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2016年6月

2016年6月 2日 (木)

浜岡原発訴訟 傍聴記・・・「日本と原発 4年後」上映 その18

 5/19、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第23回口頭弁論を傍聴した。前回に続き19回目の傍聴となる。

 午前10時5分までに裁判所に集合し、行列に並ぶ。定員オーバーした場合には抽選。一般傍聴席40人程告に対し、希望者は18人。全員が入廷できた。

 向かって左に原告、右が被告(中電)。一般傍聴人33人程度、原告32人程度、被告14人程度、記者は5人。ほぼ満席。関心の高さが伺われる。10時30分開廷。

 原告側の河合弁護士が制作した「日本と原発 4年後」の要約版(1時間)を法廷で上映。以下、映画の内容を要約する。

・ 原発事故により放射能が拡散し、建物倒壊で下敷きになった人を救えず、避難命令を発した首長の苦悩。救える人を見殺しにした無念さ。

・ 飯館村の村歌「夢大らかに」をBGMに、故郷を失った無念さを吐露するインタービューが続く。放射能と共に心中。若い人は帰ってこない。涙を誘うシーンだ。

・ 2号機が危機に陥り、清水社長は原発からの退避を検討する。原子炉を放棄すれば、全機が崩壊し、日本は壊滅。近藤俊介は「半径250kmは避難必至」と言う。

・ 政府の復興という言葉とは裏腹に、住民の被ばくに対する不安は増していく。ICRPによれば、年間1ミリシーベルトであっても、がん発症の危険がある。その確率は被ばく量と直線関係にある。

・ 甲状腺がんの立証は不可能。政府が安心・安全と言っても、被害者だけが苦しんでいる。

・ M8.3、津波高さ9mの貞観地震の存在や研究機関による10mあるいは15.7mの津波試算を無視した結果の原発事故。これが想定外の津波か。

・ 政治家、官僚、御用学者、経団連からなる原子力ムラ。全産業の6割に影響力を持つ。原子力ムラからの広告宣伝料、各種補助金、御用学者への研究費、天下り先への斡旋等が関係者の批判を抑え込む。

・ 資源小国の日本では使用済み核燃料の再処理により、原発は永久に電気を作り続ける、と謳う。六ケ所村の再処理工場の運転延期、もんじゅの破綻は再処理という原子力政策の嘘を目の当たりにした。絵に描いた餅。世界中で撤退したものに固執している。

・ 原子力規制委員長は規制基準に適合しても安全ではない、と公言。テロ、戦争において、原発はミサイル攻撃の格好のターゲット。インターネットサイバーテロは原発のコンピュータを不正操作できる。アメリカはサイバーテロを心配している。

・ 浜岡原発には42~63mの津波が襲う。22mの防護壁は用を足さない。

・ 20km圏内には東名、新幹線が走る。3、4、5号機にある6800本の使用済み核燃料が発火すれば、半径250kmは壊滅。

・ 浪江町内に通学していた子供は、966校に避難し、バラバラ。

・ 山を20m掘り下げて建設した原発敷地直下は地下水で溢れている。安倍首相の言う「汚染水の完全ブロック」は嘘。

 以上。

 その後の記者会見での河合弁護士の発言に移る。

・ 1時間の要約版で原告の真意を伝えることができた。裁判長は身じろぎもせず見入っていた。陪席判事もメモを取りながら見ていた。

・ 裁判は技術論争に陥ってはいけない。判事はわからないので、権威ある専門家の言葉を鵜呑みにする。再び原発事故を起こして良いのかの判断を求める。ここがポイントである。

・ 中電の代理人2人は見たくないという雰囲気であった。1人はよく見ていた。

・ 映画の撮影は3年前から開始。ロスタイムを除けば実質2年か。一昨年の11月より上映し、1300回の上映、8万人が視聴した。制作費は4000万円。売り上げは5000万円。残金は次回の制作に回す。

・ 他の原発裁判でもこの映画を上映する。

・ 争点整理案の枠組みが裁判所より提示された。原告、被告は、各争点について主張し、裁判で争うことになる。次々回までに争点整理を完成したい。原告は文献提出や証人尋問を考えている。

・ テロ攻撃も争点整理に含めたい。

・ 川内原発再稼働に対して、熊本地裁に仮処分を申請したい。

・ 伊方原発再稼働に対して、松山地裁で本訴、広島と大分地裁で仮処分申請したい。

  次回    7/21 10時30分  争点整理案提出。

  次々回 10/11

  その次 12/15  1/12

 

2016年6月22日 (水)

