2016年6月 2日 (木)

浜岡原発訴訟 傍聴記・・・「日本と原発 4年後」上映 その18

 5/19、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第23回口頭弁論を傍聴した。前回に続き19回目の傍聴となる。

 午前10時5分までに裁判所に集合し、行列に並ぶ。定員オーバーした場合には抽選。一般傍聴席40人程告に対し、希望者は18人。全員が入廷できた。

 向かって左に原告、右が被告(中電)。一般傍聴人33人程度、原告32人程度、被告14人程度、記者は5人。ほぼ満席。関心の高さが伺われる。10時30分開廷。

 原告側の河合弁護士が制作した「日本と原発 4年後」の要約版(1時間)を法廷で上映。以下、映画の内容を要約する。

・ 原発事故により放射能が拡散し、建物倒壊で下敷きになった人を救えず、避難命令を発した首長の苦悩。救える人を見殺しにした無念さ。

・ 飯館村の村歌「夢大らかに」をBGMに、故郷を失った無念さを吐露するインタービューが続く。放射能と共に心中。若い人は帰ってこない。涙を誘うシーンだ。

・ 2号機が危機に陥り、清水社長は原発からの退避を検討する。原子炉を放棄すれば、全機が崩壊し、日本は壊滅。近藤俊介は「半径250kmは避難必至」と言う。

・ 政府の復興という言葉とは裏腹に、住民の被ばくに対する不安は増していく。ICRPによれば、年間1ミリシーベルトであっても、がん発症の危険がある。その確率は被ばく量と直線関係にある。

・ 甲状腺がんの立証は不可能。政府が安心・安全と言っても、被害者だけが苦しんでいる。

・ M8.3、津波高さ9mの貞観地震の存在や研究機関による10mあるいは15.7mの津波試算を無視した結果の原発事故。これが想定外の津波か。

・ 政治家、官僚、御用学者、経団連からなる原子力ムラ。全産業の6割に影響力を持つ。原子力ムラからの広告宣伝料、各種補助金、御用学者への研究費、天下り先への斡旋等が関係者の批判を抑え込む。

・ 資源小国の日本では使用済み核燃料の再処理により、原発は永久に電気を作り続ける、と謳う。六ケ所村の再処理工場の運転延期、もんじゅの破綻は再処理という原子力政策の嘘を目の当たりにした。絵に描いた餅。世界中で撤退したものに固執している。

・ 原子力規制委員長は規制基準に適合しても安全ではない、と公言。テロ、戦争において、原発はミサイル攻撃の格好のターゲット。インターネットサイバーテロは原発のコンピュータを不正操作できる。アメリカはサイバーテロを心配している。

・ 浜岡原発には42~63mの津波が襲う。22mの防護壁は用を足さない。

・ 20km圏内には東名、新幹線が走る。3、4、5号機にある6800本の使用済み核燃料が発火すれば、半径250kmは壊滅。

・ 浪江町内に通学していた子供は、966校に避難し、バラバラ。

・ 山を20m掘り下げて建設した原発敷地直下は地下水で溢れている。安倍首相の言う「汚染水の完全ブロック」は嘘。

 以上。

 その後の記者会見での河合弁護士の発言に移る。

・ 1時間の要約版で原告の真意を伝えることができた。裁判長は身じろぎもせず見入っていた。陪席判事もメモを取りながら見ていた。

・ 裁判は技術論争に陥ってはいけない。判事はわからないので、権威ある専門家の言葉を鵜呑みにする。再び原発事故を起こして良いのかの判断を求める。ここがポイントである。

・ 中電の代理人2人は見たくないという雰囲気であった。1人はよく見ていた。

・ 映画の撮影は3年前から開始。ロスタイムを除けば実質2年か。一昨年の11月より上映し、1300回の上映、8万人が視聴した。制作費は4000万円。売り上げは5000万円。残金は次回の制作に回す。

・ 他の原発裁判でもこの映画を上映する。

・ 争点整理案の枠組みが裁判所より提示された。原告、被告は、各争点について主張し、裁判で争うことになる。次々回までに争点整理を完成したい。原告は文献提出や証人尋問を考えている。

・ テロ攻撃も争点整理に含めたい。

・ 川内原発再稼働に対して、熊本地裁に仮処分を申請したい。

・ 伊方原発再稼働に対して、松山地裁で本訴、広島と大分地裁で仮処分申請したい。

  次回    7/21 10時30分  争点整理案提出。

  次々回 10/11

  その次 12/15  1/12

 

2016年6月22日 (水)

基準地震動は入倉式ではなく武村式で算出せよ。4.7倍の差

 大飯原発地震動の算出は過小評価。計算式は武村式で算出せよ。6/17の新聞に掲載された。

 元原子力規制委員長代理の島崎邦彦・東京大学名誉教授が、田中原子力規制委員長に基準地震動の計算に問題があり、過小評価の恐れがあるとして、別の計算方法で再計算するように求めた。基準地震動の算出に使う計算式の一つである「入倉・三宅式」は活断層の断面の傾きが垂直かそれに近い場合、地震の規模が他の計算式に比べて1/3~1/4になり、基準地震動を過小評価すると指摘した。

 4月に起きた熊本地震でも入倉式で試算した結果が観測データと一致せず計算式の問題点を再確認したと、同氏は述べる。

 関連記事 (ものぐさ 高浜原発再稼動差し止めの仮処分決定 基準地震動を否定  長沢教授 大甘な大飯・高浜・川内原発の基準地震動

 さて、2014.2.6に行われた「大飯原発裁判交流会」の資料に詳しい記述があったので、理解するままに記述をする。

 地震モーメント(M0)は、地震でずれる断面積と比例関係を持つ。すなわち、その断面積(S)が大きいほど地震モーメントは大きくなる。その結果、基準地震動も大きくなる。基準地震動の推定は原発の耐震設計をする上で極めて重要である。その地震モーメントの計算式が大甘であると指摘されたのだ。

