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2015年4月15日 (水)

高浜原発再稼動差し止めの仮処分決定 基準地震動を否定

 4/14、関電・高浜原発3、4号機の運転差し止めを住民らが求めた仮処分申請で、福井地裁(樋口英明裁判長)は、再稼働を認めない決定をしました。

 裁判要旨を見てみましょう。

1 基準地震動700ガルを超える地震

 全国で20箇所にも満たない原発のうち4つの原発で5回にわたり基準地震動を超える地震が平成17年度以降10年足らずの間に到来している。福島原発事故が起きたあとであるにも関わらず、地震動の評価については従来方式を踏襲しているに過ぎない。

 算出された基準地震動は、平均的な数値であり、起こりえる最大の地震動を示すものではない。基準地震動は実績のみならず理論面でも信頼性を失っている(入倉教授)。関連記事(ものぐさ 新規制基準の基準地震動は旧態依然)、(ものぐさ 長沢教授 大甘な大飯・高浜・川内原発の基準地震動)。 

 基準地震動を超える地震が到来すれば、炉心損傷に至る危険性が認められる。

2 補強工事もなく、基準地震動700ガルへの引き上げ

 運転開始時の基準地震動は370ガル。基本的な耐震補強工事がなされないまま、550ガル、700ガルへと引き上げられた。このように数値だけ引き上げるという対応は社会的に許されない。基準地震動以下の地震でも冷却機能喪失による重大な事故が発生し得るというのであれば、万が一という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険がある。

3 規制基準に適合しても原発の安全性は確保されない

 原発の脆弱性は、①基準地震動の策定基準を見直し、大幅に引き上げ、根本的な耐震工事を実施する、②外部電源と主給水の耐震性をSクラスとする、③使用済み核燃料を堅固な施設で囲い込む、④使用済み核燃料プールの給水設備の耐震性をSクラスとすることでしか解消できない。

 また、使用済み核燃料プールに係る計測装置はSクラスでもなく、免震重要棟の設置についても規制対象である。

 専門化が警鐘を鳴らしていた基準地震動のいい加減さを、司法も認めたのです。

 裁判要旨の中に入倉教授自身の過去の発言が引用されています。同教授は「原発の基準地震動は地震の平均像ではなく、個別の敷地の不確かさも考慮して設定されており、決定で『実績や理論の面で信頼性を失っている』としているのは誤った理解だ」と、4/14のNHK Webで弁明していますが、同教授は次の発言を過去にしています(松山地裁準備書面19より)。どちらが本当なのでしょうか。

 <入倉教授の発言>

 基準地震動は計算で出た一番大きな揺れのように思われるが、そうではない。私は科学的な式を使って計算方法を提案してきたが、これは平均像を求めるもの。平均からずれた地震はいくらでもあり、観測そのものが間違っていることもある。余裕をもって決めたほうが安心だが、再稼動については経営判断だ。

 入倉教授自身が、基準地震動は平均像であり、いい加減なものだ、と述べているのです。

 菅官房長官は記者会見で、「独立した原子力規制委員会が十分に時間をかけて世界で最も厳しいと言われる新基準に適合するかどうかという判断をしたものであり、政府としてはそれを尊重して再稼働を進めていくという方針は変わらない」と述べています。

 「世界で最も厳しい安全基準」について、全くの噓であることは(ものぐさ 日本の原発技術は世界一安全 ?)でも明らかです。

 原子力規制委員会が策定した規制基準は再稼動を前提としたもので、住民の安全を守るためのものではないことが良くわかります。同委員長は、「この基準に適合しても放射能漏れの危険性はあり、絶対安全であることにはならない」と、述べています。

 安全審査に合格した高浜原発についての緊急性を認め、福井地裁は審理を分離し、仮処分の決定をしました。大飯原発については審理が続いています。ご安心ください。

 川内原発の運転差し止め訴訟に対して、4/22に判決が出ます。注目していきましょう。規制基準が否定されたのです。安全でもない原発の再稼動を認めるのですか。世論を高めて、裁判所に無言の圧力をかけていかなければなりません。

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