基準地震動は入倉式ではなく武村式で算出せよ。4.7倍の差

 大飯原発地震動の算出は過小評価。計算式は武村式で算出せよ。6/17の新聞に掲載された。

 元原子力規制委員長代理の島崎邦彦・東京大学名誉教授が、田中原子力規制委員長に基準地震動の計算に問題があり、過小評価の恐れがあるとして、別の計算方法で再計算するように求めた。基準地震動の算出に使う計算式の一つである「入倉・三宅式」は活断層の断面の傾きが垂直かそれに近い場合、地震の規模が他の計算式に比べて1/3~1/4になり、基準地震動を過小評価すると指摘した。

 4月に起きた熊本地震でも入倉式で試算した結果が観測データと一致せず計算式の問題点を再確認したと、同氏は述べる。

 関連記事 (ものぐさ 高浜原発再稼動差し止めの仮処分決定 基準地震動を否定  長沢教授 大甘な大飯・高浜・川内原発の基準地震動

 さて、2014.2.6に行われた「大飯原発裁判交流会」の資料に詳しい記述があったので、理解するままに記述をする。

 地震モーメント(M0)は、地震でずれる断面積と比例関係を持つ。すなわち、その断面積(S)が大きいほど地震モーメントは大きくなる。その結果、基準地震動も大きくなる。基準地震動の推定は原発の耐震設計をする上で極めて重要である。その地震モーメントの計算式が大甘であると指摘されたのだ。

 地震モーメント(M0)とモーメントマグニチュード(Mw)との関係は次のようになる。

         logM0=1.5Mw+9.1        (1式)

東日本大震災におけるモーメントマグニチュード(Mw)は9.0と発表された。少しくどいが説明する。断面積から地震モーメントが算出され、上記(1式)により、モーメントマグニチュードが推定される。推定されたモーメントマグニチュードに地盤特性を加味して、基準地震動が求まる。

 断面積(S)と地震モーメント(M0)との関係はほぼ比例関係にある。地震でずれる断面積が大きいほど地震モーメントは大きくなるという関係だ。断面積(S)を縦軸に、地震モーメント(M0)を横軸にとると、その関係を示す直線グラフは、武村式より三宅式が上に位置しているのだ。よって、断面が地震で崩壊した場合、武村式による地震モーメント(M0)は大きくなる。三宅式のほうが小さくなり、過小評価であると言う所以だ。基準地震動は武村式のほうが4.7倍大きく試算されている。

 断面積(S)と地震モーメント(M0)との関係は発生した場所における地震動の大きさから関係式が導きだされるのであるが、三宅式は世界で起きた地震から導かれたものであるのに対して、武村式は国内地震から導かれたものである。原子力規制委員会は基準地震動の算出を入倉式、津波高さの算出を武村式で行っている。なんとも理解できない2重基準である。

 島崎邦彦・東京大学名誉教授は原子力規制委員会に対し、再計算を依頼しており、6/21の新聞では、結果は2~4週間後に判明するという。注目に値する動きだ。

 大飯原発の基準地震動700ガル(現時点では856ガルで承認されている)の4.7倍は3290ガルにも相当する。入倉式による基準地震動による耐震設計では、格納容器の破壊が起き大破局に至ると言う。

<規制委員会の再計算結果 7/16>

(田中委員長) 再計算では最大で644ガルで、基準地震動の856ガルを下回った。

(島崎) 関電と同様の設定で計算すべきなのに、されていない。関電の計算結果に比べて約6割と過小評価になった。補正すべきだ。補正したうえで予測の「不確かさ」を加味すれば、結果は推定で最大1500ガル超になる。ストレステストで炉心冷却が確保できなくなる下限値として関電が示した1260ガルを上回る。

<規制委員会の再計算結果 7/21>

(田中委員長) 再計算のやり方に無理があった。拙速だった。能力不足だった。判断を白紙に戻すが、安全審査で了解した大飯原発の基準地震動は見直さない。「入倉・三宅式」を見直す理由は見つからず、同方式による算出は継続する。

(ものぐさ) 島崎が指摘したように、入倉式で試算した熊本地震結果が観測データと一致しない点について同委員長はどのように説明するのか。「入倉・三宅式」を見直す理由はここにある。国民に対する真摯な説明を放棄している。信頼性は地に落ちた。これで、再稼働するつもりか。裁判の大きな争点の一つだ。

(7/24、報道) 通常の審査では、安全性に余裕を持たせるため、計算で導いた値の一部を1.5倍にして評価するが、再計算はしていない。原子力規制庁は「無理を重ねて計算し、精度がない。どの程度余裕を加えるべきかわからない」と釈明。規制委員会には地震の専門家はいない。規制庁の報告を鵜呑みにした同委員会の能力にも疑問。専門家の意見を取り入れるべきだとの島崎の提言に対して、同委員長は「そう言う余裕はないし、やるべき立場にもない」と答えた。首をひねらざる姿勢だ。

 

 

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