 地震モーメント(M0)とモーメントマグニチュード(Mw)との関係は次のようになる。

         logM0=1.5Mw+9.1        (1式)

東日本大震災におけるモーメントマグニチュード(Mw)は9.0と発表された。少しくどいが説明する。断面積から地震モーメントが算出され、上記(1式)により、モーメントマグニチュードが推定される。推定されたモーメントマグニチュードに地盤特性を加味して、基準地震動が求まる。

 断面積(S)と地震モーメント(M0)との関係はほぼ比例関係にある。地震でずれる断面積が大きいほど地震モーメントは大きくなるという関係だ。断面積(S)を縦軸に、地震モーメント(M0)を横軸にとると、その関係を示す直線グラフは、武村式より三宅式が上に位置しているのだ。よって、断面が地震で崩壊した場合、武村式による地震モーメント(M0)は大きくなる。三宅式のほうが小さくなり、過小評価であると言う所以だ。基準地震動は武村式のほうが4.7倍大きく試算されている。

 断面積(S)と地震モーメント(M0)との関係は発生した場所における地震動の大きさから関係式が導きだされるのであるが、三宅式は世界で起きた地震から導かれたものであるのに対して、武村式は国内地震から導かれたものである。原子力規制委員会は基準地震動の算出を入倉式、津波高さの算出を武村式で行っている。なんとも理解できない2重基準である。

 島崎邦彦・東京大学名誉教授は原子力規制委員会に対し、再計算を依頼しており、6/21の新聞では、結果は2~4週間後に判明するという。注目に値する動きだ。

 大飯原発の基準地震動700ガル(現時点では856ガルで承認されている)の4.7倍は3290ガルにも相当する。入倉式による基準地震動による耐震設計では、格納容器の破壊が起き大破局に至ると言う。

<規制委員会の再計算結果 7/16>

(田中委員長) 再計算では最大で644ガルで、基準地震動の856ガルを下回った。

(島崎) 関電と同様の設定で計算すべきなのに、されていない。関電の計算結果に比べて約6割と過小評価になった。補正すべきだ。補正したうえで予測の「不確かさ」を加味すれば、結果は推定で最大1500ガル超になる。ストレステストで炉心冷却が確保できなくなる下限値として関電が示した1260ガルを上回る。

<規制委員会の再計算結果 7/21>

(田中委員長) 再計算のやり方に無理があった。拙速だった。能力不足だった。判断を白紙に戻すが、安全審査で了解した大飯原発の基準地震動は見直さない。「入倉・三宅式」を見直す理由は見つからず、同方式による算出は継続する。

(ものぐさ) 島崎が指摘したように、入倉式で試算した熊本地震結果が観測データと一致しない点について同委員長はどのように説明するのか。「入倉・三宅式」を見直す理由はここにある。国民に対する真摯な説明を放棄している。信頼性は地に落ちた。これで、再稼働するつもりか。裁判の大きな争点の一つだ。

(7/24、報道) 通常の審査では、安全性に余裕を持たせるため、計算で導いた値の一部を1.5倍にして評価するが、再計算はしていない。原子力規制庁は「無理を重ねて計算し、精度がない。どの程度余裕を加えるべきかわからない」と釈明。規制委員会には地震の専門家はいない。規制庁の報告を鵜呑みにした同委員会の能力にも疑問。専門家の意見を取り入れるべきだとの島崎の提言に対して、同委員長は「そう言う余裕はないし、やるべき立場にもない」と答えた。首をひねらざる姿勢だ。

 

 

2016年7月12日 (火)

反原発 三反園・鹿児島県知事 当選

 7/10に行われた鹿児島県知事選において、元テレ朝コメンテーターの三反園訓が県知事に当選した。三反園訓(無・新)42万6471票、伊藤祐一郎(無・現)34万2239票の大差となった。

 同氏は、選挙公約に原発の一時停止等を掲げていた。以下、報道から引用する。

・ 全国で唯一稼働している九州電力の川内原発について、熊本地震を受けて、原発をいったん停止して再点検すべきではないかと県民は不安に思っている。安全性が確保されていない原発を動かすわけにはいかない。原発のない社会をつくるという方向にどう持っていくかがトップの役割で、県民の立場に立った原発政策を取っていきたい。

・ 熊本地震を受け、原発をいったん停止して再検査し、活断層の調査をすべきだ。

・ 熊本地震の影響を考慮し、川内原発を停止して施設の点検と避難計画の見直しを行う。

・ 鹿児島を自然再生エネルギー県にしていくことで雇用を生み出したい。

・ 原発に関する諸問題を検討する原子力問題検討委員会を県庁内に恒常的に設置する。

 先の、参院選挙において、各候補者は、国民のためとか、県民のためとか連呼していたが、選挙が終われば、知らぬ顔の半兵衛(注1)を決め込むだろう。当選すれば首相の意向に沿った発言を繰り返すのみで、まさに「金太郎飴」。こんな国会議員では、国民の声など反映されるはずがない。世論調査と、国の政策がなんと乖離していることだろう。住民不在だ。原発再稼働、安保法制、特定秘密保護法、日米地位協定、沖縄辺野古基地など。国民の意思を反映できるような選挙制度に変えるべきだ。合区反対論者は、県民の代表として最低でも1県に1人は必要だと言うが、国会議員の実態を見れば、議員数は半減しても良い。一票の重みを公平にするためにも、合区は進めるべきだ。

