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2015年1月

2015年1月31日 (土)

桜井南相馬市長を招いての原子力防災学習会in牧之原

 平成27年1月29日、桜井南相馬市長を招いての原子力防災学習会が牧之原市で行なわれました。500~600席程度の会場がほぼ満席となりました。原発事故から4年になろうとしているにも関わらず、原発に対する関心は風化していないと感じました。浜岡原発のある御前崎市に隣接しているからでしょうか。他人ごとではないようです。

 学習会は3部に分かれ、最初に、元SBS静岡放送報道記者「笠井千晶」が制作したドキュメンタリー「映像で見る被災地 南相馬」が放映されました。次に、桜井南相馬市長の講演、最後は南相馬市長と西原牧之原市長の対談で2時間の学習会は終了しました。

<ドキュメンタリー「映像で見る被災地 南相馬」>

 福島原発事故で被災した南相馬の現実が映像を通して伝わってきます。「百聞は一見にしかず」と言うように、原発事故の恐ろしさ、悲惨さ、罪深さが視覚を通して迫ってきます。

<南相馬市長の講演>

 「南相馬市の現状と復興に向けて」というタイトルで、その現実をデータで示しています。浜岡原発で事故が起きたら、牧之原市もこのような状況になってしまうのです。以下記します。

・ 津波の高さは10~16m、遡上高は20.8mにも及ぶ。杉並区の1.3倍の土地が津波被害を受けた。

・ 平成26年11月19日時点での死亡者は1,103人(直接死636人、災害関連死467人)。

・ 平成23年3月11日時点での住民人口71,561人に対し、平成26年11月16日現在の居住者は47,291人、市外避難者は12,757人、転出者は8,008人、死亡・所在不明者は3,505人。回復率は66%で帰還の伸びは遅い。

・ 65才以上の人の帰還率は震災前にまで回復しているが、年少児を持つ若い世代の帰還率は47%と低い。18才から63才までの生産年齢人口は13,726人も減少した。急速に高齢化が進んでいる。

・ 病院の病床数は、震災前の1,329床から587床にまで減少した。なんと56%減で、入院受け入れが難しい状況だ。診療所数は、72施設から51施設に減少した。医師は19%、看護師は27%、医療スタッフは37%減少した。

・ 有効求人倍率は2.5倍と大きいが、求職ニーズにはミスマッチが多い。父親が帰還就労するも、避難先で生活を続ける母親・子供が少なくなく、パートやアルバイトが不足している。

・ 帰還解除に応じたのは、地域が消滅するのを防ぎたかったからだ。除染費等は2000億円、ゼネコンは丸儲け。地方が衰え、都会が栄える。これで良いのか。youtubeで怒りの発言をした。

・ 東電はしつこい。6万人が避難し、約400人が避難。おととい63才の人が農薬自殺した。賠償金をもらっても、心の再生はなかなか治らない。

・ 2,500人が津波で行方不明となっている中で福島原発が爆発した。情報は伝わってこず、テレビで爆発を知った。住民は爆発直後から避難を開始した。

・ 30km地点にバリケードが張られ、物資が入ってこない。マスコミは逃げ、5月中旬まで新聞は配達されない。マスコミが逃げた理由は2つ考えられる。第一に臆病、第二に電事連からの600億円のスポンサー料。鉢呂大臣が「死の町」発言をする。ボランティアは一桁レベル。

・ 繋がれたままの牛が15cmの柱をかじり、柱は3cmにまでなっていた。豚は共食いをする。20km圏内の家畜は殺処分。官僚は物としてのみ見ているだけで、住民の心を見ていない。官僚は現場を知らない。相馬の馬を殺すのか。「相馬野間追い」の文化を消滅させるののか。

