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2015年6月 9日 (火)

原発の安全神話と集団的自衛権の安全神話

 福島原発事故で放射能が拡散し、多くの人々が故郷に帰れない状態が続いています。原発事故前まで政府は「原発は絶対に安全で、人々が避難するような原発事故は絶対に起こらない」と主張し続けていましたが、その安全神話はもろくも崩壊しました。国民を半世紀にもわたり騙し続けていたのです。

 原発の安全神話とは何なんなのか。電気事業連合会のHPを見てみましょう。

・ 原発には、放射性物質を閉じ込め、外へ出さないために、「5重の壁」というしくみがあり、第1の壁はペレット、第2の壁は被覆管、第3の壁は原子炉圧力容器、第4の壁は原子炉格納容器、第5の壁は原子炉建屋で構成されています。

・ 放射性物質の外部への放出を防ぐため、被膜管で覆われた核燃料の外は、さらに原子炉圧力容器、原子炉格納容器、原子炉建屋で囲まれており、放射性物質を閉じ込め、万が一の場合にも、外に出さないようにしています。

 福島原発事故では「5重の壁」が役にたちませんでした。放射能を撒き散らしたのです。

 これは科学の言葉ではなく、国民を騙すための方便のようなものでした。まんまと騙されたのです。

 集団的自衛権の行使についても、原発の安全神話と似たようなところがあるように感じます。

 集団的自衛権の閣議決定骨子案には「わが国への武力攻撃が発生しなくても、他国への武力攻撃が発生し、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがあり、他に適当な手段がない場合、自衛の措置としての武力の行使は許容される」書かれています。

 安倍首相は集団的自衛権について以下のように発言しています。

・ 他国の領土、領海で戦闘目的で自衛隊に武力行使させることはない。

・ 戦闘が行われれば直ちに指揮官の判断で(後方支援を)中止、避難する。安全が確保されている場所で後方支援する。日本の意思に反して戦闘行為に巻き込まれることはない。

・ 武力行使を目的として海外の(他国の)領土や領海に入っていくことは許されない。中東・ホルムズ海峡を念頭に、機雷除去は例外的に認められる。

 だから、自衛隊員が戦闘に巻き込まれることはない、と言うのでしょう。集団的自衛権の安全神話にほかなりません。原発のときと同じ手法で騙されて良いのですか。

 安倍首相の発言に対して、専門家は次のように指摘しています。

・ 後方支援という言葉は政府の造語で、外国にはこのような言葉はなく、後方支援=兵站(へいたん)を意味する。

・ 武器、食料を前線に届ける役目が兵站で、戦争そのものだ。

・ 後方支援は戦闘部隊を支援するためのもので、前線と区別はない。

・ 後方支援は「弾薬の提供」も可能にする。自衛隊が戦闘現場近くで外国の軍隊に緊密に協力して支援活動を行うことが想定されている。そこでの自衛隊の支援活動は「武力の行使」に該当する。

・ 後方支援の任務中に民兵からゲリラ的に攻撃を受ければ、自己防衛のための武器を使用することになる。たった一発の弾丸で戦争に巻き込まれる恐れがある。

・ 平時から事実上の「同盟軍」的な行動をとることを想定している。このような活動は、周辺諸国との軍事的緊張を高め、偶発的な武力紛争を誘発しかねず、武力の行使にまでエスカレートする危険をはらむものである。

・ 戦闘が行われれば(後方支援を)中止、避難するというが、戦闘を前に撤退したら、完全に卑怯者となってしまう。現場の判断に任せることは政治の責任の放棄といわざるをえない。

・ 戦闘行為が行なわれていない状況(停戦状態ではない)でも、機雷掃海は設置国の防御力を減じさせる「武力行使」とみなされる。

・ 日本には約6カ月分の石油備蓄がある。ホルムズ海峡の封鎖が直ちに「わが国の存立が脅かされ、国民の生命や権利が根底から覆される明白な危険」で「(武力行使の)他に適当な手段がない」とまで言えるのだろうか。

 憲法学者3名が集団的自衛権について違憲判断をしたことに対して、「憲法学者は9条の字面にのみ拘泥し、国民の安全より条文を重視している。」と政府は反論している。あたかも国民の安全を守るのは政府であるというような言いぐさです。以下の例に見るように、政府は国民を守ってくれません。

 先の太平洋戦争の終盤には、兵站機能が失われ、食料も武器も届かず、日本兵は餓死したのです。「天皇陛下万歳」と言って玉砕したのです。大本営の方針により、日本兵や一般民間人が南海の孤島に散ったのです。

 知覧飛行場からは意味のない特別攻撃を敢行し、多くの若者が敵艦に体当たりして命を落としました。

 沖縄戦では、「生きて虜囚の辱めを受けるな」といって手榴弾を民間人に渡し、集団自決を求めたのです。

 敗戦の色が濃くなっているにも関わらず、降伏のタイミングが遅れました。その結果、東京をはじめとする全国の主要都市は焼夷弾の投下により壊滅状態になり、広島、長崎には原爆が投下されたのです。この戦争で350万人が亡くなったと言われています。

 福島原発事故では住民に対する賠償金も不十分なまま、20ミリシーベルトの地区への帰還を政府は勧めています。

 これらの一例を見るように、政府は国民の生命の安全など全く考えていないのです。 

 後方支援とは、戦争そのものなのです。机上での議論ではなく、現場目線で集団的自衛権行使の行き着く先を想像してもらいたい。

 

 

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