 改憲勢力が2/3を確保した国会では、緊急事態条項、憲法9条の改正が現実味を帯びてきた。大学講師白井聡によれば、その手順は①~④の通りである。

① 政府に強力な権限を与える「緊急事態条項(ものぐさ 原発と緊急事態条項)」を加える。その際、地震など災害時の必要性を強調し、軍事面には触れない。

② 緊急事態を(首相が)宣言すれば、言論や集会、結社の自由など国民の諸権利を停止させ、反対勢力の批判を封じ込めることができる。

③ 軍事衝突が発生することを黙認、または誘発させる。

④ 戦争状態になれば、憲法9条と自衛隊との乖離が今以上に大きくなる。そうなれば、国民投票による9条の全面改定は、現状を追認するだけで容易になる。

 意図的な軍事衝突の1例として、第二次太平洋戦争の引き金になった関東軍による満州事変があげられる。関東軍は郊外の柳条湖で線路を爆破し、これを中国軍による犯行と発表することで、満州における軍事展開および占領をその口実として利用した。これを満州事変と呼んでいる。

 上記手順は、水温を徐々に上昇させると、その上昇に気づかない水中の蛙は死んでしまうと言う「茹でガエル(注2)」状況を連想させる。環境を徐々に変え、既成事実を積み上げていけば、人間もその変化に気づかず、死んでしまうことになる。国の狙いもここにある。

 一方、今回の知事選で見るように、反原発知事の誕生は住民とってわずかではあるが、一縷の希望を与えた。

 川内原発1号機は昨年8月、2号機は昨年10月に再稼働した。今年10月以降に定期検査に入り、同原発は一時停止する。知事に運転を止める法的権限はないが、難色を示せば一時停止後の再開は難しい。同知事の言動に注目していきたい。このような知事であれば、住民の気持ちに寄り添った政治をしてくれるかもしれない。少なくとも国会議員よりもだ。地方から国の政策に「ノー」を突きつけようではないか。住民の声を反映してくれるような首長を全国から当選させようではないか。地方からの反乱を起こそうではないか。

 改めて、川内原発における反原発派の主張を記す。

・ 現在の基準地震動700ガルを断層モデルの2~3倍にすべき(ものぐさ 長沢教授 大甘な大飯・高浜・川内原発の基準地震動)。

・  GPSと地震観測、監視カメラで噴火予知はできるというのは思い込み、俗説・誤解である。噴火の前に地面が隆起しない場合も多い。巨大噴火は何らかの前駆現象が数カ月、あるいは数年前に発生する可能性が高い。巨大噴火が起きる10年、20年前に予知できるとの発言もあるが、実際にはそう単純ではない。前駆現象が出たからといって、巨大噴火になるとは限らない。薩摩半島側に大量の火山灰があると、降雨による泥流が予想される。泥流堆積物が原発の取水口に与える影響評価をしているのか。火山の災害というのは噴火だけではなく、火山泥流、山体崩壊もある。崩れた火山体が海の中へ流れ込むと津波が起きる。通常の噴火でも予知は難しい、巨大噴火の場合はなおさらである。(ものぐさ 川内原発再稼動 火山噴火リスク

・ 絵に描いた餅の緊急避難計画。①地震や津波で避難経路が寸断したらどうするのか。②西風が吹いていた場合、風下である指宿方面に避難するのか。③指宿方面への避難予定者が風上である熊本方面に向かった場合、更なる渋滞とならないか。④巨大噴火の被害を受けるリスクはないのか。⑤台風が来ていたらどうするのか。⑥避難先の食料や寝具はどうするのか。⑦(高線量の地域に)避難バスは迎えに来るのか。(ものぐさ 川内原発 緊急避難計画が不安なら再稼働に反対せよ

(注1) 知っているのに知らないふりをしてとぼけること。「半兵衛」とは、戦国武将の竹中半兵衛のこととされる。竹中半兵衛は戦国時代屈指の知将で、とぼけるのがうまく、織田信長が半兵衛の元にスパイの前田犬千代を送り込んだが、半兵衛はそれを見抜いていながら知らぬ顔で犬千代と付き合い、逆に相手の情報を手にしたことからだと言われている。

(注2) 2匹の蛙を用意し、一方は熱湯に入れ、もう一方は緩やかに昇温する冷水に入れる。すると、前者は直ちに飛び跳ね脱出・生存するのに対し、後者は水温の上昇を知覚できずに死亡する。

2016年7月31日 (日)

政府の原発事故情報は信頼できぬ 浜岡原発周辺住民

 政府・省庁の発信する原発事故情報について、浜岡原発周辺自治体住民の30%が不信感を抱いていることが、広瀬東京女子大学名誉教授の調査で7/26日に分かった。調査対象はUPZU圏内(半径31km)の住民360人だ。

 信頼できない第一位はネット(36.7%)、第二位は政府・省庁(29.2%)、第三位はテレビ報道(11.9%)だ。以下、国際機関(4.4%)、県や市町(2.8%)、新聞報道(2.2%)と続く。中電に対する信頼度はどの程度なのか。調査項目から除外されていたのだろうか。興味のあるところである。

 一方、信頼できる第一位は41.4%の県や市町。政府・省庁は11.7%にとどまる。

 薄々感じていたものの数値で示されると政府・省庁に対する住民の不信が如何に大きいかを改めて感じる。以下、その理由や感じるところを挙げる。

 <第一位 ネット>

 以外な結果だ。もっと信頼されているものと思っていた。福島原発事故以前に原発の恐ろしさを警鐘し続けてきた専門家のネットで発言する内容は信頼に耐えうるものだ。反原発団体掲載のブログや裁判訴訟経緯記事等は、原発の恐ろしさ、原子力規制委員会の再稼働ありきの甘い審査基準、電力会社の欺瞞(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記(浜岡原発の防波壁の脆弱性) その11   浜岡原発 津波高さ19mは22mの防潮堤で安全か その3   浜岡原発の基準津波 63m ?)等を指摘している。ネット上に掲載されている原発裁判の原告側準備書面を読むと、その内容と電力会社が広告等で安全をPRしている内容が如何に乖離しているか、愕然とする。

