溶岩流は長尾山付近から北西に本栖湖、西湖、精進湖、北東は吉田付近にまで及んでおり、その距離は10~50kmに達しています。

 1783年の浅間山・天明噴火(VEI4)では降灰は200kmに、火砕流は10kmの範囲に広がり、大木が茂る森を埋め焼き尽くしました。

 2000年の三宅島噴火(VEI3)では降灰、火砕流とも5km以上に及んでいます。

 姶良カルデラから川内原発までの距離は50km、この距離はVEI4クラスの貞観噴火で火砕流が到達した距離と同じです。ほぼ同じ場所に位置する桜島では、1914年にVEI5の大規模噴火が起きています。大規模噴火は川内原発に影響しないと言い切れるのでしょうか。

 巨大噴火が起きても影響はない、と言うのでしょうか。2.8万年前の姶良カルデラの火砕流は、鹿児島県・宮崎県・熊本県を埋没させ広いシラス台地を形成し、8000年前に起きた鬼界カルデラ(大隅半島の南西に位置した竹島、硫黄島周辺の海中)の火砕流は海上を流走し、大隅半島を覆った、と言われています。巨大噴火が起きれば川内原発に影響を及ぼすことは必至です。しかも川内原発周辺において、VEI7相当の阿蘇山、姶良カルデラや鬼界カルデラ噴火が過去に起きているのです。

③ 巨大噴火はここ30年、40年の間に起こるものではない。天災がいつ起きるか分からないので社会的活動をやめてください、という考え方では仕事はできない。

 (反論) 「巨大噴火はここ30年、40年の間に起こるものではない。」と言えるでしょうか。再稼動の障害となるからこのような発言をしているように感じます。かつて、同委員長は火山噴火が迫っても、GPSで「少なくても10年前に予兆を捉え、核燃料を運び出すことが可能だ。」とも述べています。火山噴火について、専門家は、「巨大噴火の予知は非常に困難。噴火の周期やメカニズムは殆んどわかっていない。噴火の予兆をつかむことはできない。せいぜい数時間か数日以内だ。」と警告しています(ものぐさ 川内原発 再稼動は住民投票で)。

 何を根拠に40年間起きないと言い切れるのでしょうか。よく説明して頂きたいものです。

(注1) 噴出物の量は、溶岩流と火山灰を合わせて1.1~1.3×10の7乗で、VEI3のやや大規模に分類される。

(注2) 噴出物の量は、2×10の7乗で、VEI3のやや大規模に分類される。  

(注3) 火山爆発指数(VEI)

            噴出物の量(立法m)    噴煙の高さ     日本

VEI0(非爆発的) 1×10の4乗未満       0.1km未満

VEI1(小規模)   1×10の4乗以上      0.1~1km

VEI2(中規模)    1×10の6乗以上       1~5km       有珠山(2000)

VEI3(やや大規模) 1×10の7乗以上       3~15km   

VEI4(大規模)   1×10の8乗以上        10~25km       雲仙普賢岳(1990~95)

VEI5(途方もなく大規模)1×10の9乗以上   25km以上        樽前山(1739) 桜島(1914) 富士山(1707)

VEI6(並外れて巨大)1×10の10乗以上     25km以上       摩周(8000年前)

VEI7(超巨大)  1×10の11乗以上     25km以上          阿蘇山(9万年前) 姶良カルデラ(2.8万年前) 鬼界カルデラ(8000年前)

VEI8(更に巨大)1×10の12乗以上      25km以上

 火山爆発指数のデータは「広域的な火山防災対策に係る検討会 大規模火山災害とは・・・内閣府」の資料2から一部引用した。

 (追記)5.2万年前の箱根カルデラ、170万年前の穂高岳の噴火については、資料が見つかり次第追加します。

 

 

« 九州の風力発電等の潜在量 | トップページ | 川内原発 再稼動合意 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 九州の風力発電等の潜在量 | トップページ | 川内原発 再稼動合意 »