« 2017年7月 | トップページ | 2018年1月 »

2017年10月

2017年10月18日 (水)

浜岡原発訴訟 傍聴記(北朝鮮ミサイル 原発攻撃) その21

 10/12、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第30回口頭弁論を傍聴した。前回に続き22回目の傍聴となる。

 午後2時5分までに裁判所に集合し、行列に並ぶ。定員オーバーした場合には抽選。一般傍聴席40人程度に対し、希望者は20人程度。全員が入廷できた。

 向かって左に原告、右が被告(中電)。原告側23人程度、被告側13人程度、記者は5人。2時30分開廷。

 10/16の週刊現代によれば、「有事の際には日本海側に広がる原発へミサイル攻撃をする」と北朝鮮労働党幹部が発言したと言う。原子力規制委員会の規制基準に盛り込まれていない原発へのミサイル攻撃が現実的なものとなった。

 7/5、大阪地裁に申し立てられた「関西電力高浜原子力発電所3、4号機に対する運転差し止め仮処分」申請に対し、電力業界は重大な関心を持っていると伝えられる。原告は北朝鮮のミサイル攻撃の危険性を争点としている、と言う。

 今回の浜岡原発訴訟裁判で原告は、北朝鮮による我が国の原発へのミサイル攻撃の危険性が高まり、そのリスクを回避するためには廃炉するしかないと主張した。

 今回提出した準備書面35の概略を以下に記す。

・ イージス艦3隻に搭載された迎撃ミサイルSM3、地上配備されている34基のPAC3しかなく、全原発をミサイル攻撃がらカバーできていない。しかもPAC3は原発近傍に配備されていない。SM3の実験では25%を打ち漏らしている。

・ 2000kmの真上からのロフテッド軌道による攻撃に対する迎撃はさらに困難。

・ ミサイルを完全に撃墜することは不可能であると政府は認めており、Jアラートによる国民避難システムを構築しているのみである。

・ ミサイル攻撃による第一のシナリオは全電源喪失である。原子炉や格納容器が直撃されなくても、外部電源の導入電線、変電設備、余熱除去系の海水ポンプへの電線、冷却系システムが破壊されれば、容易に炉心溶融に至る。しかも現場は、火災、破壊状態となり鎮圧作業は困難を極める。

・ 第二のシナリオは格納容器破壊である。格納容器の壁は厚い鉄板で覆われているのでミサイル攻撃による貫通はないとの見解もあるが、爆弾の爆発力を加算すれば格納容器の破壊の恐れはある。屋根、天井は構造計算上、壁のように重くできず、脆弱である。

・ 第三のシナリオは原子炉直撃である。原子炉内にある燃料棒の放射性物質は直ちに大量に放出される。高性能爆弾を搭載したミサイルによる原子炉破壊は中東の実例により明らかである。

・ 以上に対して、被告は、①規制基準はミサイル攻撃を想定していない、②万一飛来しても破壊措置命令で対処してもらえる、③Jアラートが出たら原子炉を緊急停止するから安全だ、と弁解すると想定される。何の解決にもなっていないことは明らかである。

・ 大量の放射性物質を放出し住民に危害を加えるのであるから、原発は「自国に向けられた核兵器」、「敵国のために用意した核弾頭」と言われている。イスラエルは100発以上の核兵器を持つが、これらの理由から原発は持っていない。

・ 「原子炉施設に対する攻撃の影響に関する一考察」によれば、第二のシナリオによる被害は、急性死亡1万8000人、急性障害4万1000人。がん死亡2万4000人、居住制限地域87km圏内。

・ 平均的な風速5mでは2時間足らずで放射性物質は到達し、避難できず被爆し続ける。

・ ミサイル攻撃の危険があるなら、なぜ地下鉄を止める前に原発を廃止しないのか。

 以前に原告から提出された求釈明に対して、被告は「冷却水配管は岩盤に固定されており液状化による破壊はない」と主張するが、被告から提出された証拠写真は基礎岩盤写真のみである。これに対し、原告は「配管を固定するために建設時に掘削した穴の写真を示せ」、「基礎岩盤写真だけでは側方流動に耐え得ると判定できない」と反論した。更に被告は「穴の写真はあるか不明、あったとしても大量で整理に時間を要する」等、とぼけて時間稼ぎをしている。これに対して、裁判官は「優先順位をつけて写真提出を早めるように」と進行協議で述べたと言う。

 以前、裁判長が興味を示した「原発直下の褶曲構造による断層」については、被告は次回までには間に合わないと述べた(浜岡原発訴訟 傍聴記(浜岡原発直下にA17活断層) その20)。これも時間稼ぎだ。

 次回、1/11 午後4時

 次々回、 3/22 10時30分

 次次回、6/14、午後2時30分

« 2017年7月 | トップページ | 2018年1月 »