 ネット情報は玉石混交なのだろう。

 <第二位 政府・省庁>

 深刻な事態だ。政府や原子力規制委員会の言う安全に30%が不信を抱いているのだ。そう言うこともあり、再稼働について反対の住民が50%以上もいるのである。

 政府等の言う嘘、強弁や不誠実な発言を列挙してみる。

・ 同委員会の規制基準に適合した原発を政府は安全だと言う。同委員会は基準に適合しても安全であるとは言えないと責任逃れをしているにも関わらずである。奇妙な論理で原発は再稼働に進む(ものぐさ 再稼動への奇妙な論理)。

・ 汚染水を垂れ流しているにも関わらず、政府はアンダーコントロールだという(ものぐさ 汚染水漏れ これでも「完全ブロック」か)。

・ 事故当時18歳以下の若者で甲状腺がんを発症した若者は、5年経過した時点で166人もいるのに、政府は原発事故との影響は考えられないと言う(ものぐさ 福島原発 甲状腺障害)。

・ 原子力規制委員会は基準地震動を4.7倍も過小評価しているにも関わらず、基準地震動を算出する計算式を見直さない(ものぐさ 基準地震動は入倉式ではなく武村式で算出せよ。4.7倍の差)。

・ 20ミリシーベルト以下の地区は帰還指示を解除し、1年後には賠償金を払わないという。チェルノブイリ原発事故により策定されたチェルノブイリ法は5ミリシーベルトを超える地区を移住義務地域と定めている(ものぐさ 避難指示解除 都路地区)。

・ 環境省は福島原発事故で発生した汚染土を道路の盛り土などに再利用し、コンクリートで覆うことなどで放射線を遮蔽するとしているが、非公開会合では盛り土の耐用年数を70年と提示。道路の供用終了後も100年間の管理が必要で、専門家は170年もの管理をできるはずがない、と厳しく批判している。原子炉等規制法に定める安全に再利用できる基準は100ベクレル/kg以下と定められており、100ベクレルに達するのに170年かかるのである(ものぐさ 埋め立て基準 8000ベクレルは大丈夫か)。

・ 緊急避難計画が絵に描いた餅であるにも関わらず、川内原発を再稼働させた(ものぐさ川内原発 緊急避難計画が不安なら再稼働に反対せよ)。熊本地震での道路の破壊状況。車での緊急避難などできますか。2度目の地震における家屋の崩壊を忘れたのか。被爆しないよう倒壊するかもしれない家屋に屋内退避できますか。

 切りがないので、ここでやめる。

 <テレビ報道>

 事故当時、政府の発表する内容を疑いもせず御用学者を登場させ、結果的に間違ったことを国民に伝えた。関係者に過小評価を装う姿勢があった為だろう。今になっても、原発再稼働に関してなんの問題提起も伝えない。テレビ報道は堕落の一途である。政府におもねる姿勢が見え見えだ。熊本地震と原発をリンクした報道を禁じたNHK会長の発言は最たるものだ。

 一方、信頼できる情報源として第一位に輝いたのは、県や市町であるという。これは驚きである。大飯原発や高浜原発、川内原発の再稼働を許可した原発立地県知事の発言や再稼働許可を住民は信頼できるのか。

 一方、浜岡原発が立地する御前崎市を除いた周辺自治体は再稼働に懐疑的であるし、首長もそのように発言している。牧之原市は原発の永久停止を決議した。県知事も再稼働に懐疑的である。今回の調査結果は、静岡県の首長の姿勢が住民の再稼働反対に沿ったもの、と言う静岡県特有の事情である。

2016年10月19日 (水)

浜岡原発訴訟 傍聴記(テロ対策) その19

 10/11、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第26回口頭弁論を傍聴した。前回に続き20回目の傍聴となる。

 午前10時5分までに裁判所に集合し、行列に並ぶ。定員オーバーした場合には抽選。一般傍聴席40人程度に対し、希望者は15人程度。全員が入廷できた。

 向かって左に原告、右が被告(中電)。原告側23人程度、被告側13人程度、記者は10人。10時30分開廷。

 被告側準備書面20と原告側準備書面31について、双方が口頭により要点を主張した。

(被告) 熊本内陸型地震の時刻歴波形は20秒程度であり、M9の東北太平洋沖地震の震央における揺れは3分程度で大きい揺れが続いた時間はそれより少ない。浜岡原発について、応答スペクトルや断層モデルから推定した設計用模擬地震では、その揺れを1200ガルSS1、2000ガルSS2Tと推定。揺れ時間は200秒を想定している。耐震性に問題ない。

 4号機の安全対策工事は9/末で1部(ベント工事、対策所)を残し終了。原子力規制委員会の審査進展具合により最終完了時期を示す。3号機は安全対策中、5号機は塩水が原子炉に侵入したことにより、錆びた機器を取り換える。

(原告) 地震が繰り返し到来することに対する評価がされていない。基準地震動の大きさと継続時間を示しているだけであり、原告の問いに答えていない。20回来ても大丈夫か。

 安全対策工事の終了期限延長は4回目。延長を永遠に繰り返すのか。審査基準を満たすまで工事を延々と引き延ばすのか。

 テロ対策、航空機衝突、ミサイル、サイバーテロへの対応は不十分。

 結審を見据えて争点整理をまとめたい。被告も争点整理表を補充すべきで、準備書面による応酬をいつまで続けるのか。訴訟の引き延ばしは許されない。

 11時閉廷。

 以下、記者会見にて準備書面31の要点について説明があった。

 中電は、「原発を他の文明の利器と同様に危険が内在しているのは当然で、その危険を顕在化適切に管理できるかが問題だ」と言う。福島原発事故にあっても、原発が飛行機や自動車と根本的に異なるとの認識に至らない。

