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2015年5月28日 (木)

浜岡原発訴訟 傍聴記(プレゼンテーション) その13

 5/21、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第19回口頭弁論を傍聴しました。前回に続き14回目の傍聴となります。

 午前10時5分までに裁判所に集合し、行列に並びました。定員オーバーした場合には抽選です。一般傍聴席40人程度に対し、希望者は15人。全員が入廷できました。

 向かって左に原告、右が被告(中電)です。原告側22人程度、被告側13人程度でした。

 裁判官3人が全員交替しました(裁判長は女性、陪臣は女性、男性各1人)。報道関係者は7人でした。10時30分開廷です。

 論点がほぼ出揃い、裁判官の交替もあったことから、原告及び被告双方の主張が法廷内で述べられました。原告が準備書面を提出し、これに被告が準備書面で回答をすると言う今までの形式と異なりました。双方、持論を主張しただけの、論点のかみ合わない裁判内容でした。以下、概略を示します。

 原告は法定内のモニターを使って、約40分間のパワーポイントによる説明を行ないました。

<立地条件>

・ プレート境界型地震の知見はなく、地震・津波・液状化のあるあまりにも愚かな場所に造ってしまった。M9を超える地震がプレートに沿って発生する。アメリカやヨーロッパの原発の近くにはプレートはない。

・ アスペリティは、原発の直下にあり、かつ浅い(10~20km)。3連動地震が起こりうる地域であり、地震学会はM10も想定している。直下型地震であり、制御棒挿入によるスクラムは間に合わない。当然、福島原発事故を超える炉心溶融となる。

・ 昭和30年代に新野川を埋め立て、その真上にあるのが浜岡原発だ。

・ 1944年の東海地震の時は、浜岡原発の近辺で液状化が起きている(場所は、池新田、佐倉、朝比奈、新野など)。液状化は繰り返す。 長さ50mの地割れも生じた。浜岡原発は、砂上の楼閣である。液状化は、防潮壁の脆弱化をもたらす。

<津波>

・ プレート境界型地震における巨大津波では、陸地に近づくにつれ、波が巨大化するダイナミックオーバーシュートが起こる。

・ 津波が障害物にぶつかると、運動エネルギーが位置エネルギーに変わり、1.5倍になるという屈折効果が起こる(東日本、チリ)。19~21mの津波は30mにも達する。被告は1mの越流しか考えていない。

・ 終局耐力(注1)を超えれば、田老地区の防潮堤と同じにように転倒する。

<地震想定>

・ 地震学は、確たる証拠も、実験的確認もできない科学分野である。実験不能で、後追い理屈の学問である。経済学と似たところがある。

・ 地震は過去に起きた地震の中央値で想定している。上下に外れた地震は無視している。

・ 基準地震動を超える地震は、宮城県沖地震、新潟県中越沖地震、東日本大震災など、実際は2.5年に一度に起きている。 何のための基準地震動か。

・ 沖合い600mから海水を取っている取水塔が破壊すれば原子炉は冷却不能となる。

・ アスペリテーの位置、深さ、大きさは推定の域を出ない。平均値でなく最悪値を想定すべき。

・ 垂直方向の加速度は、水平方向加速度の0.5倍でよいとしているが、過去の地震ではこの値が1.0を超えるものもある。

・ H断層系は活断層だ。

<避難>

・ 富士川や天竜川の橋が崩落し、道路が寸断されたりすれば、100万人が被曝し続け逃げられない。

<最後に>

・ 福島は、終わったわけではなく、今も現実である。

・ 地震国イタリアは原発を止めた。

・ 風向きで首都圏への影響が甚大であり、浜岡原発は、世界で最も危険な原発である。

 被告は、約20分間、モニターは使わず、用意した書面を読み上げただけでした。

・ 深層防護(幾重の対策)により、「止める」「冷やす」「閉じ込める」の安全上重要な機能を確保する。

・ 自然的立地条件についても、南海トラフ沿いのプレート境界で発生している地震について、調査している。

・ 東北地方太平洋沖地震及び福島第一原子力発電所事故を踏まえ、地震及び津波への対応を行っている。

・ 津波については、詳細に調査し、数値シュミレーションにより想定している。 敷地内への津波侵入の防止対策により、津波は原発に侵入しない。侵入しても、全電源喪失等に備え、空冷式ガスタービン発電機を設置してる。

・ 防波壁について、液状化に耐えうるようにしている。

 被告のプレゼンは、具体的な数字が出ず、抽象論に終始している印象でした。

 11時15分閉廷。

 次回、7月16日(木)午前10時30分。

 次次回、9月15日(火)午前10時30分。

 その次、11月26日(木)午前10時30分。

 その後、記者会見がありました。プレゼンテーションと重複する部分は割愛します。

・ 浜岡原発は造ってはいけない場所にある。

・ 深層防護で炉心損傷を防ぐ可能性もあるが。ネットスルーした後のことについては触れていない。

・ 関西電力高浜原発の再稼働差し止めを命じた仮処分を不服として、関電が申し立てた仮処分の効力を一時的に止める執行停止について、福井地裁(林潤裁判長)が却下した。最高裁から派遣された裁判官でも、却下できなかった。

・ 争点が多数あり、分散する。整理してから、専門家の判断を仰ぐ。

 以下、質疑応答です。

(ものぐさ) 最高裁から派遣された裁判官でも却下できなかった。伊方原発最高裁判決は3.11後見直されているのか。小泉元首相は、「最高裁判決は歴然として存在している」といっているが。

(弁護団) 高浜原発訴訟は、伊方判決の良い点を採用し、川内原発訴訟は、悪い点を採用した。

(ものぐさ) 具体的な数値をもって、被告は回答せよ、と原告は主張するが、被告は安全に関して、抽象的にしか述べていない。論点がかみ合わない。被告の不誠実な対応を裁判官に印象つける戦略とするのか、原告の土俵に引きずり上げて戦うのか。

(弁護団) 原告の土俵に引きずり上げて戦う。

(ものぐさ) 原告は、基準地震動を3500ガルと主張しているが、被告はアスペリティーを直下に置いて基準地震動を策定(1000~1200ガルと記憶している)し、安全を確認していると行っているが、違いは何か。

(弁護団) 被告は原発直下にアスペリティーを置いているが、深さを30kmと想定している。深ければ、基準地震動は少なく設定できる。浅いところに置かなくてはならない。 

(注1) 終局耐力とは,例えば粘り強い構造物で考えると,変形のみが増大し荷重が上がらない状態の時の強さです.
鉄筋が降伏してからの曲線を思い出してみてください.

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