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2015年9月18日 (金)

浜岡原発訴訟 傍聴記(あまりにも愚かな場所に立地) その15

 9/15、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第20回口頭弁論を傍聴しました。前回に続き16回目の傍聴となります。

 午前10時5分までに裁判所に集合し、行列に並びました。定員オーバーした場合には抽選です。一般傍聴席40人程度に対し、希望者は15人程度。全員が入廷できました。

 向かって左に原告、右が被告(中電)です。原告側21人程度、被告側13人程度、記者は4人でした。10時30分開廷です。

 原告が準備書面29を提出し、10分程度で閉廷です。

 その後の記者会見において、原告の準備書面29が配布され、弁護人の用意した記者会見要旨が読み上げられ、質問への回答があり、記者会見は終了しました。

 以下、記します。

<記者会見要旨>

 福島原発からは、大量の放射性物質が環境に放出し続け、いまだ帰還できない人がいるのも関わらず、再稼動を進めている。安全性に関しては電力会社も原子力規制委員会も責任を取らない構図となっている。

 口永良部島、桜島、昨日は阿蘇山で火山が噴火し、静岡圏内での地震も多くなり、東京湾でも地震が発生した。人類に対する警告ではないか。

 浜岡原発は震源域の真上に立地する世界で一番危険な原発だ。

<準備書面29>

 同準備書面は 前々回の裁判で原告がパワーポイントを使って説明した内容を書面化したものである。簡単に、主張のポイントを列挙する。

1 風向

 年間を通して西風が多い。1~5月、11~12月は西風、6~8月は西南西の風が吹く。風下には静岡市があり、3500万人が生活する首都圏が広がる。

2 深層防護

 海外では、炉心の深刻な損傷を緩和するためのMitigation、放射性物質の放出から住民を守るためのEvacuationの考え方を採っている。しかし、被告は、全交流電源喪失に至っても短時間で回復する備えがあるとして、炉心損傷に至ってしまった場合の対策については明確にしていない。重大事故は連鎖して起きない、と言う甘い想定のもと、継ぎ接ぎのような対応しか考えていない。 

3 あまりにも愚かな場所に立地(地震)

 浜岡原発はプレート境界型地震に関する知見のない時代に、まさにプレート境界上に作られてしまったものである。小手先の対策で安全が確保できるような場所ではない。

 平成15年12月16日「東南海、南海地震に関する報告」によれば、浜岡原発付近の想定震度は7。

 中央防災会議は、興津川上流にアスペリティーをおいた場合の最大加速度を896ガルと試算している(2001年)。この地点における加速度応答スペクトルは3000~3500ガルにも達する。被告が現在考慮している加速度応答スペクトルは2000ガルしかない。

 敷地内に存在する5本のH断層系の1つであるH2断層は1万年以降の活動が否定されているのみであり、活断層である可能性は高い。

 あまりにも愚かな場所に立地(津波)

 南海トラフの巨大地震検討会の予測は19mの津波を想定している。防波壁に激突した津波は、30mの津波高さとなり、22mの防波壁をらくらくと越流する。津波高さ15mの場合、防波壁の幅1mあたり1800tもの水圧がかかる。

 あまりにも愚かな場所に立地(液状化)

 1、2号機は、昭和30年代に河川(新野川)を埋め立てて作った場所に立地している。浜岡原発は、浜辺を改変し、山を削った土砂で埋め立てられた敷地上にある。

 過去の文献には激しい液状化が幾多も報告されている。1944年の東南海地震では、池新田(大山、合戸)地区、佐倉(宮内、駒取、西佐倉)地区、朝比奈地区、新野地区で地割れが生じ、噴水、噴砂により一面水浸し状態となった。噴水を伴っての「底なし状態」も観測された。

 「側方流動」と言う更に危険な液状化では、泥水状に液状化した地盤が水平方向に移動する。このような場合、杭基礎は水平方向にせん断や曲げの力を受ける。杭の耐力を超過した場合、杭のせん断破壊が起き、構造物は転倒する。

 原子炉建屋は相良層に直接接しているが、直接接していないタービン建屋や各設備は液状化により不均等な沈降が生ずる。その場合、一次冷却水を通水する配管等が破断し、冷却不能な事態が発生する。原子炉建屋の南隣接地が液状化すれば、原子炉建屋自体も傾く恐れがある。

 22mの防波壁周辺が「側方流動」により液状化すれば、津波到来前に防波壁前面の砂丘は消失し、防波壁に直接津波が激突する。被告は防波壁の設計にあたって、「側方流動」と砂丘消失の可能性を考慮していない。

6 取水塔

 原子炉冷却水は沖合い600mにある取水塔から取り入れている。原子力安全基盤機構(JNES)は19mの津波が到来すれば100%の確率で炉心損傷が起きると解析している。取水塔方式は国内で例がなく、これが損傷した場合、冷却機能が喪失し、炉心損傷に陥る。敷地内の取水槽内の水だけでは20分しか冷却できない。

7 海水に浸かった5号機

 平成23年5月14日、原子炉操作中に、復水器の細管が損傷し、海水400tが流入し、内5tが原子炉に流入した。海水によるステンレス鋼の腐食は表面が均一に錆びるのではなく、穴を掘るように腐食する。被告は目視により点検、手入れしたというが本当だろうか。

8 避難不可能

 静岡県は、南が海、北は南アルプスなどの急峻な山岳地帯である。東は安政東海地震により地盤が隆起したと言われる由比地区や10mの隆起が予想される富士川河口断層がある。

<今後の裁判の進め方>

 双方の論点もほぼ出尽くし、今後は争点整理に入っていく。まとめ方について裁判所から提示があり、原告は次々回までにこれを準備する。来年9月以降には証拠調べを始める予定である。各争点について、双方の選任した学者が発言し、裁判所がこれを判断することになる。

 次回、11月26日(木)午前10時30分。

 次々回、2月4日(木) 午前10時30分

 その次、5月19日

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