<想定すべきテロ対策>

・ 航空機の意図的な衝突で爆発または火災により原発の大部分が喪失した状況でも、炉心冷却、格納容器及び使用済み核燃料プールの機能を維持または復旧できることを要求する。

 これについて新規制基準は可搬設備を中心とした対策で良しとし、格納容器の健全性については何ら考慮していない。一方、フィンランド・オルキルオト原発においは、二重の格納容器を設計している。

・ ミサイル攻撃がなされた場合、一次冷却用配管が破損し、電源系統も破壊され炉心溶融に至る恐れがある。

 これについても特段の想定・対策はない。

・ システムが汎用化され、オープン化され汎用製品が採用された結果、ネットワーク経由やUSBメモリを介し、ウイルスが原発内に侵入する。いわゆるサイバーテロが想定される。

2017年1月27日 (金)

台湾 「脱原発法」可決

 1/11の報道によれば、台湾は2025年までに原発をゼロとすると言う。台湾最北端にある金山発電所と国聖(クオション)発電所は人口の密集する台北に30kmと近い。台湾最南端にある馬鞍山(マアンシャン)発電所は台湾第二の都市である高雄市の南80kmに位置している。その出力は金山発電所2基で127万kw、国聖発電所2基で197万kw、馬鞍山発電所2基で191万kwである。現在建設中の龍門(ルンメン)発電所の出力は2基で260万kwである。6基の原発がある台北、高雄間の距離は、僅か380km、台湾の総面積は35,980平方kmと近畿地方(京都、大阪、兵庫、滋賀、奈良、和歌山、三重)の33,122平方kmに近い。

 1736~2016年に発生したM6.5以上の台湾における地震は41回で、6.8年に1回の頻度で発生している。震度分布はM6.5~M7未満が15回、M7~M8未満が24回、M8以上が2回である。1947年以降の地震(M5.3以上)発生回数を見ると、10年間で2回、8回、3回、3回、5回、9回、11回と、近年になるほど増加の傾向にある。

 日本における地震発生頻度を見てみよう。1923~2016年に発生したM6.5以上の地震は423回で、1年あたり4.5回の頻度である。震度分布はM6.5~M7未満が287回、M7~M8未満が138回、M8以上が11回である。1943年以降の地震発生回数は、10年間で40回、29回、38回、35回、26回、42回、94回と、近年になるほど増加の傾向にある。

 日本における1年間当たりの地震発生回数4.5回に対し、台湾の発生回数は0.14回と極端に少ない。日本の総面積(378,000平方km)が台湾の10倍であることをを考慮しても、台湾のほうが発生回数は少ない。地震発生回数をみれば、日本こそ、もっと深刻に考えるべきであるのに。

 それでは、何故台湾は脱原発に踏み切ることができたのか。その理由を列挙する。赤字で日本の現状を記す。

・ 原発事故は「確率」の問題ではなく、一旦事故が発生すれば、その被害の大きさに耐えられないことを、現総統は福島原発事故から学んだ。そして脱原発に踏み切る強いリーダシップが現総統にはあった。

 国民は福島原発事故を実体験し、6年経過しても故郷に帰れない人が多数いる。福島原発の廃炉は40年で完了するとはとても思えない。国民は事故の悲惨さを知った。安倍首相は学ぶ能力が欠如しているようだ。それとも強いリーダシップが欠如しているのか。

・ 台湾には「原発族議員」がいなく、台湾電力は政治家に働きかける力が弱く、産業界の抵抗も強くない。

 原発族議員は自民党はもとより、民主党内にもいる。民主党を支援している連合は原発推進団体である。政・官・業の癒着構造が国家の利益を優先し、国民の安心・安全には無頓着である。

・ 2025年までに原発の寿命は40年に達する。

 原則40年で原発を廃炉する約束であったものを、原子力規制委員会は、原発寿命を60年にまで延長した。政・官・業の圧力に屈したのか。

・ 人口密度が高く、離島も少ないので「核のゴミ」の最終処分の目途が立たない。

 日本も同様。地震が多く、降水量が多く、地下水位が豊富で、活断層がいたる所にあるというのに、それでも最終処分場を造ろうとしている。10万年も安全に保管できると考えているのか。その感覚が理解できない。

・ 台湾の街角にある書店や喫茶店のいたる所に「反核」のポスターがある。

 国民の脱原発意識は60%を超しているのに、その行動力は台湾に劣る。

・ 知識人や中産階級の脱原発意識は3人に2人。

 テレビに代表されるマスコミの劣化は悲しい限りだ。

・ 国土面積の少ない台湾では「逃げ場がない」という恐怖感が強い。

 日本も同様。緊急避難計画がデタラメであるにも関わらず、原発は再稼働する。国も自治体も、原子力規制委員会も、再稼働の歯止めとなる立地自治体に再稼働の判断を丸投げしている。一旦事故が起きれば、立地自治体を超えてその被害は日本全土に及ぶというのに再稼働の判断は小さな自治体の判断で良しとしている。

 

2017年7月 8日 (土)

浜岡原発訴訟 傍聴記(浜岡原発直下にA17活断層) その20

 7/6、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第29回口頭弁論を傍聴した。前回に続き21回目の傍聴となる。

