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2016年7月

2016年7月12日 (火)

反原発 三反園・鹿児島県知事 当選

 7/10に行われた鹿児島県知事選において、元テレ朝コメンテーターの三反園訓が県知事に当選した。三反園訓(無・新)42万6471票、伊藤祐一郎(無・現)34万2239票の大差となった。

 同氏は、選挙公約に原発の一時停止等を掲げていた。以下、報道から引用する。

・ 全国で唯一稼働している九州電力の川内原発について、熊本地震を受けて、原発をいったん停止して再点検すべきではないかと県民は不安に思っている。安全性が確保されていない原発を動かすわけにはいかない。原発のない社会をつくるという方向にどう持っていくかがトップの役割で、県民の立場に立った原発政策を取っていきたい。

・ 熊本地震を受け、原発をいったん停止して再検査し、活断層の調査をすべきだ。

・ 熊本地震の影響を考慮し、川内原発を停止して施設の点検と避難計画の見直しを行う。

・ 鹿児島を自然再生エネルギー県にしていくことで雇用を生み出したい。

・ 原発に関する諸問題を検討する原子力問題検討委員会を県庁内に恒常的に設置する。

 先の、参院選挙において、各候補者は、国民のためとか、県民のためとか連呼していたが、選挙が終われば、知らぬ顔の半兵衛(注1)を決め込むだろう。当選すれば首相の意向に沿った発言を繰り返すのみで、まさに「金太郎飴」。こんな国会議員では、国民の声など反映されるはずがない。世論調査と、国の政策がなんと乖離していることだろう。住民不在だ。原発再稼働、安保法制、特定秘密保護法、日米地位協定、沖縄辺野古基地など。国民の意思を反映できるような選挙制度に変えるべきだ。合区反対論者は、県民の代表として最低でも1県に1人は必要だと言うが、国会議員の実態を見れば、議員数は半減しても良い。一票の重みを公平にするためにも、合区は進めるべきだ。

 改憲勢力が2/3を確保した国会では、緊急事態条項、憲法9条の改正が現実味を帯びてきた。大学講師白井聡によれば、その手順は①~④の通りである。

① 政府に強力な権限を与える「緊急事態条項(ものぐさ 原発と緊急事態条項)」を加える。その際、地震など災害時の必要性を強調し、軍事面には触れない。

② 緊急事態を(首相が)宣言すれば、言論や集会、結社の自由など国民の諸権利を停止させ、反対勢力の批判を封じ込めることができる。

③ 軍事衝突が発生することを黙認、または誘発させる。

④ 戦争状態になれば、憲法9条と自衛隊との乖離が今以上に大きくなる。そうなれば、国民投票による9条の全面改定は、現状を追認するだけで容易になる。

 意図的な軍事衝突の1例として、第二次太平洋戦争の引き金になった関東軍による満州事変があげられる。関東軍は郊外の柳条湖で線路を爆破し、これを中国軍による犯行と発表することで、満州における軍事展開および占領をその口実として利用した。これを満州事変と呼んでいる。

 上記手順は、水温を徐々に上昇させると、その上昇に気づかない水中の蛙は死んでしまうと言う「茹でガエル(注2)」状況を連想させる。環境を徐々に変え、既成事実を積み上げていけば、人間もその変化に気づかず、死んでしまうことになる。国の狙いもここにある。

 一方、今回の知事選で見るように、反原発知事の誕生は住民とってわずかではあるが、一縷の希望を与えた。

 川内原発1号機は昨年8月、2号機は昨年10月に再稼働した。今年10月以降に定期検査に入り、同原発は一時停止する。知事に運転を止める法的権限はないが、難色を示せば一時停止後の再開は難しい。同知事の言動に注目していきたい。このような知事であれば、住民の気持ちに寄り添った政治をしてくれるかもしれない。少なくとも国会議員よりもだ。地方から国の政策に「ノー」を突きつけようではないか。住民の声を反映してくれるような首長を全国から当選させようではないか。地方からの反乱を起こそうではないか。

