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2015年7月 9日 (木)

川内原発再稼動 火山噴火リスク

 川内原発では、核燃料の装着作業が7/7に始まり、8月中旬には発電・送電が開始される模様です。

 川内原発の周辺には過去に巨大噴火を起こした5つのカルデラがあり、原発敷地内に火砕流の到着した可能性のあることが審査の過程で明らかになりました。

 これに対し、九電は巨大噴火の兆候が分かれば原子炉を停止して核燃料を運び出す方針を示し、原子力規制委員会はこれを妥当と判断しました。

 一方、火山学者の多くは「噴火の兆候を把握するのは困難だ」、「異常を見つけたときの判断基準を持っていない」と述べています。

 「原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チーム第1回会合 議事録 平成26年8月25日」からその詳細を明らかにします

(島崎委員長代理) 活動する可能性が十分小さいと評価しても、安全神話に陥ることなく、巨大噴火につながる可能性のあるような異常が、その後、発生する可能性も十分あると思うので、炉の運転停止命令を含むような対応を行うケースについても考えていく必要がある。

(小林管理官) 規制委員会としては、運用期間中にカルデラ噴火に至るような状況ではないと判断している。

(石原名誉教授) GPSと地震観測、監視カメラで噴火予知はできるというのは思い込み、俗説・誤解である。噴火の前に地面が隆起しない場合も多い。巨大噴火は何らかの前駆現象が数カ月、あるいは数年前に発生する可能性が高い。巨大噴火が起きる10年、20年前に予知できるとの発言もあるが、実際にはそう単純ではない。前駆現象が出たからといって、巨大噴火になるとは限らない。薩摩半島側に大量の火山灰があると、降雨による泥流が予想される。泥流堆積物が原発の取水口に与える影響評価をしているのか。

(藤井名誉教授) マグマ供給に見合うだけの隆起が起こるとは限らない。特に地溝帯のようなところでは隆起として現れない可能性もある。九電が火山噴火の予知の根拠としたDruitt論文(注1)は、2012年に公表されたが、追試はなく、今、否定されていないから、これは正しいという根拠にはなりえない。

(棚田総括主任研究員) 観測点の脆弱性や分布の偏りから見ると、現状の火山及び地震観測網だけで巨大噴火をモニタリングしたり評価するのは難しい。小規模・中規模の噴火でも、観測データの収集ができない場合がある。観測機器の修理はできず、評価が困難となる。この時点で原発の運用停止ということを考えるべき。九電が「異常なし」と判断したとき、火山学者はその判定を、科学的に検証するだけの実力を持ち合わせているのだろうか。それから巨大噴火に至らない兆候が繰り返し観測され、何度も「異常なし」と判断が続いたあとで、本当の兆候が出てきたときに、「異常有り」と九電はタイミング良く発表できるのだろうか。

(飛田総括研究官) 全国1200点のGNSS観測点(含むGPS)で毎日、地殻変動を監視しているが、火山活動において地殻変動が観測されることも観測されない場合もある。火山監視には不十分な設置台数だ。マグマの膨張を把握するには、その膨張源の3kmぐらい近くに観測点がないと有効な地殻変動というのは捉えられない。現時点では20km間隔で、多くの火山をモニタするというのには全く不十分な台数だ。

(石渡教授) 火山の災害というのは噴火だけではなく、火山泥流、山体崩壊がある。崩れた火山体が海の中へ流れ込むと津波が起きる。通常の噴火でも予知は難しい、巨大噴火の場合はなおさらである。

(中田教授) 巨大噴火の時期や規模を予測することは、現在の火山学では極めて困難、無理である。そんなに異常ではないんだけれども異常と思い込んでしまう、そういう危険性がある。異常があっても、噴火はしないという例が幾つもあるし、それからタイムラグを置いて噴火するということもある。異常を見つけた後のアクションには大変なことがいろいろ絡んでくる。責任の所在というのがあるので、本当に異常を異常と私たちは言えるだろうか。100km3以上のマグマが溜まっているということがわかった時点で、再稼働はないし、原子炉施設をつくるということもあり得ないのではないか。マグマ溜まりの増減はモニタリングできるかもしれないが絶対量は不明。カルデラに特化した適切な観測網を整備する必要がある。巨大噴火の前兆現象は、燃料の搬出に間に合う数年とか、あるいは10年という単位では捉えられない。

 以上見るように、巨大噴火の予兆を捕らえることはGPSでも監視カメラでも不可能であり、巨大噴火の可能性を知るための指標であるマグマの大きさを推定する方法も確立していません。観測機器の脆弱性も指摘されています。九電が巨大噴火を予知できるとした根拠となるDruitt論文も、専門家の間で認められたものではありません。都合の良い論文を引っ張り出してきただけです。

 観測網やデータが充実している地震予知ですら不可能な状況です。巨大噴火の予知など不可能でしょう。結局、何も分かっていないと言うことが見えてきます。

 巨大噴火を予知できたとしても、核燃料を搬出するまでの時間的な余裕はなく、搬出できない状況下で巨大噴火に見舞われることになります。核燃料の搬出先も決まっていません。

 核燃料を搬出したが巨大地震が発生しなかった場合、九電の損失について誰が責任を取るのでしょうか。責任を回避するため、九電の判断に任せざるをえないでしょう。炉心溶融しているにも関わらず海水注入に踏み切れなかった東電・福島原発に見るように、燃料搬出の決断ができないまま巨大噴火に見舞われる九電の対応が目に浮かびます。

 「運用期間中にカルデラ噴火に至るような状況ではないと判断している」と小林管理官は真っ先に述べているが、何を根拠にしているのだろうか、はなはだ疑問です。巨大噴火が起きないとするなら、何故このような検討会をするのでしょうか。専門家の意見を聞いたとするアリバイ作り、ガス抜き、セレモニー、国民に対するポーズ、こんなところでしょうか。

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(注1) 巨大噴火の可能性が十分に低いと九電が判断し、モニタリングによって巨大噴火を知ることができ、異常の発現から巨大噴火に至るまでの期間として、数10年もしくは100年あるので、安全に廃棄物を移動できると九電が根拠にした論文。

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