 午前10時5分までに裁判所に集合し、行列に並ぶ。定員オーバーした場合には抽選。一般傍聴席40人程度に対し、希望者は22人程度。全員が入廷できた。

 向かって左に原告、右が被告(中電)。原告側18人程度、被告側12人程度、記者は4人。10時30分開廷。

 原告準備書面32、33、34と被告準備書面28について、双方が口頭により要点を夫々15分程度主張した。

 原告側の主張に関しては、記者会見時に配布された同書面をもとに要点を記す。被告準備書面28について、中電は「5号機に侵入した海水の影響はない、4号機の水素爆発対策はウェブ上にある等」述べたが、ほとんど理解不能であった。原告準備書面33にある「福島原発事故による癌または癌の疑いのある人が184人に達し、これは100万人当たり593人」の文言は、原告側主張の「人格権」とどのような関係があるのかという質問が中電からあった。原告側からブーイングが発せられた。同書面は本裁判と関係のないものである、と中電は言いたいのであろう。原告側の河合弁護士は直ちに反論した。福島の子供たちの癌発症は、原告及びその子供たちの「人格権」に直結する。常識的には当たり前だが、中電はこのような屁理屈を弄する。

 閉廷は11時16分。その後に開かれた進行協議の場で、裁判長は原告準備書面32掲載の「浜岡原発直下の活断層」について強い関心を示したと、その後の記者会見で弁護士は明らかにした。

 次回、10/12、午後2時30分。

 次々回、1/11、午後4時。

 次次々回、3/22.

 以下、記者会見で配布された準備書面32の要点を述べる。

 フィリピン海プレートは北西方向に沈みこんでおり、そのプレートの側方圧力により、浜岡原発周辺の断層は上下に湾曲し波打つ。両手に挟んだ薄いプラスチック板が、両手からの圧力で湾曲する現象を思い浮かべてほしい。当然、その頂点や谷部の断層は亀裂が生じ、逆断層を形成する。これを褶曲(しゅうきょく)構造による断層という。この運動による亀裂は御前崎海岸(遠州灘側)で見ることができる。安政東海地震によりできたものであり、この時、岩盤は1.2m隆起している。側方圧力に垂直な面を向斜軸という。プラスチックを挟んだ両腕と理解しても良い。この向斜軸に平行するように断層が形成される。原発直近の白羽断層では6mの垂直変異が見られる。6万年前の海浜礫層で、活断層であることが確実視されている。

 御前崎周辺に見られる褶曲構造による断層は、西から「A18グループ」、「A17グループ」、「御前崎台地~御前崎南方沖の褶曲群」に大別される。いずれも向斜軸は南北に延びている。「A17グループ」は正に浜岡原発直下に存在する。中電は「A18グループ」、「御前崎台地~御前崎南方沖の褶曲群」を活断層と認めたが、浜岡原発直下の「A17グループ」は活断層と認めていなかった。認めたとたんに原発は廃炉となるからである。

 ところが、中電は「A17グループ」を活断層として認めることになる。時系列的に示す。

・ 原子力規制委員会の指摘を受け、平成28年6月17日第370回審査会合において、中電は14.1kmを「震源として考慮する活断層」と評価し、「A17断層」とした。「A17活断層」を構成する比木(地名)向斜軸は原発敷地内を南北に縦断している。地質研究者・塩坂邦雄氏は比木向斜軸に平行な逆断層を原発敷地境界から150m北で発見した。

・ さらに、平成28年11月4日第413回審査会合では、15.7mに延長した。

・ 平成29年2月17日第443回審査会合で、中電は4・5号機直下を南北に貫く断層を明らかにした。プレート運動による褶曲構造によって生成されたAー17活断層帯の一部である。

 同審査会合において、「A17断層」は、この断層に直角に走るH断層系(ものぐさ 浜岡原発 H断層系)に対して規模が小さいので、中電は「A17断層」を「小断層」と表記している。

 しかし、原告は反論する。比木断層系は褶曲構造により生成された断層であり、御前崎周辺の地殻変動として支配的な運動である。先にみたように、白羽断層は確認されている部分だけで長さ2.5km、垂直変位量は6mである。

 また、中電は、次のようにも言う。「A17断層」はH断層系により切られているので、「A17断層」はH断層系より古い。あたかも、H断層系のみが問題であるかのような表現を中電はしている。比木断層系は褶曲構造により生成されたものであり、フィリピン海プレートの側方圧力が続く限り、繰り返し比木断層系は活動を繰り返す。

 以上から見ると、中電は「A17断層」を「小断層」と言い繕い、「A17断層」はH断層系より古い」と言い繕うことくらいしか反論できないのである。浜岡原発は、「活断層の巣」の上に存在している。

 あえて言えば、H断層系について、中電は「8万年前以降」における活動はないと言っているが、「13万年前以降」においての活動は不明なのでH断層系も活断層に属する。

(追記) この断層に関して、毎日新聞は3/28、原子力規制委員会は「原発周辺にある「A-17断層」と呼ばれる断層の地質構造などを見学した。」 と、あっさり報道したのみである。なんとも、物足らない表現である。

2017年10月18日 (水)

浜岡原発訴訟 傍聴記(北朝鮮ミサイル 原発攻撃) その21

 10/12、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第30回口頭弁論を傍聴した。前回に続き22回目の傍聴となる。

 午後2時5分までに裁判所に集合し、行列に並ぶ。定員オーバーした場合には抽選。一般傍聴席40人程度に対し、希望者は20人程度。全員が入廷できた。

 向かって左に原告、右が被告(中電)。原告側23人程度、被告側13人程度、記者は5人。2時30分開廷。

 10/16の週刊現代によれば、「有事の際には日本海側に広がる原発へミサイル攻撃をする」と北朝鮮労働党幹部が発言したと言う。原子力規制委員会の規制基準に盛り込まれていない原発へのミサイル攻撃が現実的なものとなった。

 7/5、大阪地裁に申し立てられた「関西電力高浜原子力発電所3、4号機に対する運転差し止め仮処分」申請に対し、電力業界は重大な関心を持っていると伝えられる。原告は北朝鮮のミサイル攻撃の危険性を争点としている、と言う。

