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2014年11月 9日 (日)

川内原発 再稼動合意

 鹿児島県議会は11/7、川内原発の再稼動に合意しました。県知事は、再稼動止むなしの理由として、以下5点を上げています。

① 原発の必要性と安全性、事故が発生した場合に国が責任を持って対処することが政府から示された。

② 国の新規性基準に合格し、安全性が確保された。

③ 薩摩川内市と鹿児島県議会の判断が示された。

④ 周辺9市町で避難計画作成が終了した。

⑤ 地元説明会で住民の理解を得られた。 

 UPZ圏内の住民の同意もないまま、UPZ圏内の緊急避難計画も策定されていない中、カルデラ噴火の危険性についても耳を傾けることもなく、福島原発事故の原因もはっきりしない中、川内市と県議会は再稼動に同意したのです。そもそも、規制委員会が自ら定めた規制基準に適合しているだけで、原発の安全性は何ら担保されていないのです。規制委員会自身も、事故は起きると認めています。

 原子力村住民(川内市、鹿児島県議会、同知事、政府、政治家、九州電力)の思惑だけで進んだ再稼動同意です。住民の不安は一向に解消されていません。

 上記5項目が、如何に詭弁であるか明らかにします。

・ 原発の必要性

 原発がないと停電する、電気料金が高くなると、福島原発以前には言われていました。3年半経過しても停電は起きず、原発の発電コストは決して安くなく、バックエンド費や廃炉・賠償費用を加えれば発電コストは最も高いことがバレてしまいました(ものぐさ 「原発は高い 201円/kw・h」 三上元湖西市長)。一旦事故が起きれば、住民は故郷を失うことになります。どんな必要性があるのでしょう。シェールガスの採掘により、石油やLNGガスの輸入価格は2~3割下がると言われています。石油産油国はシェア確保のため、原油算出量を減らしていないことも、価格低下の要因となっているようです。

 原子力村住民だけが原発の必要性を叫んでいるのです。

・ 原発の安全性

 かつて、原発は5重の壁で守られており、絶対安全だと言われてきました。ところが、福島原発事故で安全神話は吹き飛んでしまいました。原発の安全についても国民は騙され続けてきたのです。原子力村住民は、さすがに絶対安全であるとは言わなくなりましたが、世界一安全な原発だと言い換えて、新たな安全神話を作り出そうとしています。一旦事故が起きれば、放射能が放出するような原発を安全だなどとよくも言えたものです。

 有識者は、「基準地震動の設定は非常に甘い」と訴えています(ものぐさ 長沢教授 大甘な大飯・高浜・川内原発の基準地震動 新規制基準の基準地震動は旧態依然)。長沢教授は「断層モデル」の2~3倍を基準地震動とすべきであると主張しています。

 川内原発1号機の着工は1978年、2号機は1881年で、すでに36年も経過しています。原子炉の形式は軽水炉加圧型(PWR)で、1990年代末までに設計された第二世代炉(初期の商業用炉)に該当します。第三世代と言われる改良沸騰水型原子炉(ABWR)は4基(柏崎・刈羽2基、浜岡1基、志賀1基)しかありません。

 首相は、原発再稼動は「世界で最も厳しい安全基準で判断する」と述べています(ものぐさ 日本の原発技術は世界一安全 ?)。本当でしょうか。 世界各地で建設されている第三世代の原発は、①航空機の衝突に備え格納容器の外側に頑丈なシールド建屋を持ち、②安全系統は四重化され、③非常時に原子炉に注水する冷却水は屋外タンクではなく、格納容器内に設置し、④耐火壁で隔離された内部の機器が全焼することを想定し、⑤1万~10万年に一回の大規模地震を想定し、⑥炉心溶融対策の設備の1つであるコアキャッチャーの設置が要求されています(ものぐさ 「バックチェック」と「バックフィット」で原発は安全か)。

 川内原発は世界一安全なのでしょうか。

・ 国が責任をもって対処

 福島原発事故を振り返ってみてください。3年半経過しても汚染水の問題は解決できず、帰還困難区域には住むことができず、賠償に対しての誠意はなく、報道によれば原発関連死は1100人超(福島、半年で70人増)にも上り、甲状腺癌と疑いは103人(ものぐさ 福島原発 甲状腺障害 川内原発再稼動 政府が責任を持つだと ?)にも達しています(2014.8.24)。

 東海原発2号炉(110万kw)において、「全内蔵放射能の20%相当」が短時間放出した場合、急性死亡50万人以上、がん死者は800万人と試算されています(ものぐさ 「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」と「瀬尾試算」)。

 責任を持った対処とは、何を指すのでしょうか。国の発言はあまりにも軽すぎます。

・ 薩摩川内市と鹿児島県議会の判断

 立地自治体及び30km圏内の住民の意見は無視されています。

・ 周辺9市町で避難計画作成が終了

 30km圏内に避難した住民を除染する場所の目途も立たず、10~30km圏内の要援護者の避難先は定まっておらず、5km圏内の住民に配付する安定ヨウ素剤も行き渡っていません。

 事故発生は好天の昼間とは限らず机上プランの印象が色濃く、約80km離れた指宿市や熊本県に避難する場合の渋滞問題、30km圏内240ヶ所の福祉施設に約1万人いる要介護者の避難対策、5km圏内にある7ヶ所の病院やグループホームなどにいる約360人の要援護者対策は全くできておらず、要援護者を移送するための担架や車椅子などの不足、受け入れ施設は満床で空いていないのが現状だ、と住民は話しています。(ものぐさ 川内原発 緊急避難計画が不安なら再稼働に反対せよ)。

 こんなものを避難計画と言うのでしょうか。

・ 住民の理解を得た

 住民説明会では、再稼動の必要性、避難計画の実効性を問う声に十分な説明はなく、疑問の声は収まらなかったと言われています。これで住民の理解が得られたと言えるのでしょうか。

 以上のような状況下で、県知事は「事故が起きても、原発から5.5kmの放射線量は毎時5マイクロシーベルトだ。避難の必要はない。もう命の問題なんか発生しない。」と述べています。福島原発事故では原発関連死は1100人を超えています。5マイクロシーベルトは年間43.8ミリシーベルトに相当します。こんなムチャクチャな発言を許して良いものでしょうか。本当に恐ろしい県知事です。

 この再稼動同意をテコに、政府は、全国の原発をなし崩し的に再稼動しようとしています。川内原発の再稼動は、他人事ではありません。対岸の火事として傍観すべきではありません。

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