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2015年10月 6日 (火)

「核のごみ」処分場の科学的選定基準

 10/1、「高レベル放射性廃棄物」を処分する有望地の選定基準の概略が報道により明らかになりました。従来は自治体公募方式でしたが、進展がないので国が「科学的有望地」を示す方針に変わったのです。そして、自治体が地質調査を受け入れれば「金を交付」し、建設すれば「新たな金を交付」するから、貧乏な自治体は処分場の建設を受け入れろ、と言うのでしょう。かつて有識者は「有望値は国土の7割もある」と言っています。本当でしょうか。

 有望地の条件として、「地質の特徴」、「施設の安全性」、「輸送時の安全性」、「事業の実現可能性」の四つの観点から以下の分類が示されています。

<回避すべき>

・ 火山から15km以内・巨大カルデラ。

・ 活断層の近く。

<回避が好ましい>

・ 過去の隆起や侵食が大きい。

・ 地下の温度が高い。

・ 地下に火山性熱水や深部流体があり科学的影響が大きい。

・ 地下に軟弱な地層がある。

・ 火砕流の影響がある。

<好ましい>

・ 施設を支持する堅い地盤までの距離が短い。

・ 地下の作業温度が高温でない。

・ 港湾からの距離が十分短い。

 以下、検討します。

1 巨大カルデラ

 再稼動した川内原発の周辺には過去に巨大噴火を起こした5つのカルデラがあり、原発敷地内に火砕流の到着した可能性がある。

 巨大噴火では半径数10kmの範囲の生物が死滅する。2.8万年前の姶良カルデラの火砕流は、鹿児島県・宮崎県・熊本県を埋没させ広いシラス台地を形成した。鹿児島市の南方およそ100kmの島で8000年前に起きた鬼界カルデラの噴火により、火砕流の一部は海上を走り、大隅半島や薩摩半島にまで上陸した。また、海中に突入した火砕流の一部は大津波を発生させ、その痕跡は長崎県島原半島で確認されている。

 成層圏にまで到達した巨大な噴煙を構成する火山灰は、偏西風に流され東北地方にまで達した。関東地方でも10cm程度、大阪・神戸付近では20cm近くの厚さまで降り積もった。

 活火山のない四国も厚い火山灰で覆われ、南九州から四国にかけて生活していた縄文人は死滅するか、食料を求めて火山灰のない地域に移動し、1000年近く無人の地となった。

 九州のカルデラを代表する阿蘇山では、30万年前から9万年前までの間に、4回も巨大なカルデラ噴火が発生した。鬼界カルデラの5倍以上の規模。火砕流が九州のほぼ全域を襲い、一部は海を越え、山口県にまで到達した。100km以上火砕流が走ったことになる。さらに、火山灰は日本全土を覆い尽くし、その厚さは北海道東部でも10cm以上に達した。

 カルデラ噴火が起こると、その周囲100~200kmの範囲は火砕流で覆われ壊滅状態となるのは避けられない。犠牲者は数10万~数100万人に達する。

 10cm以上の厚さに火山灰が降り積もる地域では、あらゆる農作物は枯死し、灰の重みで建物の屋根が落ち、航空路を含むすべての交通網はまひ状態に陥り、物流も人の移動も困難になると予測される。貯水池や水道浄化池では火山灰のために取水不可能となり、広域で断水状態が続き、また送電線の断線、電柱などのがいしに降り積もった火山灰によるショートで大停電が起こる。

2 活断層について

 日本のいたるところに活断層が走っている。現在、日本全国で約2,000以上の活断層が確認されている。今後、地下に隠れていて地表に現れていない「活断層」も見つかり、その数は増加していく。

3 地震国で降水量が多く、地層が軟弱であること

 最終処分場が決定しているフィンランドのオンカロ施設は片麻岩と呼ばれる硬く安定した地盤が広がっており、岩盤の割れ目などを調べたところ、10億年以上大地震や火山活動が起きていない。