 今回の浜岡原発訴訟裁判で原告は、北朝鮮による我が国の原発へのミサイル攻撃の危険性が高まり、そのリスクを回避するためには廃炉するしかないと主張した。

 今回提出した準備書面35の概略を以下に記す。

・ イージス艦3隻に搭載された迎撃ミサイルSM3、地上配備されている34基のPAC3しかなく、全原発をミサイル攻撃がらカバーできていない。しかもPAC3は原発近傍に配備されていない。SM3の実験では25%を打ち漏らしている。

・ 2000kmの真上からのロフテッド軌道による攻撃に対する迎撃はさらに困難。

・ ミサイルを完全に撃墜することは不可能であると政府は認めており、Jアラートによる国民避難システムを構築しているのみである。

・ ミサイル攻撃による第一のシナリオは全電源喪失である。原子炉や格納容器が直撃されなくても、外部電源の導入電線、変電設備、余熱除去系の海水ポンプへの電線、冷却系システムが破壊されれば、容易に炉心溶融に至る。しかも現場は、火災、破壊状態となり鎮圧作業は困難を極める。

・ 第二のシナリオは格納容器破壊である。格納容器の壁は厚い鉄板で覆われているのでミサイル攻撃による貫通はないとの見解もあるが、爆弾の爆発力を加算すれば格納容器の破壊の恐れはある。屋根、天井は構造計算上、壁のように重くできず、脆弱である。

・ 第三のシナリオは原子炉直撃である。原子炉内にある燃料棒の放射性物質は直ちに大量に放出される。高性能爆弾を搭載したミサイルによる原子炉破壊は中東の実例により明らかである。

・ 以上に対して、被告は、①規制基準はミサイル攻撃を想定していない、②万一飛来しても破壊措置命令で対処してもらえる、③Jアラートが出たら原子炉を緊急停止するから安全だ、と弁解すると想定される。何の解決にもなっていないことは明らかである。

・ 大量の放射性物質を放出し住民に危害を加えるのであるから、原発は「自国に向けられた核兵器」、「敵国のために用意した核弾頭」と言われている。イスラエルは100発以上の核兵器を持つが、これらの理由から原発は持っていない。

・ 「原子炉施設に対する攻撃の影響に関する一考察」によれば、第二のシナリオによる被害は、急性死亡1万8000人、急性障害4万1000人。がん死亡2万4000人、居住制限地域87km圏内。

・ 平均的な風速5mでは2時間足らずで放射性物質は到達し、避難できず被爆し続ける。

・ ミサイル攻撃の危険があるなら、なぜ地下鉄を止める前に原発を廃止しないのか。

 以前に原告から提出された求釈明に対して、被告は「冷却水配管は岩盤に固定されており液状化による破壊はない」と主張するが、被告から提出された証拠写真は基礎岩盤写真のみである。これに対し、原告は「配管を固定するために建設時に掘削した穴の写真を示せ」、「基礎岩盤写真だけでは側方流動に耐え得ると判定できない」と反論した。更に被告は「穴の写真はあるか不明、あったとしても大量で整理に時間を要する」等、とぼけて時間稼ぎをしている。これに対して、裁判官は「優先順位をつけて写真提出を早めるように」と進行協議で述べたと言う。

 以前、裁判長が興味を示した「原発直下の褶曲構造による断層」については、被告は次回までには間に合わないと述べた(浜岡原発訴訟 傍聴記(浜岡原発直下にA17活断層) その20)。これも時間稼ぎだ。

 次回、1/11 午後4時

 次々回、 3/22 10時30分

 次次回、6/14、午後2時30分

2018年1月16日 (火)

浜岡原発訴訟 傍聴記 その22

 1/11、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第31回口頭弁論を傍聴した。前回に続き23回目の傍聴となる。

 午後3時35分までに裁判所に集合し、行列に並ぶ。定員オーバーした場合には抽選。一般傍聴席40人程度に対し、希望者は17人程度。全員が入廷できた。

 向かって左に原告、右が被告(中電)。原告側20人程度、被告側18人程度、記者は8人。4時開廷。

(被告) 被告準備書面30について補足した。原発直下にある褶曲構造の断層写真は、次回3/22に提出する。ベースロード電源としての原発の位置づけ、深層防護による安全性、県民健康調査によれば、がんの発症が多いとは言えない。

(原告) 原子力規制委員会の審査を待つ、というのは裁判を軽視している。行政よりも司法は下なのか。提示された事実に基づいて、裁判を進めよ。甲状腺がん発症について、被告は「原告の独自の調査」と言うが、発症件数は事実である。発症は増加している。

(被告) 原子力規制委員会の審査を待つ云々、とは言っていない。

 4時21分閉廷。低調で進展なし。

 記者会見配布資料より。

・ 12月13日の広島高裁による「伊方原発3号機」の運転差し止めは、浜岡原発訴訟にも良い影響となる。基準地震動に関する判断などは納得できないが、「巨大噴火による火砕流の発生は具体的な危険の恐れがある」としたことについては、評価できる。

・ 浜岡原発で続出したトラブルを踏まえた中電の改善策は、「ほとんど具体性がなく、率直に言って非常に頼りない」と更田委員長は12/6発言した。審査に時間がかかりそう。

・ 小泉、細川元総理が記者会見で発表した「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」は大きな影響力を持つ。

・ 中電は安全性、安定供給、経済効率、環境への適合という視点から、原発はベースロード電源であるという現在の政府の考え方を持ち出し、原告の主張には理由がないという。これは、原告への反論になっていない。とんでもない考え違いだ。原発は安全でもなく、使用済み核燃料は処分できず、環境への影響は大きすぎる。一旦事故が起きれば莫大な損害にもなり、経済的でもない。

・ 本日の準備書面で中電は、テロ対策は国の責務、犯罪の予防は警察の責務だとして、今やっている監視装置の設置、見張り人の巡視等で、中電としての防護措置は十分だ。しかし、テロに対する危険性はなくならない。原告の主張に反論できないので、このようなはぐらかしの主張を繰り返す。

