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2015年10月28日 (水)

小出裕章 講演会

 10/17、静岡労政会館において、小出氏の講演会がありました。1時30分から4時5分までの長時間にわたる講演会でした。演題は「原発廃炉から始まる明るい静岡」です。全国的に有名な同氏による講演会ということで、多くの来場者があり、予備席を前後左右に追加しなければならないほどでした。6~700人程度の参加者でしょうか。参加費は700円でした。講演後の質疑応答に50分も割いてくれたことは驚きでした。

 福島原発事故から4年半が経過し、原発報道がめっきり少なくなり、既に風化したのではないかと感じていた矢先、多くの来場者があったことに安堵しました。いまだに原発再稼働には根強い拒否感があり、原発問題は風化していないのでしょう。

 講演内容について、箇条書きに列挙します。

・ 福島原発1号機の爆発により2号機の壁に穴があき、2号機の建屋の爆発は回避された。3号機も建屋上部が崩壊した。

・ 4号機の壁がすべて破壊し、プールは宙吊りとなり、冷却水は減少し、キリンで冷却水を補充した。使用済み核燃料の溶融はかろうじて免れた。

・ 広島原爆では800gのウランが爆発した。100万kwの原発では、年間1000kgのウランが消費され、燃えカスは死の灰だ。ウランはすぐ枯渇する。

・ 4号機の使用済み核燃料プールには広島原爆1万4000発にものぼるセシウム137がある。

・ 1~3号機の炉心の何処に溶融燃料があるのか、4年半たっても分からない。人が近寄れないからだ。電子部品を使用したロボットは放射線に弱い。途中で故障し、戻ってこれない。

・ 60万tの汚染水が生まれ、7000人の労働者が作業中である。被曝している。末端の作業者が受け取る収入は最低賃金に満たない。

・ 福島では10万人が流浪し、生活すべてが破壊している。範囲は1000平方kmに及ぶ。1万4000平方kmは立ち入り禁止区域。数100万人が被曝している。

・ 2014.10.13現在、海側井戸のセシウム134は61,000Bq/L、セシウム137は190,000Bq/L、全ベータは7,800,000Bq/L、これはストロンチウム90か。飲食物の上限は60Bq/L(100Bq/L?)である。

・ 原発敷地内への水の流入は、1日あたり1000t、内600tが海に流出している。

・ 燃料ウラン(?)は100t、2800℃で溶融し、落下、コンクリートが溶け、格納容器も壊れている。燃料デブリは回収できず。石棺しかない。

・ 原子力緊急事態宣言は、今でも解除されていない。数10年は無理。

・ IAEAへの報告によれば、大気中に放出したセシウム137は1号機で5.9×10の14乗、2号機で1.4×10の16乗、3号機で7.1×10の14乗である。広島原爆8.9×10の13乗の実に170倍にあたる。これでも過少評価、2~3倍では。

・ 群馬県の大地は1平方mあたり3~6万Bqの汚染。1平方mあたり4万Bqを超えて汚れているものは、放射線管理区域から持ち出せない。国は法律違反をしているが、緊急事態であるから適用外だと言っている。

・ 除染土を詰めたフレコンパックからは草が生えている。

・ 2.4×10の15乗Bqはウラン(?)750gに相当する。五感で感じることはできない。感じるのは死に至るときだ。

・ 原子力推進団体でもあるICRPの2007年勧告でさえ、100ミリシーベルト以下でも癌のリスクあると言っている。1万人・シーベルトでの死者数は0歳で15,152人、30歳で3,855人、55歳で49人だ。乳幼児の死亡率が如何に高いか分かる。1万人・シーベルトとは100ミリシーベルトの被曝者10万人、10ミリシーベルトの被爆者100万人と同じ意味である。100万人が10ミリシーべルトの被曝を受けると、0歳児は15,152人死ぬことになる。

・ 原子力規制委員会の定める新規制基準は安全基準ではない。同委員長も安全を担保するものではないと言っている。これを政府は安全であると言い代え、避難計画は地方まかせだ。福島原発の教訓は、誰も責任を取らず、処罰もされないことを教えてくれた。

・ 浜岡防潮堤は津波を防げないが、最も心配なのは地震だ。広島原爆のエネルギーはM6に相当する。M9は広島原爆の3万倍。M9.5のチリ地震は20万倍だ。

・ 原発が稼動しないことによる化石燃料の輸入は、国富の流出だと政府は言っているが、大飯原発訴訟で裁判官は豊かな国土こそ国富だと言っている。放射能汚染は豊かな国土を失うことになる。

 以下、質疑応答内容を列挙します。

・ 1ミリシーベルトを獲得するには自民党を倒せばよい。

・ 原発敷地内は放射能の沼。水で冷やすのはあきらめるべきだ。

・ 凍土壁は深さ30m、総延長1.5kmにも及び、地下水の流れは不定で、冷却用パイプが折れても、詰まっても機能不全に陥る。無理だ。

・ 原発前面の海と、阿武隈川河口が汚れていく。東京湾も汚染が進む。水産物は食べないことだ。

・ 国道6号線は放射能管理区域に相当し、生活など考えられない。地域ごと全員避難しかない。福島産は食べないことだ。

・ 温暖化問題が言われるが、死の灰と二酸化炭素と比べてどちらが悪いか。二酸化炭素は必要なもの。原発建設、採掘でも二酸化炭素は排出する。死の灰が無毒化するには100万年かかる。二酸化炭素は温暖化の原因ではない。二酸化炭素は1946年から増加し、温暖化は1800年から始まっている。

・ 再処理で放射能は無毒化しない。プルトニウムが分離され、原爆材料が増える。

・ 常任理事国の次に軍事大国なのは日本だ。原発は核兵器と同意語だ。核を持ちたかったため原発を始めた。

・ 乾式貯蔵方式は、使用済み核燃料プールよりましだ。何万年にもわたって、パッキン等の部品交換が必要になる。

・ 放射能の無毒化研究は、現代の錬金術だ。無毒化には猛烈なエネルギーが必要であり、別の危険物が生成される。但し、研究は続けるべきだ。

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