 改めて、川内原発における反原発派の主張を記す。

・ 現在の基準地震動700ガルを断層モデルの2~3倍にすべき(ものぐさ 長沢教授 大甘な大飯・高浜・川内原発の基準地震動)。

・  GPSと地震観測、監視カメラで噴火予知はできるというのは思い込み、俗説・誤解である。噴火の前に地面が隆起しない場合も多い。巨大噴火は何らかの前駆現象が数カ月、あるいは数年前に発生する可能性が高い。巨大噴火が起きる10年、20年前に予知できるとの発言もあるが、実際にはそう単純ではない。前駆現象が出たからといって、巨大噴火になるとは限らない。薩摩半島側に大量の火山灰があると、降雨による泥流が予想される。泥流堆積物が原発の取水口に与える影響評価をしているのか。火山の災害というのは噴火だけではなく、火山泥流、山体崩壊もある。崩れた火山体が海の中へ流れ込むと津波が起きる。通常の噴火でも予知は難しい、巨大噴火の場合はなおさらである。(ものぐさ 川内原発再稼動 火山噴火リスク

・ 絵に描いた餅の緊急避難計画。①地震や津波で避難経路が寸断したらどうするのか。②西風が吹いていた場合、風下である指宿方面に避難するのか。③指宿方面への避難予定者が風上である熊本方面に向かった場合、更なる渋滞とならないか。④巨大噴火の被害を受けるリスクはないのか。⑤台風が来ていたらどうするのか。⑥避難先の食料や寝具はどうするのか。⑦(高線量の地域に)避難バスは迎えに来るのか。(ものぐさ 川内原発 緊急避難計画が不安なら再稼働に反対せよ

(注1) 知っているのに知らないふりをしてとぼけること。「半兵衛」とは、戦国武将の竹中半兵衛のこととされる。竹中半兵衛は戦国時代屈指の知将で、とぼけるのがうまく、織田信長が半兵衛の元にスパイの前田犬千代を送り込んだが、半兵衛はそれを見抜いていながら知らぬ顔で犬千代と付き合い、逆に相手の情報を手にしたことからだと言われている。

(注2) 2匹の蛙を用意し、一方は熱湯に入れ、もう一方は緩やかに昇温する冷水に入れる。すると、前者は直ちに飛び跳ね脱出・生存するのに対し、後者は水温の上昇を知覚できずに死亡する。

2016年7月31日 (日)

政府の原発事故情報は信頼できぬ 浜岡原発周辺住民

 政府・省庁の発信する原発事故情報について、浜岡原発周辺自治体住民の30%が不信感を抱いていることが、広瀬東京女子大学名誉教授の調査で7/26日に分かった。調査対象はUPZU圏内(半径31km)の住民360人だ。

 信頼できない第一位はネット(36.7%)、第二位は政府・省庁(29.2%)、第三位はテレビ報道(11.9%)だ。以下、国際機関(4.4%)、県や市町(2.8%)、新聞報道(2.2%)と続く。中電に対する信頼度はどの程度なのか。調査項目から除外されていたのだろうか。興味のあるところである。

 一方、信頼できる第一位は41.4%の県や市町。政府・省庁は11.7%にとどまる。

 薄々感じていたものの数値で示されると政府・省庁に対する住民の不信が如何に大きいかを改めて感じる。以下、その理由や感じるところを挙げる。

 <第一位 ネット>

 以外な結果だ。もっと信頼されているものと思っていた。福島原発事故以前に原発の恐ろしさを警鐘し続けてきた専門家のネットで発言する内容は信頼に耐えうるものだ。反原発団体掲載のブログや裁判訴訟経緯記事等は、原発の恐ろしさ、原子力規制委員会の再稼働ありきの甘い審査基準、電力会社の欺瞞(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記(浜岡原発の防波壁の脆弱性) その11   浜岡原発 津波高さ19mは22mの防潮堤で安全か その3   浜岡原発の基準津波 63m ?)等を指摘している。ネット上に掲載されている原発裁判の原告側準備書面を読むと、その内容と電力会社が広告等で安全をPRしている内容が如何に乖離しているか、愕然とする。