・ 中電の争点整理も提出され、原告側証人の選定、依頼を進める。証人尋問は9月か。

・ 電力会社は太陽光発電された電気が送電線に流入すれば、安定供給に支障が出ると言うが、経産省は送電線容量をフレキシブルに見直す方針だ。

 次回、 3/22 10時30分

 次次回、6/14、午後2時30分

 次次次回、9/25

2018年4月14日 (土)

浜岡原発訴訟 傍聴記(液状化 テロ エネルギー政策 放射性廃棄物 甲状腺がん マイナー則) その23

 3/22、静岡地方裁判所で行なわれた浜岡原発訴訟の第32回口頭弁論を傍聴した。前回に続き24回目の傍聴となる。

 午前10時5分までに裁判所に集合し、行列に並ぶ。定員オーバーした場合には抽選。一般傍聴席40人程度に対し、希望者は18人程度。全員が入廷できた。

 向かって左に原告、右が被告(中電)。原告側15人程度、被告側15人程度、記者は4人。10時30分開廷。

 原告から準備書面36、37の説明あり。詳細は記者会見時に配布された同書面を要約する。原告の要求していた掘削穴の断層写真が中電より提示されたが、掘削穴底面の写真が1枚しかなく、原告は追加写真を要求した。掘削穴側面写真は多数提出された。褶曲構造を有するA17活断層(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記(浜岡原発直下にA17活断層) その20)がこの断層写真に写っているのではではないかと原告は考えている。原発の廃炉を決定づける重要な写真の可能性がある。

 被告は、A17活断層について原子力規制委員会の審査を踏まえて反論すると述べた。

 次回 6/14 午後2時30分

 次々回 9/25 午前10時30分

 次次々回 12/4 午前10時30分

 準備書面36について記す。

 <液状化について 被告準備書面29への反論>

 原発敷地は山を削って作られた埋め立て地にあり、海岸線に向けてなだらかに傾斜している。盛り土により形成されている「砂丘堤防」は側方流動(注1)により崩れ去る可能性がある(ものぐさ 浜岡原発訴訟 傍聴記(浜岡原発の防波壁の脆弱性) その11)。兵庫県南部地震では、護岸から150mまで(著しい)側方流動の影響があった。

  原発直下のA17活断層に亀裂が生じ、側方流動が加われば、原発は壊滅的な損壊となる。

 原発敷地内における液状化や側方流動が発生した場合、ポンプ車等の機材の運搬が不可能となり、緊急事態に対応することができない。

 <テロ エネルギー政策 放射性廃棄物 甲状腺がん 被告準備書面30への反論>

 重火器で武装しているテロリストに対して、銃器を携行していない見張り人では侵入を阻止できない。規制委員会の考え方を引用して、極限状態に「柔軟な活動」を実施できる手順を備えることは合理的であると中電は言うが、意図的な航空機衝突に対応できるとはとても思えない。衝突の影響で核燃料が損壊し、広範囲に飛散し、炉心溶融が起きれば、原発敷地内で「柔軟な活動」のできる人員が生存しているかさえ疑問である。

 2060年には日本人口は9000万人(対25%減)を割り込み、製造工場は海外移転し、資源エネルギー庁は年1%の省エネ目標を掲げる。それらに応じて発電量も減少する。直近5年で実発電量は1割減少している。

 放射性廃棄物の地層処分先は決まっていない。「できると思えばできる」という発想は、勝てもしない太平洋戦争に突入した日本軍部の発想に酷似する。 

 小児甲状腺がんは100万人に1~2人(注2)と言われている。中電は100ミリシーベルト以下では、がん発症は「喫煙や飲酒」の影響に隠れてしまうと言うが、未成年者が「喫煙や飲酒」をするとは思えない。将来的に発症する可能性のあるがんを多数発見するというスクリーニング説を中電は主張するが、この説は、一般的に50倍程度である。福島原発事故では200~500倍の発症数である。

 準備書面37について記す。

<マイナー則>

 地震動による配管等の損傷の評価について、中電はマイナー則を採用している。

 マイナー則について説明する。配管に一定振幅(σ)を繰り返し加え、損傷に至った回数をNとする。繰り返し回数(n)がN未満の時は損傷はなく、Nに達して損傷する。D=n/Nを損傷度と言い、D=1で損傷する。このNは材料の物性や振幅(σ)により異なる。ペンチ等で針金を繰り返し折り曲げるイメージである。地震による振幅は一定ではなく、数多くの振幅(σ1、σ2、σ3・・・・)が配管に加わる。その振幅に対する繰り返し回数を(n1、n2、n3・・・)とし、各々の振幅に対し、事前に求めた損傷に至る回数を(N1、N2、N3・・・)とすれば、累積疲労損傷度は、D=n1/N1+n2/N2+n3/N3・・・となる。このDの値が1に達して配管の損傷が生じる。マイナー則において、疲労限度以下の振幅は(いかに多数回であっても)D値に加算されない。ここに、このマイナー則の過ちがある。鉄道車両の板車輪や板バネの寿命がマイナー則を用いて推定した寿命の1/100~1/1000になると報告されている。

 疲労限度以下の振幅を加えた「修正マイナー則」が、産業界では用いられている。

 中電は余震も考慮して、「修正マイナー則」で安全性を評価すべきである。東北地方太平洋沖地震で、3/11には震度4以上が54回、震度1以上は419回発生している。3/12には、各々17回、485回発生している。

(注1) 地盤流動現象の1つで、傾斜や段差のある地形で液状化現象が起きた際に、いわゆる泥水状になった地盤が水平方向に移動する現象をいう。基礎岩盤である相良層が海側に傾斜していることにより、地盤は水平方向に大きく変位する。

(注2) 福島原発事故による発症は100万人あたり593人にのぼる。

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