・ 30kmの住民の医療費は自己負担だが、20kmの住民は無償だ。格差がある。金をもらっても生きていく希望が持てない。

・ 汚染水問題の解決は5月に延期された。解除しても帰れるのか。セキュリティーが確保されない中、帰れるのか。鳥獣被害や動物の糞で家は使い物にならない。

・ 再稼動でこんな状況になる。原発はダメ。福島をみてドイツは脱原発を決めた。

<桜井南相馬市長と西原牧之原市長の対談>

(西原) 再稼動について。

(桜井) 原発で働いていた家族は多い。生活は安定するが一回起きたら終わり。事故で全てが失われる。避難計画があっても安心できない。川内原発で事故が起きた場合、逃げる方向は、風向きもあり2つしかない。道路は大渋滞だ。物資は届かない。シェルターを作らないと避難弱者は死ぬ。

(西原) 地域は原発で豊かになるが、事故で地域はズタズタになる。

(桜井) 核は嫌いだが、良い悪いは言いずらかった。事故前、浪江・小高原発を進めたら、と言われた。事故が起きると推進派も反対派も悲惨な目にあう。福島の現実を知ってほしい。

(西原) 現地には「除染中」の旗が立ち並び、黒いフッレコンバックが並ぶ。見て呆然自失した。悲しい現実が報道されていない。中電はPR誌を出し始めた。中電に公開の場での対話を申し入れるが、中電は拒否している。牧之原市は立地自治体並みの安全協定を結んでいる。UPZ圏内の自治体も同様な協定を結ぼうとしている。川内原発の立地自治体の同意についての思いは。

(桜井) 沖縄の基地問題と同じ。地域から子供が消えている。

(西原) 9月、「安全が担保されない限り浜岡原発の永久停止を求める」との議決を牧之原市は採択した。私は「安全が担保されない限り」の部分を削除した。規制委員会は「原発は安全ではない」と「言っている。安全でなくても逃げなくてはいけないから、必死で計画を作っている。作れば作るほど矛盾点が出てくる。これを住民に示し、住民投票を行なう。住民の意見が再稼動賛成なら、事故が起きたときの責任は住民にある。どう思うか。

(桜井) 良識を持った発言だが、私はダメなものはダメだ。言えない人の声を私は代弁している。起こった現場にいるものにとってはダメなものはダメだ。6月に牛肉からセシウムが検出された。マスコミ30社は農家を追求する。住民を自殺に追い込む。マスコミは世論操作をする。

(西原) ストレートな物言いだが、発信力はすごい。説得力がある。命の防潮堤というが、何を急ぎ、何をすべきか。

(桜井) 津波は来るはずはない、と思っていた。防潮堤は重要だが。南相馬には貝塚(注1)があり、貞観地震の歴史もある。文明を受けた現代人のほうが劣っている。私が防潮堤を作ったのは、廃棄物処分のためで、後年の人に対する警鐘でもある。津波は逃げたほうが勝ち。この教育が重要。避難弱者対策は徹底する。

(西原) 将来像

(桜井) 和食が世界遺産になる。住んで心地が良く、安心して暮らせられる地域であって欲しい。そんな世が世界遺産となるようにしたい。原発、核と区切りをつけないとダメ。皆が各々の立場で地域のあり方、暮らし方を議論する。

(西原) 防災計画の中に、「原発事故が起きたらこうする」と言うことが書けない。そんな所に企業が来るか。30km圏内に100万人が暮らす。大動脈も通っている。リスクを考えるとおのずと結論は出る。「NO」という権利が住民にはある。

(桜井) 「相馬野間追い」の文化は失わなかった。歴史の重要さが原発事故で明らかになった。文化を全国に発信する。

 「住民投票云々というが、ダメなものはダメだ。それが原発だ」と言う桜井南相馬市長の言葉が印象に残りました。それが原発の本質です。原発事故で地獄を見、今なお、地を這うような思いをして復興に臨んでいる市長の心の叫びです。

(注1) 六千年前の縄文時代の貝塚が常磐線を挟むように点在している。貝塚のある場所は当時の生活の拠点であり、入江に近い場所であった。

 <お知らせ> 

 河合宏之監督映画「日本と原発」が上映される。サブタイトル「私たちは原発で幸せですか?」 無料

・ 3/7、牧之原市静波区防災センター 午後1時30分から4時。

・ 3/7、牧之原市「い~ら」        午後6時から8時30分。

 後援 牧之原市

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