 ネット情報は玉石混交なのだろう。

 <第二位 政府・省庁>

 深刻な事態だ。政府や原子力規制委員会の言う安全に30%が不信を抱いているのだ。そう言うこともあり、再稼働について反対の住民が50%以上もいるのである。

 政府等の言う嘘、強弁や不誠実な発言を列挙してみる。

・ 同委員会の規制基準に適合した原発を政府は安全だと言う。同委員会は基準に適合しても安全であるとは言えないと責任逃れをしているにも関わらずである。奇妙な論理で原発は再稼働に進む(ものぐさ 再稼動への奇妙な論理)。

・ 汚染水を垂れ流しているにも関わらず、政府はアンダーコントロールだという(ものぐさ 汚染水漏れ これでも「完全ブロック」か)。

・ 事故当時18歳以下の若者で甲状腺がんを発症した若者は、5年経過した時点で166人もいるのに、政府は原発事故との影響は考えられないと言う(ものぐさ 福島原発 甲状腺障害)。

・ 原子力規制委員会は基準地震動を4.7倍も過小評価しているにも関わらず、基準地震動を算出する計算式を見直さない(ものぐさ 基準地震動は入倉式ではなく武村式で算出せよ。4.7倍の差)。

・ 20ミリシーベルト以下の地区は帰還指示を解除し、1年後には賠償金を払わないという。チェルノブイリ原発事故により策定されたチェルノブイリ法は5ミリシーベルトを超える地区を移住義務地域と定めている(ものぐさ 避難指示解除 都路地区)。

・ 環境省は福島原発事故で発生した汚染土を道路の盛り土などに再利用し、コンクリートで覆うことなどで放射線を遮蔽するとしているが、非公開会合では盛り土の耐用年数を70年と提示。道路の供用終了後も100年間の管理が必要で、専門家は170年もの管理をできるはずがない、と厳しく批判している。原子炉等規制法に定める安全に再利用できる基準は100ベクレル/kg以下と定められており、100ベクレルに達するのに170年かかるのである(ものぐさ 埋め立て基準 8000ベクレルは大丈夫か)。

・ 緊急避難計画が絵に描いた餅であるにも関わらず、川内原発を再稼働させた(ものぐさ川内原発 緊急避難計画が不安なら再稼働に反対せよ)。熊本地震での道路の破壊状況。車での緊急避難などできますか。2度目の地震における家屋の崩壊を忘れたのか。被爆しないよう倒壊するかもしれない家屋に屋内退避できますか。

 切りがないので、ここでやめる。

 <テレビ報道>

 事故当時、政府の発表する内容を疑いもせず御用学者を登場させ、結果的に間違ったことを国民に伝えた。関係者に過小評価を装う姿勢があった為だろう。今になっても、原発再稼働に関してなんの問題提起も伝えない。テレビ報道は堕落の一途である。政府におもねる姿勢が見え見えだ。熊本地震と原発をリンクした報道を禁じたNHK会長の発言は最たるものだ。

 一方、信頼できる情報源として第一位に輝いたのは、県や市町であるという。これは驚きである。大飯原発や高浜原発、川内原発の再稼働を許可した原発立地県知事の発言や再稼働許可を住民は信頼できるのか。

 一方、浜岡原発が立地する御前崎市を除いた周辺自治体は再稼働に懐疑的であるし、首長もそのように発言している。牧之原市は原発の永久停止を決議した。県知事も再稼働に懐疑的である。今回の調査結果は、静岡県の首長の姿勢が住民の再稼働反対に沿ったもの、と言う静岡県特有の事情である。

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