 スウェーデンのエストハンマル自治体のフォルスマルク処分場の岩盤は10億年以上前に形成され、乾燥しており亀裂が少ない。

 スイスのグリムゼル試験所は、岩石の亀裂が極めて少なく、10~30mの間にわずかな亀裂があるのみ。数億年間地殻変動がない。

 ドイツのゴアレーベンは地下900mのところに岩塩層が堆積しており、厚さは300mにも達する。岩塩層は2億5000年前に形成された。しかし岩塩層で地下水の流入が見つかり、唯一の候補地として30年以上調査してきたが、白紙撤回となる。

 アメリカのユッカマウンテンは降水量の少ない砂漠地帯にあり、凝灰岩からなる地層であることにより、この地が1987年に高レベル放射性廃棄物処分場の唯一の候補地と決定されたが、火山噴火の可能性もあり、地元住民やネバダ州議会の反対が強くなり政治問題化し、2009年に中止を決定。

 一方、日本列島の地質は、赤色系統の花崗岩をはじめ、火山岩類および堆積岩類がモザイク模様をなして複雑に分布し、多くの断層や活火山が存在している。

 日本の地層の特徴として、①マグマが地表にあらわれ、急冷されたことによる亀裂があり、②地殻変動の応力による亀裂があり、③降雨量が多く、地下水が豊富であり、④亀裂により生じた空間には地下水が浸透し、⑤現在も数年から数10年毎に地殻変動がある。

 このように、未固結若しくは十分に固結していない地層は、全土の38%にも及んでいる。残りは固結しているものの、亀裂の多い地層となっている。これが日本の地層の現状です。

 以上見るように、

 カルデラ噴火が起きれば1000年以上人が住めなくなる。10cm以上の火山灰が降れば、植物は枯れ、インフラやシステムは壊滅状態となる。日本滅亡だ。

 活断層は2000以上存在し、新たな活断層も見つかっている。地震国で、降水量も多く、地盤は軟弱である。

 有識者は「有望値は国土の7割もある」とノー天気なことを言っている。

 このような事実を直視すれば、危険極まりない施設である。到底、国民の納得できるような説明は不可能である。報道が伝えるように、「適正が高い」と色分けされた地域での反対運動は必至である。

 一番心配なのは、日本の政治家や官僚の体質である。

 太平洋戦争に突入する前に何度でも回避するタイミングがあったにも関わらず思いとどまることもなく、終戦するタイミングも逸して、原爆が投下された。原爆投下の責任は、アメリカにあるより、日本の指導者(戦争犯罪人)にあるように感じる。

 憲法違反と指摘された戦争法案は、政治家と官僚の面子のためか、国民の圧倒的多数の反対にも関わらず成立してしまった。安倍首相の度量のなさが際立った案件である。国民に丁寧に説明すると言っても、きちっとした説明になっていない。むしろ、誤魔化している。

 東京オリンピックの新国立競技場建設問題でも、予算の超過が指摘され、見直すタイミングはあったにも関わらず、ズルズルと建設計画が推し進められた。安保法案成立の生贄という形で、幸いにも建設計画は見直されることになったことを伝えておく。

 原発再稼動反対の国民の圧倒的多数意見にも関わらず、安全でもない規制基準を安全であると政府は言い換え再稼働に前のめりである。

 辺野古への米軍基地移設問題でも、政府が根拠としている「抑止力」について、米国の一部は懐疑的な見方をしている。ミサイル攻撃に備えるためにも軍事基地は沖縄に集中しないほうが良いと言うのが、彼らの軍事戦略なのである。更に、1995年当時、普天間飛行場の返還交渉で、日本側が沖縄海兵隊の駐留継続を望んでいたということも明らかになっているのである。政府の不正直さと、マスコミの怠慢ぶりが歴然としている。

 一旦計画された事案は、欠陥が明らかになったにしても、国民の反対があるにも関わらず実行されてしまう。明らかにクロであるものをシロと言い換えて平然としている。

 一方、ドイツでは岩塩層で地下水の流入が見つかったことで、唯一の候補地として30年以上調査してきた最終処分地が白紙撤回となった。どちらの政治家が信頼できるだろうか。あまりにも日本の政治家は劣っている。このような政治家が、最終処分場は「科学的に安全である」と言っても、信用できない。一旦、最終処分場の調査を受け入れれば、なし崩し的に建設されてしまう。

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